ある令嬢のススメ

とある令嬢のススメ

とある子爵家の一室




夕暮れ時の華やかな晩餐。



    「今日は、何かのお祝いかしら？随分と豪華ね」
    「私がクラックにお願いしたの。」
    「 そうなの？何か良いことがあったのね？」
    「ふふふ、良いこと… えぇ、確かに良いことでしたわ。」
    「そう。よければ後で教えてね。エレナ」
 
 食卓に着く前の母娘の会話、母親は少し娘の笑い方に疑問を持ちつつ、テーブルについた。


    




     「あぁ、待たせてしまったかな？……今日は豪華だな。さ、食べよう」

少し遅れて入室して来たのはエレナの父親で、今日のメインは父の好きな
～仔羊のリブロースステーキ・リプルのソースとサンサを添えて～なのでいそいそと席についた。
リプルは林檎、サンサは山菜








暫く、室内は食器の音に包まれ、前菜、スープ、パンと食べ進め、3人の前にメインの肉料理が用意された。


       「おぉ、美味しそうだ。早速……」
       「お待ちになって、お父様」

父親がメインに手を出す前にエレナは父を止めた。
        「なんだい？エレナ」
        「どうしたの？エレナ。お料理さめてしまうわ」
        「お父様、お母様。メインの前にどうしても聞きたいことがあるのです」


父と母はエレナの少し真剣な表情に何事かと思いつつ先を促した。


       「 今日は友人の茶会に出席してたのですが、その茶会でとても不思議なことがありましたの」