129 / 237
第3章 乙女ゲーム始動 編
第130話 【攻略対象 美貌の大魔法使いと王子様】有望な後継者候補は、つれない反応を返す
しおりを挟む表情を凍りつかせて、ガクガクと震えるアルマジロだが、うっかり同情などしてはいけない。
「アルマジロ殿は、一体我々に何を期待していたのですか?」
丁寧に、けれど突き放したように声を掛けたのはバルザックだ。
彼は、ゲームの中ではシルヴィアと力を合わせて、土の宝珠の役目を担うことになるのだが、そのストーリーにアルマジロの姿は無かった。
『ぼ、ぼく……の形が保てるのは、あと、わずか……だ。ヒントを、のこしてるのに、誰も、ぼくに気付いてくれる人間は……いなかった。気付いて、信じて、祈ってくれないと、ぼくの力は消え去る……。ぼくが消えれば、土の力が喪われる……』
ゲームの時間軸は現在よりも少し先で、既に彼が消滅した後だったのだ。
(そう言えば、ゲームに無かった授業だものね。ヒロイン達は、この授業で得られる土の宝珠のヒントを完全に見落としてたってことね)
だが、今はまだアルマジロが存在している。
「――そっか! まだ手遅れにはなってないわ!」
ふいに、力強く声をあげたレーナに視線が集まる。力強く握った拳を眼前に掲げて、レーナはアルマジロに頷いて見せる。
「つまり、土の宝珠の化身であるアルマジロくんを、信じて、祈る人がいれば大丈夫ってことでしょ!?」
『けど、ぼくの力は……とてもわずかだ。代わりに、魔力の強い人間に引き継がせ、宝珠に魔力を溜めた方が、土の力は永らえる……可能性がある』
「それじゃあ、地上の破滅フラグが消えてないし。地面がダメになって、世界が滅びていったら、リュザス様探しに支障があるでしょうが!」
『えぇっ!? ……ぼくの、ためじゃないの!?』
「今のわたしの言葉のどこにも、勘違いさせる要素なんて微塵もないはずだけど!?」
これまでのこの世界での経験で、無邪気で、悪気の無い、身勝手な、神的思考への恐ろしさを痛感してきたレーナだ。彼らに対して、迂闊なことは言わない。きっぱりと否定する。
一瞬、髪飾りの辺りから鋭い光が漏れた気がするが、気付かないフリを通すレーナだ。
『じゃ、じゃあ……きみの、方は?』
細長い顔が、焦った様子でバルザックに向けられる。
「私に何を期待しているのか、分かりかねますが……。これまで魔法の深淵に興味を持ち、持てる力の全てを魔力の研鑽、研究に捧げて、今の私を作り上げてきた成果。それは、他人のために用意したものであるはずが無い! とだけ、お伝えすれば良いでしょうか?」
ニッコリ、と作られた笑顔が、自信と威圧に溢れている。
(そう言えば、ゲームでのバルザックは、土の宝珠の危機に『自ら』気付いて、『自ら』化身になろうとしてたっけ。ヒロインもいたけど、足りない魔力を補う立ち位置だったから、あくまでバルザック主体だったわ)
彼は、とにかく自分の思う通りに動きたい性質なのだ。
『そんなぁ……』
目を付けた、有望な後継者候補2人にすげなく断られたアルマジロは、ガックリと項垂れた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
追放聖女だってお茶したい!─セカンドライフはティーサロン経営を志望中─
石田空
ファンタジー
「ミーナ今までありがとう。聖女の座を降りてもらおう」
貴族の利権関係が原因でいきなり聖女をクビになった庶民出身のミーナ。その上あてがわれた婚約者のルカは甘味嫌いで食の趣味が合わない。
「嫌! 人の横暴に付き合うのはもうこりごり! 私は逃げます!」
かくしてミーナは神殿から脱走し、ティーサロン経営のために奔走しはじめた。
ときどき舞い込んでくるトラブル。
慌ててミーナを探しているルカ。
果たしてミーナは理想のセカンドライフを歩めるのか。
甘いお菓子とお茶。そしてちょっとの恋模様。
*サイトより転載になります。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
悪役令嬢はモブ化した
F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。
しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す!
領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。
「……なんなのこれは。意味がわからないわ」
乙女ゲームのシナリオはこわい。
*注*誰にも前世の記憶はありません。
ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。
性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。
作者の趣味100%でダンジョンが出ました。
人見知りと悪役令嬢がフェードアウトしたら
渡里あずま
恋愛
転生先は、乙女ゲーの「悪役」ポジション!?
このまま、謀殺とか絶対に嫌なので、絶望中のルームメイト(魂)連れて、修道院へ遁走!!
前世(現代)の智慧で、快適生活目指します♡
「この娘は、私が幸せにしなくちゃ!!」
※※※
現代の知識を持つ主人公と、異世界の幼女がルームシェア状態で生きていく話です。ざまぁなし。
今年、ダウンロード販売を考えているのでタイトル変更しました!(旧題:人見知りな私が、悪役令嬢? しかも気づかずフェードアウトしたら、今度は聖女と呼ばれています!)そして、第三章開始しました!
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる