独占欲強めの最高神は、モブ娘からの一途な愛をお望みです!

弥生ちえ

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第4章 最高神 編

第159話 【攻略対象 最高神リュザス】憑かれた王女は暴走する

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「こんなの、あんまりです!!!」

 王女が叫ぶと同時に、ひらりと黒い木っ端が視界を横切る。

「え、何?」

 ほんの細やかな影だった。だが、レーナは妙な胸騒ぎを覚えて、呟きつつ行く先を目で追う。すると、王女の元へ真っすぐ向かった黒い塊は、彼女の間近で急に体積を増して蝶の形を取る。

(まずい!!!)

 反射的に感じるが、レーナが警告の声を発する間もなく、蝶は王女の髪にぴたりと留まった。瞬間、王女は全身をビクリと痙攣させる。

(このパターンって……、絶対に何か良くないことが起こるよね!?)

 記憶に新しいクラウディオ王子やシルヴィアの変質を思い起こして、身構えるレーナの前で王女がゆっくりと唇を開く。

「あぁ……私の守り神様。今日も哀れな私を救いに来てくださったのですね……」

 ほんのりと頬を染めた王女は、恍惚とした笑みを浮かべている。

「シルヴィアさんっ! クラウディオ王子! 王女が、黒い蝶に取り憑かれたわ!!」

「なんだって!!」
「そんなっ」

 すぐに事情を察した経験者2人は、王女を人目に触れぬところへ連れて行こうと判断した。

「姉上、どうか何も仰らずこちらへ!」

 促すように、エスコートする手を差し出す。だがトロリと蕩けた表情だった王女は、彼を一瞥すると途端に視線を鋭くした。

「私を虚仮こけにして惑わす不埒者共の言葉など、聞かぬ!!!」

 言うや、身を翻して尖塔の中へと飛び込んで行く。

「誰ぞ! く王女を止めよ!」

 血相を変えた国王が、護衛の騎士らに告げれば、王女相手に咄嗟の行動を取りあぐねていた彼らは弾かれたように駆け出した。

 カツカツカツカツ……

 騎士らに遅れて扉をくぐったレーナの耳には、目の前に現れた螺旋階段を昇って行く足音がけたたましく響いてくる。

 カツカツカツカツカツカツカツカツ……

「王女様……凄い体力ね」

 途切れぬ足音に思わず呟いたレーナだが、彼女をよく知るはずのクラウディオ王子や、国王までもが、表情に驚きを滲ませている。

 カツカツカツカツカツカツカツカツカツカツカツカツカツカツカツカツ……

「もしかして、ひと息に天辺の宝珠の部屋まで行っちゃったりして?」

 まさかね、との思いを込めたレーナの呟きは誰にも否定されることなく、全員が無言で「あり得るかもしれない」との思いを伝えてくる。

「取り敢えず、追うぞ!」

 先に王女を追った騎士らの後に続いて、王子が階段を駆け上がろうと踏み出す。だが2段と上らぬ間に、足音の響く先から「ぐぁっ」とくぐもった声が聞こえる。そして、ガチャガチャどすんと重い荷物が転がる音がして、階上から騎士が転がり落ちて来た。
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