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第3章 乙女ゲーム始動 編
第135話 【攻略対象 美貌の大魔法使いと王子様】土の宝珠のヒーローショー
しおりを挟むエドヴィンの問いにバルザックが答えるや、一際大きく地鳴りが響き、爆炎の魔女の全身を包んだ炎が3倍、5倍と膨れ上がる。
「森ごと、この炎で包んでくれようぞ!!」
一際大きくレーナが叫んだところで、森の至る所の地面から赤茶けた光がポワリポワリと浮き上がり、その光が一か所に集束して何かを形作って行く。
『心優しき土の宝珠の化身、ここに参上っ……!! ヒトの味方のぼく、が……皆を、護るっ! ずぅっと、この森に住んできた……えっと、見守って来たぼくが……護るんだ!!』
森に入った人々の視線を一身に集めて、たどたどしくも心強いセリフと共に登場したのは、森の木々より尚巨大な、柔らかな赤茶色の光に包まれるアルマジロだった。
『土の宝珠の化身さーーん、たすけてーーー! この魔女は強くて、人では止められないのぉーー!』
更にダメ押しとばかりに、プチドラが声を上げれば、アルマジロは『よしきた』とばかりに長い顔に心強い笑みを浮かべて、森の人々を振り返る。
『みんな は、ぼくが、ぜったいに護る!』
『おねがい! 土の宝珠の化身さんだけが頼りなのーー! みんなも応援してーー、せーのっ、アルマジロさん頑張れーーーーー!!』
森のあちこちに戸惑う気配が漂いはじめた次の瞬間、魔女の纏う火炎が虹色に輝いて、これまでとは比べ物にならない威圧感が周囲に満ちる。僅かに魔女自身が狼狽える素振りを見せるが、そのまま芝居を続行することにしたのだろう。
『あ……あ、ああ、あんたたちっ!! 早く土の宝珠の化身さんを応援しなさいよっ!!!」
だが、魔女に捕らえられているプチドラは、大きな異変を感じ取っていた。ここまでとは打って変わり、鬼気迫る声を上げる。彼女の危機感に触れた生徒や教員らも、得体のしれぬ恐ろしさを発する虹の炎に気付き、森のあちこちから「頑張れー!!」との声が上がり始める。
声を上げる者が増え、宿る想いが強くなって土の宝珠の化身に、力を与え始めたのか、アルマジロの纏う輝きが強くなってゆく――
カッ
――と、一際大きな光に包まれたアルマジロは、大きく前肢を振るって爆炎の魔女の姿を掻き消した。
ように見えた。
「ふぅー。無事に土の宝珠に力が戻ったわね」
地面に両足を投げ出して座るのは、魔力を使い果たしてぐったりとしたレーナだ。
火の宝珠の化身ファルーク。その眷属であるライラを取り込み、火龍の力を取り込んでいたのはアルルクだけではない。レーナも自らの怪我を修繕するために、取り込んでいたのだ。だから、火の力を使うことは出来たのだが、加減も何もわからないぶっつけ本番で、必要以上に消耗したのだろう。途中で、力尽きそうになったが、髪飾りから溢れた虹色の力がレーナに手を貸してくれて、なんとかやりきることが出来た。
「リュザス様のお陰ね」
ふふ、と笑えば、蝶の髪飾りは喜色を表わすようにキラリと輝く。
アルマジロの雄姿は、たまたま実習に居合わせた生徒、教師らの心に深く刻み付けられた。学院では、この森の守り神について正式に記録が残され、危険を顧みず人々を護った土の宝珠の化身のために祠を建て、彼を祀ることになった。
こうして、森にひっそりと居付いた土の宝珠のアルマジロは、存在する力を取り戻したのだった。
ちなみに、この時、レーナを救おうと金花樹に渾身の攻撃魔法を打ち、魔女を演じて疲弊しきった彼女に癒しの力を使ったシルヴィアは、無事に強力な光魔法に覚醒したのだった。
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