独占欲強めの最高神は、モブ娘からの一途な愛をお望みです!

弥生ちえ

文字の大きさ
154 / 237
第4章 最高神 編

第155話 【攻略対象 最高神リュザス】自称「朧気に宝珠の状態を把握できる」聖女

しおりを挟む

(聖女って!? 今日は謝るために来たのよね? 辺境伯に、宝珠オーブに接近した騒ぎを無かったことに出来ないから、ケジメは付けなきゃって言われて……あれは謝罪しろって意味じゃなかったの!?)

 その辺の難しい遣り取りは、王家とエドヴィンの父――ドリアーデ辺境伯に任せきりにしていたレーナだ。プロムナードの日、騒ぎを起こした彼らは騎士らに追われてシュルベルツ領へ逃げ帰ったのだ。それから交渉云々の話になり、難しいことは解らないと、逃げたツケが回って来たのだとは思う。だが、それでも多少の非難を込めてエドヴィンに視線を向ける。

「父上の考えられた、もっとも穏便に済む方法だ。宝珠オーブとの縁の深いドリアーデ辺境伯が擁護する、『宝珠の異常を知る力』を持つレーナ。それはもう、ただの村娘じゃあ通らないだろ。ならば我が辺境伯家と王家が目を掛ける聖女とした方が、レーナの身を護れる」

 嫌そうに顔を顰めながらも、淡々と説明するエドヴィンだ。

「私にもっと力があれば、ひっそりとレーナを護れるのに」

 ぽつりと、口惜し気に呟く。

 レーナとしても、大それた身分など持たずに自由に動ける身でいたかったのだから、その考えには大賛成だ。だが、彼が口惜し気に呟くに留めているということは、聖女の地位まで引っ張り出さなければ、宝珠に近付いた騒ぎは治められなかったということだ。

「聖女レーナは逸早く宝珠オーブの危機に気付き、その身の危険を顧みず、宝珠に接近しようとしたのが過日の出来事の真実であった。宝珠はこの国の、いや、この世界の要。聖女レーナのお陰で適切な対応を行うことが出来た。褒めて遣わす」

 国王が、謁見の間に集った全ての者たちに言って聞かせるように朗々と語る。

(胸が痛いわ)

 世界を救う為よりも――推しに会うため、ついでにプチドラの圧しに負けたために宝珠の塔に近付いたのだ。そんな行動を美化されすぎて、罪悪感に潰されそうだ。
 だが、両脇のエドヴィンとアルルクの態度は堂々としたものだ。彼らが一緒にその場に居てくれる心強さのお陰で、何とかレーナは平静を取り繕えた。

 国王は尚も諸侯への説明を連ねる。それによるとレーナは「朧気に宝珠の状態を把握できる」能力の持ち主となっているらしい。

(実際には覚えてるゲームシナリオから、宝珠や、その化身がどうなってるか想像出来ちゃうだけなのよぉ……)

 国王の賛辞に心の中でアワアワし続けるレーナは「我聖女なり」と胸を張ることが出来るほど、強心臓ではない。ただの平凡モブ村娘を自負する小心者だ。だから国王から「何か一言」と話を振られたところで、慌てて謝罪の言葉を繰り出す。

「この度はっ……宝珠の塔に無断で近付き、皆様をお騒がせしたこと、誠に申し訳なく謝罪いたします!」

「よいよい。気にするでない。この王国に3人目の聖女が現れた慶事に比べたら、実害の無い騒ぎなど、取るに足りないことよ。むしろ警備の甘さを知らしめてくれて礼を言うぞ」

 だがベルファレア国王は、拍子抜けするほど気安い調子で言葉を返してくる。

「同時代に3人もの聖女が現れるとは、なんという吉兆。よくぞ自らの能力を王都中央神殿に申し出てくれた。喜ばしいのう」

 国王が視線を居並ぶ王侯貴族の最前列に向ければ、そこには白い聖女の衣に身を包んだシルヴィアと、彼女よりも繊細な装飾が施された聖女服を纏った金髪の女性が並んでいる。
 謝罪への返事で、更にお褒めの言葉まで受け取ったレーナは、過分すぎる買い被りに背中がゾワゾワとむず痒くなって落ち着かない。
 いや、もしかすると平民であるレーナを気兼ねなく利用するぞ!と言う宣言なのかもしれないと、不穏も頭をもたげて、余計に心がざわざわする。

 とにかく誉められ、持ち上げられただけの謁見は、驚くほどスムーズに終了したのだった。

 初めて出会った金髪聖女の、刺すような視線以外は――。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

追放聖女だってお茶したい!─セカンドライフはティーサロン経営を志望中─

石田空
ファンタジー
「ミーナ今までありがとう。聖女の座を降りてもらおう」 貴族の利権関係が原因でいきなり聖女をクビになった庶民出身のミーナ。その上あてがわれた婚約者のルカは甘味嫌いで食の趣味が合わない。 「嫌! 人の横暴に付き合うのはもうこりごり! 私は逃げます!」 かくしてミーナは神殿から脱走し、ティーサロン経営のために奔走しはじめた。 ときどき舞い込んでくるトラブル。 慌ててミーナを探しているルカ。 果たしてミーナは理想のセカンドライフを歩めるのか。 甘いお菓子とお茶。そしてちょっとの恋模様。 *サイトより転載になります。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

悪役令嬢はモブ化した

F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。 しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す! 領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。 「……なんなのこれは。意味がわからないわ」 乙女ゲームのシナリオはこわい。 *注*誰にも前世の記憶はありません。 ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。 性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。 作者の趣味100%でダンジョンが出ました。

人見知りと悪役令嬢がフェードアウトしたら

渡里あずま
恋愛
転生先は、乙女ゲーの「悪役」ポジション!? このまま、謀殺とか絶対に嫌なので、絶望中のルームメイト(魂)連れて、修道院へ遁走!! 前世(現代)の智慧で、快適生活目指します♡ 「この娘は、私が幸せにしなくちゃ!!」 ※※※ 現代の知識を持つ主人公と、異世界の幼女がルームシェア状態で生きていく話です。ざまぁなし。 今年、ダウンロード販売を考えているのでタイトル変更しました!(旧題:人見知りな私が、悪役令嬢? しかも気づかずフェードアウトしたら、今度は聖女と呼ばれています!)そして、第三章開始しました! ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~

みつまめ つぼみ
ファンタジー
 17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。  記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。  そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。 「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」  恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...