あと何回逢える?

Mackimel ree

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突然の報せ

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8月の上旬の夜、仕事がちょうどお休みの日。
夕食も終えて、趣味のパッチワークキルトを楽しんでいたひととき。
義妹から私の携帯に1本の電話が入った。

「もしもし、お義姉さん?お義父さんが…」

事の始まりは、父の病院嫌い。
その為に、病巣の発見も治療も遅れてしまった。
そして、私に報せが入った時には、

「田舎の病院では診てもらえないから、うち(弟宅)の近くの病院に入院しました」

本人は、抗生剤など処方されて症状が和らいだからと、しきりに帰宅したいとゴネていたらしいのだけれども、医師に絶対安静を言い渡されてそのまま入院。
義妹からそう説明を受け、次の休みに病院へ行くと約束し、一旦、電話を切った。
そして、次の休みの日、約束通り病院に行くと、目に飛び込んで来たのは力無くベッドに横たわっている父の姿。

「お父さん」

私が声をかけると、こちらを振り向き、

「お~、すまんなぁ。心配かけて」

と、管だらけの腕を上げようとする。

「腕動かしたらいかんて、管抜けたら、どうするん?…この前、義妹ちゃんから電話もろた時には、ビックリしたわ。医者嫌いにも程があるで」

どんな時にも、頼りになって、大きな背中をしていた自慢の父が、見る影も無く、痩せこけている現実を突き付けられて、少なからずショックを受けた。
今までなら同じ空間に居ても、無言で過ごせていたのに、何故だか、居心地が悪い。

私が病室にいる間にも、看護師さんが何度か父の検温や浮腫、点滴の状態をチェックしに来る。
その度に、父は看護師さんに我儘を言う。

「家に帰りたい」

すると、その度にニコニコ笑顔で、看護師さんが

「この数値が下がって、症状落ち着いて、先生の許可がおりるまでの我慢ですよ」

と、諭してくれる。
…多分、父の事だ。
若い看護師さんに、ニコニコ対応して貰えるのが嬉しくて、無理を言っているのだろう。
と、頭では解っていても、心が重くなる自分に嫌気がさす。
解ってる。
これは、自分に甘えてくれない父への、嫉妬。
自分は、そんなに不甲斐ない娘なのか?と、笑顔さえ強ばりそうになった時、面会時間が終わる。




"お願い!!もっと、私に頼って!!遠慮なんてしないでよ"



「…そろそろ、帰るね。また、今度の休みに顔出すよ」

笑顔で、それだけ言うのが精一杯だった。











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