独占欲強めの最高神は、モブ娘からの一途な愛をお望みです!

弥生ちえ

文字の大きさ
130 / 237
第3章 乙女ゲーム始動 編

第131話 【攻略対象 美貌の大魔法使いと王子様】アルマジロの引っ越し理由

しおりを挟む

 呆れを隠さないプチドラが、両手を腰に当ててアルマジロに声を掛ける。

『弱ってるんなら、本体のところに戻ったらどうなの? そもそもここは、ホントの貴方の居場所の【土の宝珠オーブの神殿】じゃあ無いでしょ? こんなに人の多い学院の傍じゃなくって、土の地面が延々広がる人里離れた場所だったじゃない』

 呆れを隠さないプチドラが、両手を腰に当ててアルマジロに声を掛ける。

『駄目、だよ! あそこはっ! ただでさえ、訪れる人もなくって……祈りを捧げられること、も、ないんだよ? ずっと、あんなところに居たら、もっと早く……きえちゃってた、よ!!』

 だから、人と魔力を求めたアルマジロは、強い魔力に満ちた若者の集う、王立ダルクヴィスト貴族学院の側へと住処すみかを移してきたのだと言う。

「そんな話は、全く聞いたことがありませんね」

 疑り深く、探る視線を向けながらバルザックが言えば、アルマジロは傷付いた表情を浮かべる。

『居たよ、ずぅっと……100年よりも前、から。誰も、気付いてくれない……から、ヒントも置いたんだよ。人が気付いて、信仰してくれなきゃ……ぼくに力は満ちない、から』

 けれど、本来祀られる場所から遠く離れたこの森に、まさか宝珠オーブの化身が引っ越してきていると気付く人間もおらず、故に信仰されることもない。どころか、信仰される・・・ことを求めて人前に姿を現せば、魔獣出現だと攻撃されて、魔力も気力も消耗してしまう。そうして、信仰が廃れ、徐々に力を失い、気力も失った土の宝珠オーブの化身は、今やその生命をも喪おうとしている。

『ぼくは……消えないために、頑張って、強い魔力に満ちた若い人間の集まるこの場所に……少しでも力を留めたくて……すごく頑張って結界を作ったんだ、よ』

 森からの魔獣の侵出を防ぐために、大昔の賢者が作ったとされる魔法障壁。その実は、アルマジロの力を留めるため、彼自身が力を振り絞って展開したものだった。

 そんな中、思うように信仰が集まらない現実に危機感を抱き、自身へと導くヒントを学院に置いたのだ。――だが、力の欠片に気付く者があっても、アルマジロ自身に気付く者は居なかった。

「まぁ、あのヒントで、光る塊がポロポロ見付かったなら、あれが正解だと思うわね。わたしも、ちょっとだけそう思ったし」

『紅茶の子たちに先を越されて焦ってたものねー。だからこそレーナはムキになって、他の答えを是が非でも見付けようとしたんだわねー』

 肩の上でキャラキャラ笑うプチドラに、チラリと恨みがましい視線を向けたレーナだ。けれど、間違いではないので、むぐぐと口を噤むしかない。

「どうやら、アルマジロ殿の望みを我々が叶えることは出来ないようですね。とは言ったものの、先程レーナさんが仰った通り『まだ手遅れにはなってない』のです。こうして学院に在籍する私達がアルマジロ殿の存在を知れた。それは、大きな前進なのではないでしょうか」

 黙り込んだレーナの代わりに、バルザックが言葉を引き継ぐ。

 せめて神殿があってくれたら、まだ最高神の眷族とも言うべき宝珠の化身が『そこに居る』と認識されたであろう。また、せめてその姿が、ファルークや、ゾイヤの様に、威厳ある龍の姿であったなら。

 けれど、現実はアルマジロなのだ。
 丸くて、ゴツゴツして、顔がひょろっと長い、そのままのアルマジロなのだ。

『これまでもあのヒントを辿った学生の中には、光る塊あんたのウロコを手にした子達もいたんでしょうに。それでいて大本の、土の宝珠オーブの力を持った化身アルマジロが、足元に丸まってることに思い当たらないなんてねぇ』

 呆れた、と言わんばかりのプチドラだが、過去の学生らと同じく、その可能性に全く考えが及ばなかったレーナは、何も返すことが出来ない。残念ながら、レーナはシュルベルツ領で魔力と魔法についての勉強を行ってきた今でも、魔力の違いについて感じ取ることなどできないのだ。もしかすると、魔力に敏感なエドヴィンなら気付いたからしれないが、残念ながら今回の実地訓練は下位クラスから順に行われるので、彼はこの事態に気付いてはいないだろう。それに――

「仕方ないわよ。だってこの辺りで宝珠オーブと言えば、王城にある陽の宝珠なんだもの。まさか、ここに無い宝珠の化身が現れるなんて思いもしないわ」

 唇を尖らせて言うレーナに、プチドラが何かに気付いた様にハッと目を見開く。

『あぁ、それなんだけど! 陽の宝珠オーブ……学院ここのすぐ近くにあるはずなのに、全然気配を感じないのよね。お城から来てる、あの王子様から感じる気配もおかしいの。なぜか大気の宝珠なのよ。入学式で始めて見た時から、変だなぁって思ってたのよ』

 突然の重大告白に、レーナのみならず、バルザックまでもが息を飲んだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

追放聖女だってお茶したい!─セカンドライフはティーサロン経営を志望中─

石田空
ファンタジー
「ミーナ今までありがとう。聖女の座を降りてもらおう」 貴族の利権関係が原因でいきなり聖女をクビになった庶民出身のミーナ。その上あてがわれた婚約者のルカは甘味嫌いで食の趣味が合わない。 「嫌! 人の横暴に付き合うのはもうこりごり! 私は逃げます!」 かくしてミーナは神殿から脱走し、ティーサロン経営のために奔走しはじめた。 ときどき舞い込んでくるトラブル。 慌ててミーナを探しているルカ。 果たしてミーナは理想のセカンドライフを歩めるのか。 甘いお菓子とお茶。そしてちょっとの恋模様。 *サイトより転載になります。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

悪役令嬢はモブ化した

F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。 しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す! 領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。 「……なんなのこれは。意味がわからないわ」 乙女ゲームのシナリオはこわい。 *注*誰にも前世の記憶はありません。 ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。 性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。 作者の趣味100%でダンジョンが出ました。

人見知りと悪役令嬢がフェードアウトしたら

渡里あずま
恋愛
転生先は、乙女ゲーの「悪役」ポジション!? このまま、謀殺とか絶対に嫌なので、絶望中のルームメイト(魂)連れて、修道院へ遁走!! 前世(現代)の智慧で、快適生活目指します♡ 「この娘は、私が幸せにしなくちゃ!!」 ※※※ 現代の知識を持つ主人公と、異世界の幼女がルームシェア状態で生きていく話です。ざまぁなし。 今年、ダウンロード販売を考えているのでタイトル変更しました!(旧題:人見知りな私が、悪役令嬢? しかも気づかずフェードアウトしたら、今度は聖女と呼ばれています!)そして、第三章開始しました! ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~

みつまめ つぼみ
ファンタジー
 17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。  記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。  そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。 「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」  恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...