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第四章 女神降臨編
羞恥のあまり即時撤退!
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「じゃあ決定で。言ってダメなら行動で解ってもらう!わたしたち現代人の底力を帝に見せ付けて、もう世代交代の時期だって思ってもらえる様にとことん頑張るわ!どんな頑固な職人も100日通って熱意と誠意を見せれば絆されてくれるみたいに、粘り強い頑張りが頑なな気持ちを溶かすのよ!」
「んん?セレ?まさかこれまでそんなことやってたの!?それに時間はかけられないと思うよ!?」
拳を握って勢いよく宣言すると、ハディスがあたふたとしながら、わたしに続いて立ち上がる。しかも何か勘違いをしている。
「実際に100日通い詰めたのはお父様よ。帝も職人も同じ人間で年長者だから、きっと同じやり方で分かってくれるって意味で言っただけよ?」
補足すると、ハディスは何故か目に見えてほっとしたみたいだった。「良かった、セレがどこの誰とも知れない奴のところに100日も通い詰めてたなんて事があったら、僕がおかしくなるところだった……」なんて嫉妬発言しているのは、危機の迫った今、敢えて聞こえない振りをしておこう。
「じゃあ、2人の理解が得られたって事で、わたし頑張ってあの牡丹獅子に向かってみようと思う!倒したりするのはまぁ、無理があると思うけど、何か出来ないかとにかく現状把握して来るわ」
勇ましく言ってみたものの、仰ぎ見れば視界に一度に収まりきらないほど大きな姿が夜空を埋め尽くしている。大きすぎて最早何の何処か分からなさすぎるから、怖さはそれほど感じない。何なら、単なる山や浮き島が目の前に飛び込んできた程度の感想だ。
「さてどこから取り掛かったものかしら」
観察対象のあまりの大きさに、膨大な作業量が予測出来すぎてつい億劫になる。頬に手を当てて、はぁ――……と、溜め息を吐けば両脇と背後から3人分の押し殺した笑い声が聞こえて来る。
「何?3人揃って何かあったの?」
「くくっ……うん、1人で取り掛かろうとしてるなんて、セレらしいなぁと思って」
わたしを除け者にして、何を笑っているの!?と、恨めしげな視線を向ければ、ハディスが更に愉快そうに声をたてて笑う。
「桜の君は、私たちにお命じになっても良いんですよ?あの不格好な存在を消して来いと」
「どうして?護衛の仕事じゃないし、敵だって決めつけるのは早くない?」
即座に答えると、オルフェンズも更に喉の奥でクククと笑う。もしかしたら、あの巨大なモノも帝みたいにかぐや姫の意識を持っているかもしれないし。だからいきなり敵対はしたくないだけなんだけど、愉快そうなオルフェンズが不可解だ。
「子猫ちゃんは1人で立ち向かえると思ってるんだ?」
「小さなことからコツコツと、突破口を探しての積み上げが肝心でしょうね。―――じゃっ!」
何故か揶揄するようなポリンドに答えて、ベランダから獅子目掛けてジャンプしようと、魔力を全身に巡らせた瞬間――
「だから、危険なことに進んで顔を突っ込まない。じっと待つことも覚えること。約束を守ること。止まれ、待て、守れ。何度も言ってるのに忘れた?!」
と、ハディスに両肩を押さえられる。何をするんだと、抗議の視線を向ければ、ハディスが顔全体に苦笑を滲ませている。
「ちょっとは僕に格好付けさせて?僕が行く。大切な子に危ない真似はさせられない」
「出来る範囲だから問題ありません。過保護は嫌われますよ?子供には特に。ハディは……」
ヘリオスと同じで、融通が聞かない教育ママじみたところがありますよね―――と続けようとした所で、ハディスが「んぇっ!??」と、素っ頓狂な声をあげる。
何でそんな反応を……と質問しかけたけれど、赤く染まったハディスの頬を見て、即座に理解した。
――あぁぁぁ!!!そう言う意味じゃない――――!!!!わたしとハディスの子供なんて言ってないからぁぁぁぁ゛
「あぁもぉ!思いきりが肝心なんですから、行ってきますっ」
羞恥のあまり即時撤退!と、グッと足に力を込め、全身に魔力を漲らせたたわたしは、今度こそ帝が守るバルコニーから飛び出す。ハディスも動揺から立ち直れていないのか、今度は止められなかった。
途端に酷い吐き気と頭痛が襲ってくるけど、最初ほど酷い訳じゃないし、動くことも出来る。
空中に身を踊らせながら、怪しく魔力で身を包む獅子の巨体に、ふと気付いた。
――飛び移ろうと思ったけど、もしかしてこの獅子って化身みたいに掴めない系だったら詰む!!!
