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第三章 文化体育発表会編
じゃあ、ダイジェスト的にまとめてみよう。
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建国期調査は、やればやるほどお伽噺の『かぐや姫』の物語に似通っていて、頭を抱えることになった。かぐや姫のパロディな世界に生きてるの?わたし‥‥と。転生前の記憶がなければ、そう云うものだと受け入れていたであろう神話だけれど。
かつて女神が地上に在ったとき、自らを信奉する者達から捧げられた5つの神器(仏の御石の鉢、蓬萊の玉の枝、火鼠の裘、龍の頸の珠、燕の子安貝)により、その力をふるい、世界を繁栄へと導いた。
しかし、時の最高権力者「帝」にその存在を「恨まれ」て地上から去った。
心優しい女神は、後世のために神器を地上に遺し、今も月からわたしたちを見護っているのだという。
ほらね、アイテムと登場人物、そして月へ昇るラストはお伽噺と同じよね?
けど、最近身の回りに続々現れすぎな神器の継承者ってものに、あれ?なんかちょっとおかしいな、とも思ったわけよ。
「かぐや姫‥‥超尻軽説浮上ね。」
「セレネ、なかなか楽しい見解だけど、どうしてそうなっちゃうの?」
「ばっ‥‥、おい!不敬だろ。」
スバルは笑顔で、神殿司でもあるギリムはしかめっ面でわたしを見る。いや、わたしだって何の根拠もなくそんな事を言ってるんじゃないのよ。――と、右手の人差し指を立てて顔の前で「チッチッチ」と左右に振る。何故かもっと嫌そうな顔をされたけど。
「だってねぇ、マイアロフ様は神器がただの道具なんてものじゃないって分かっていらっしゃるでしょ?それがかぐや姫の周りに5つもよ!?」
『自らを信奉する者達から捧げられた』神器って伝えられてるけど、実際『神器』は道具じゃなくて、特殊な魔力を持った人間ありきのモノだった。ってことは・よ?この世界の事実では、お伽噺でかぐや姫に求愛した5人の貴公子が、彼女の望みの物を持って来たのではなく、かぐや姫に自身を捧げたことから神器って呼ばれてるだけなんじゃないの?
それで帝に恨まれてってなると、要するに5人の高スペック貴公子を侍らせていたかぐや姫に焼きもちを焼いた帝が――って理屈で通じるわよね?言うなれば独占欲か嫉妬よね。
「―――っ!待て、お前の言わんとすることは分かった。だからそれ以上言うな。」
「ギリム殿?顔が赤いが君たちは一体何の話をしているんだ?私にも分かるように話してくれないか?」
スバルが困った様にわたしと、ギリムの間に視線を彷徨わせる。
同じグループのスバルにも説明したいけど、ギリムがわたしの話しを止めたって事は、継承者とかはあんまり大っぴらに出来ない情報なのかしら?じゃあ、ダイジェスト的にまとめてみよう。
「わたしの説『かぐや姫と5人の貴公子、引き裂かれた帝の恋心と愛憎渦巻く建国期』について話して良いかしら?」
ぎょぎょっと目を剥いたのはギリムだけではなく、周囲のクラスメートも同様だった。何気にみんな聞き耳を立てていた様だ。けれど、2名には笑いのツボに嵌ったらしく、スバルは声を立てて笑い、扉の向こうからは「ぶふっ」と、赤髪の護衛が噴き出すのが聞こえた。
「バンブリア嬢、なかなか面白い発想ですが、この課題は創作ではなく、史実や史跡などの調査と、その結果のまとめ方を学び発表するものですよ?」
歴史学の担当教授が教卓からこちらを見て苦笑している。
「なら、調査結果がそうなったのなら良いってことですね。分かりました、張り切って調査します!新しい切り口のかぐや姫の物語を楽しみにしていてください。」
「バンブリア嬢、神殿に仕える俺の立場も少しは考えてくれ‥‥。」
「ふふっ、マイアロフ殿。調べた結果が必ずしもセレネの言う様な衝撃的なものになると確定している訳ではないし、取り敢えず調査してみよう。」
「分かっている。分かってはいるが、こう‥‥何故かバンブリア嬢にかかると、結果がとんでもないモノになりそうな妙な胸騒ぎがするんだが。俺の気のせい、危惧であることを祈ろう――女神に。」
眉間に深く皺を刻んで瞠目したギリムに、わたしは愛想笑いを向けつつ、心の中では少しでも観覧者の目を引く新しい発見が出来ると良いと、強く決意するのだった。
歴史学の授業時間が終わると、ギリムはいつものようにさっと教室を退出していった、ただし片手を頭に添えて頭痛を堪えるように。
そして続く時間は音楽だったのだけれど、それは従来の授業とは異なり文化体育発表会での歌劇発表に向けた、縦割りでの編成となる。4学年いる全学園生約400名を3つのグループに分けて、それぞれ異なる歌劇を演じることになっており、今日は、そのグループ決めが行われる。
やり方は簡単、各学年毎に取り敢えず3グループに分かれる。その方法は各学年で話し合って決める。決まった後に、4学年分を組み合わせて3つのグループにまとめる。ただし、4学年をまとめる際は学園長や教員が少々手心を加える。まぁ、この世の中が全てにおいて民主的なばかりでなく、時には諾々と従うしかない場面もあると云う世知辛い部分も理解しろってことなのかもしれない。
「ちょっと!あたしがいるグループが、この演目なんておかしいわよ!!」
毎年こんなやりとりは必ずあるけど、やっぱり貴女もだったわね、ユリアン。
かつて女神が地上に在ったとき、自らを信奉する者達から捧げられた5つの神器(仏の御石の鉢、蓬萊の玉の枝、火鼠の裘、龍の頸の珠、燕の子安貝)により、その力をふるい、世界を繁栄へと導いた。
しかし、時の最高権力者「帝」にその存在を「恨まれ」て地上から去った。
心優しい女神は、後世のために神器を地上に遺し、今も月からわたしたちを見護っているのだという。
ほらね、アイテムと登場人物、そして月へ昇るラストはお伽噺と同じよね?
