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第4章 最高神 編
第160話 【攻略対象 最高神リュザス】エドヴィン押す
しおりを挟む苦悶の表情を浮かべ、立つこともままならない騎士を抱き起したクラウディオ王子は、そのまま2、3言葉を交わすと眉間に深く皺を刻む。
「父上! 姉上が心配です。先にいかせていただきます!!」
言うや、未だ響いてくる階段を駆け上がる音を追って走り出す。レーナの耳にうっすら届いた会話では、王女の細腕が目の前で呻く屈強な騎士を突き落とすと云う俄には信じられない事態が発生したらしだった。
「治癒の魔法をつかいます!」
シルヴィアがさっと騎士に近付いて跪くと、彼の胸に手を当てて光の魔法を使うべく、目を瞑って意識を集中させる。
レーナはリュザスに瓜二つの、あの黒い青年がらみであろうこの事態に、言いようのない不安を感じていた。
(ただの王女の乱心じゃないわ。リュザス様そっくりのクロ男が、絶対に何か仕掛けてるのよね!?)
しかも前例2名での出来事を鑑みれば、人間の一般常識から掛け離れた厄介な問題を引き起こしてくるはずだ。
(これ以上、乙女ゲームの時系列以上に平穏を乱されたら、リュザス様探しに支障が出るでしょぉぉぉぉ!!!)
「プチドラちゃん! アルルク! 力を貸して!!」
声を掛けて、塔の外へ駆け出す。すると、呼び掛けた2人の他、憮然とした表情のエドヴィンまでもが付いて来た。
「あれ? エド、なんで付いて来るの?」
「なんで・などと言われぬようにするためだ。私がレーナに関心を寄せるのを、全く意識されていない由々しき事態を打開するには、これまで以上に積極的にアピールするしかないのでな」
「はぁぁぁーーー!? こんな緊急時にナニ言ってるの!?」
「こんな時の無意識下だからこそ、意識されていないことに気付かされたんだ! ならば少しのきっかけも掴んでいかねば進展せんだろ!!」
「しっ……進展って!」
こんな急場で話す内容でないだろうと心の中で悪態を吐きつつ、けれどエドヴィンの怒った様な、真剣そのものの表情に向ける言葉が咄嗟に出てこないレーナだ。
「あーもぉ!!」と頬を染めつつ、余計な考えを払い除けるようにブンブンと頭を左右に振ると、幾分か落ち着いた。惚れた腫れたにかまけるつもりはないのだ。
「わたしはリュザス様のために、やるべきことが出来ればそれでいいの! 今はリュザス様の世界を、予定外に乱すクロ男を何とかするだけよ!!」
「分かってる。だから敢えて言った」
だがエドヴィンは拒絶の言葉もさらりと躱して、自分の主張をぶつけて来る。その上、レーナの心の乱れなどお構いなしに、竜化させたアルルクへ自分とレーナを乗せさせて、彼女が取りたかった采配をさらりと代わりに振ってしまう。
(これだから、乙女ゲームの攻略対象は!! なんで危機対策と恋愛シチュをさらっと両立させちゃうかな!? しかも向けるべき相手は平凡村娘のわたしじゃないでしょーーー)
心の中で歯噛みしていれば、レーナの肩の上で無言を貫いていたプチドラが、小さな手で『よしよし』と頭を撫でてきた。
『罪よねー。無知もまた罪なのよ。あたしくらいイイ女になんなきゃ、わかんない話なのよねー』
「いや、いったい何の話!? それより、またプチドラちゃんに蔓薔薇をお願いしたいんだけど、出来る?」
『ふふん、あたしを誰だと思ってんのよ――で? 具体的に何をしろって?』
愉し気に笑うプチドラにレーナが計画を伝えれば、何故か『やるだけやってみるわ……』と、心底げんなりした様子でしぶしぶ承諾したのだった。
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