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第4章 最高神 編
第156話 【攻略対象 最高神リュザス】残念ヒーローは健在
しおりを挟む―― あははははっ! ほんと人間って愚かだよね!! ――
黒く塗り潰された景色に、無邪気な青年の高笑いが響く。
一面の黒は、濃く立ち込めた瘴気だ。漂うものであるはずのそれが凝った次の瞬間、顕現したのは見覚えのある姿だった。
時は僅かに遡る。
謁見と云う名の『聖女お披露目』を終えたレーナら3人と1柱は、国王から王城を辞する前に是非と乞われて「陽」の宝珠の元へ立ち寄ることになった。
厳重に封印を施された尖塔の扉前には国王と護衛の騎士は勿論、バルザックと、クラウディオ王子、それに2人の聖女が居並ぶ。
「聖女レーナ。貴女のご助言のお陰で、宝珠に魔力を注いで急場を凌ぐことが出来ました。王国魔導士長たる私からも御礼申し上げます」
素知らぬ笑顔で隠していた肩書きを告げるバルザックに、学院教師の彼しか知らないエドヴィンとシルヴィアは驚きの表情を見せる。
「おや、知っておいででしたか」
特に反応を示さないレーナに目敏く気付いて、探る視線を向けてくるバルザックに、しまったと焦りを見せるレーナだが後の祭りだ。今更驚いた風を装うわけにもいかない。
「常々、素晴らしい魔法を使われる先生は、ただの学院教師にしておくには惜しい人材なのにと思っていたので、納得しただけです」
「なるほど! 聖女の様に秀でたお方の眼を通しては、私の有り余る魔法の才は、隠しても隠し切れぬものなのですね」
誤魔化すためにダメ元で褒め殺しを試みるレーナだったが、驚くほどすんなり納得したバルザックだ。
『能力は確かなのに、残念なオトコね』
プチドラがレーナの肩の上に腰掛け、腕組みをしながらため息混じりに呟く。その目の前で、バルザックはレーナを弾き飛ばしたあの守護魔法を易々と解いてみせる。
「いつもながら見事な魔法の腕前ですわね。緻密で正確な上に発動までの手際も鮮やかなものですわ。どこぞの朧げな力の持ち主とは比べるべくもない素晴らしさですわね」
名を知らぬ金髪聖女が、祈る様に両手を目の前に組んで賛辞を述べ、キラキラと輝く目をバルザックに向ける。「朧気に宝珠の状態を把握できる」レーナに対しての多大なる当てこすりが含まれているのだが、真実と程遠い能力報告しか行っていないレーナは、それが自分のことを指しているとは気付きもしない。
それどころか、実力があるにはあるが自分賛辞の過ぎるバルザックに、残念なものを見る目を向けている。
「さすが私のヒーローだ」
ぽっと出のイケメンに絆されないレーナの通常運転っぷりにエドヴィンが満足げに呟き、金髪聖女は自分の推しに芳しい反応を示さないレーナに、悔し気に唇を歪ませる。
『ホント、能力は確かなのに、残念なコよね』
今一度、プチドラが大きく溜息を吐いたのは仕方がない。
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