慌てて緋色ネズミの着ぐるみパジャマモードになるよう、魔力を纏った。
「んん?セレ?まさかこれまでそんなことやってたの!?それに時間はかけられないと思うよ!?」
拳を握って勢いよく宣言すると、ハディスがあたふたとしながら、わたしに続いて立ち上がる。しかも何か勘違いをしている。
「実際に100日通い詰めたのはお父様よ。帝も職人も同じ人間で年長者だから、きっと同じやり方で分かってくれるって意味で言っただけよ?」
補足すると、ハディスは何故か目に見えてほっとしたみたいだった。「良かった、セレがどこの誰とも知れない奴のところに100日も通い詰めてたなんて事があったら、僕がおかしくなるところだった……」なんて嫉妬発言しているのは、危機の迫った今、敢えて聞こえない振りをしておこう。
「じゃあ、2人の理解が得られたって事で、わたし頑張ってあの牡丹獅子に向かってみようと思う!倒したりするのはまぁ、無理があると思うけど、何か出来ないかとにかく現状把握して来るわ」
勇ましく言ってみたものの、仰ぎ見れば視界に一度に収まりきらないほど大きな姿が夜空を埋め尽くしている。大きすぎて最早何の何処か分からなさすぎるから、怖さはそれほど感じない。何なら、単なる山や浮き島が目の前に飛び込んできた程度の感想だ。
「さてどこから取り掛かったものかしら」
観察対象のあまりの大きさに、膨大な作業量が予測出来すぎてつい億劫になる。頬に手を当てて、はぁ――……と、溜め息を吐けば両脇と背後から3人分の押し殺した笑い声が聞こえて来る。
「何?3人揃って何かあったの?」
「くくっ……うん、1人で取り掛かろうとしてるなんて、セレらしいなぁと思って」
わたしを除け者にして、何を笑っているの!?と、恨めしげな視線を向ければ、ハディスが更に愉快そうに声をたてて笑う。
「桜の君は、私たちにお命じになっても良いんですよ?あの不格好な存在を消して来いと」
「どうして?護衛の仕事じゃないし、敵だって決めつけるのは早くない?」
即座に答えると、オルフェンズも更に喉の奥でクククと笑う。もしかしたら、あの巨大なモノも帝みたいにかぐや姫の意識を持っているかもしれないし。だからいきなり敵対はしたくないだけなんだけど、愉快そうなオルフェンズが不可解だ。
「子猫ちゃんは1人で立ち向かえると思ってるんだ?」
「小さなことからコツコツと、突破口を探しての積み上げが肝心でしょうね。―――じゃっ!」
何故か揶揄するようなポリンドに答えて、ベランダから獅子目掛けてジャンプしようと、魔力を全身に巡らせた瞬間――
「だから、危険なことに進んで顔を突っ込まない。じっと待つことも覚えること。約束を守ること。止まれ、待て、守れ。何度も言ってるのに忘れた?!」
と、ハディスに両肩を押さえられる。何をするんだと、抗議の視線を向ければ、ハディスが顔全体に苦笑を滲ませている。
「ちょっとは僕に格好付けさせて?僕が行く。大切な子に危ない真似はさせられない」
「出来る範囲だから問題ありません。過保護は嫌われますよ?子供には特に。ハディは……」
ヘリオスと同じで、融通が聞かない教育ママじみたところがありますよね―――と続けようとした所で、ハディスが「んぇっ!??」と、素っ頓狂な声をあげる。
何でそんな反応を……と質問しかけたけれど、赤く染まったハディスの頬を見て、即座に理解した。
――あぁぁぁ!!!そう言う意味じゃない――――!!!!わたしとハディスの子供なんて言ってないからぁぁぁぁ゛
「あぁもぉ!思いきりが肝心なんですから、行ってきますっ」
羞恥のあまり即時撤退!と、グッと足に力を込め、全身に魔力を漲らせたたわたしは、今度こそ帝が守るバルコニーから飛び出す。ハディスも動揺から立ち直れていないのか、今度は止められなかった。
途端に酷い吐き気と頭痛が襲ってくるけど、最初ほど酷い訳じゃないし、動くことも出来る。
空中に身を踊らせながら、怪しく魔力で身を包む獅子の巨体に、ふと気付いた。
――飛び移ろうと思ったけど、もしかしてこの獅子って化身みたいに掴めない系だったら詰む!!!
慌てて緋色ネズミの着ぐるみパジャマモードになるよう、魔力を纏った。
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