けど、最近身の回りに続々現れすぎな神器の継承者ってものに、あれ?なんかちょっとおかしいな、とも思ったわけよ。
「かぐや姫‥‥超尻軽説浮上ね。」
「セレネ、なかなか楽しい見解だけど、どうしてそうなっちゃうの?」
「ばっ‥‥、おい!不敬だろ。」
スバルは笑顔で、神殿司でもあるギリムはしかめっ面でわたしを見る。いや、わたしだって何の根拠もなくそんな事を言ってるんじゃないのよ。――と、右手の人差し指を立てて顔の前で「チッチッチ」と左右に振る。何故かもっと嫌そうな顔をされたけど。
「だってねぇ、マイアロフ様は神器がただの道具なんてものじゃないって分かっていらっしゃるでしょ?それがかぐや姫の周りに5つもよ!?」
『自らを信奉する者達から捧げられた』神器って伝えられてるけど、実際『神器』は道具じゃなくて、特殊な魔力を持った人間ありきのモノだった。ってことは・よ?この世界の事実では、お伽噺でかぐや姫に求愛した5人の貴公子が、彼女の望みの物を持って来たのではなく、かぐや姫に自身を捧げたことから神器って呼ばれてるだけなんじゃないの?
それで帝に恨まれてってなると、要するに5人の高スペック貴公子を侍らせていたかぐや姫に焼きもちを焼いた帝が――って理屈で通じるわよね?言うなれば独占欲か嫉妬よね。
「―――っ!待て、お前の言わんとすることは分かった。だからそれ以上言うな。」
「ギリム殿?顔が赤いが君たちは一体何の話をしているんだ?私にも分かるように話してくれないか?」
スバルが困った様にわたしと、ギリムの間に視線を彷徨わせる。
同じグループのスバルにも説明したいけど、ギリムがわたしの話しを止めたって事は、継承者とかはあんまり大っぴらに出来ない情報なのかしら?じゃあ、ダイジェスト的にまとめてみよう。
「わたしの説『かぐや姫と5人の貴公子、引き裂かれた帝の恋心と愛憎渦巻く建国期』について話して良いかしら?」
ぎょぎょっと目を剥いたのはギリムだけではなく、周囲のクラスメートも同様だった。何気にみんな聞き耳を立てていた様だ。けれど、2名には笑いのツボに嵌ったらしく、スバルは声を立てて笑い、扉の向こうからは「ぶふっ」と、赤髪の護衛が噴き出すのが聞こえた。
「バンブリア嬢、なかなか面白い発想ですが、この課題は創作ではなく、史実や史跡などの調査と、その結果のまとめ方を学び発表するものですよ?」
歴史学の担当教授が教卓からこちらを見て苦笑している。
「なら、調査結果がそうなったのなら良いってことですね。分かりました、張り切って調査します!新しい切り口のかぐや姫の物語を楽しみにしていてください。」
「バンブリア嬢、神殿に仕える俺の立場も少しは考えてくれ‥‥。」
「ふふっ、マイアロフ殿。調べた結果が必ずしもセレネの言う様な衝撃的なものになると確定している訳ではないし、取り敢えず調査してみよう。」
「分かっている。分かってはいるが、こう‥‥何故かバンブリア嬢にかかると、結果がとんでもないモノになりそうな妙な胸騒ぎがするんだが。俺の気のせい、危惧であることを祈ろう――女神に。」
眉間に深く皺を刻んで瞠目したギリムに、わたしは愛想笑いを向けつつ、心の中では少しでも観覧者の目を引く新しい発見が出来ると良いと、強く決意するのだった。
歴史学の授業時間が終わると、ギリムはいつものようにさっと教室を退出していった、ただし片手を頭に添えて頭痛を堪えるように。
そして続く時間は音楽だったのだけれど、それは従来の授業とは異なり文化体育発表会での歌劇発表に向けた、縦割りでの編成となる。4学年いる全学園生約400名を3つのグループに分けて、それぞれ異なる歌劇を演じることになっており、今日は、そのグループ決めが行われる。
やり方は簡単、各学年毎に取り敢えず3グループに分かれる。その方法は各学年で話し合って決める。決まった後に、4学年分を組み合わせて3つのグループにまとめる。ただし、4学年をまとめる際は学園長や教員が少々手心を加える。まぁ、この世の中が全てにおいて民主的なばかりでなく、時には諾々と従うしかない場面もあると云う世知辛い部分も理解しろってことなのかもしれない。
「ちょっと!あたしがいるグループが、この演目なんておかしいわよ!!」
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