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Chapter.minus
(or after it)
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この白昼の景色に色はない。
俯瞰すれば私の赤い眼と小さな花飾りのみが薄らと映る雪景色。肌のと髪の真っ白な私は誰からの目にも映らないだろう。
どれだけ声を出したとしても、強く吹き付ける風と雪の音にかき消され、私の歩いた轍もいずれは雪に埋もれて消える。
ここにいる私は無色透明。そこらで寝転がっても、逆立ちしても、叫んでも誰も来ない。誰もいない。孤独。
でも、寂しくはない。寧ろ、寂しさに慣れてしまったと言った方がいい。もう人の数倍も生きているものだから、ありとあらゆる感情に慣れてしまった。
この雪の冷たさも、身体が吹き飛んでしまいそうな豪風も、何も映らない景色でさえも、私はどこかで経験している。何を見ても、何かに似た景色やイメージがぼんやりと頭に浮かぶ。
別に雪景色が私の日常だった訳ではない。様々な記憶の複合が、脳にデジャヴを感じさせているだけなのだろう。
退屈で孤独。常人には耐え難い苦痛だ。同じ生活を繰り返し、同じ日々を誰とも関わらずに過ごすのは、たとえ心に傷を負って独りになりたい時があったとしても、永遠には続かない。
自ら己の行動を拒否するだろう。
今はとても便利になったもので、人と会話をせず寂しさだけなら紛らわす事ができる。側から見れば空虚なものかもしれない。それでも、人は誰だって報われくて、愛されていたくて、栄光を片手に自らの永遠の繁栄を願いたい。
永遠の命を授かった私ですら全ての願望は叶っていない。寧ろ、歳を重ねて我が儘になってしまった。その上、叶えたいものもスケールが大き過ぎるという点もある。そもそも生理的な欲望が備わった人間にはどうであれ全てを叶える事など出来ないものなのだが。
今日はそんな我が儘な私の願いの一つが叶う日。真っ白な景色と別れを告げ、月の光が満ちる頃合いに、その時がやってくるだろう。
だから、今日こそ赦してもらおう。私は今一度、無垢な悪食の華になる。
俯瞰すれば私の赤い眼と小さな花飾りのみが薄らと映る雪景色。肌のと髪の真っ白な私は誰からの目にも映らないだろう。
どれだけ声を出したとしても、強く吹き付ける風と雪の音にかき消され、私の歩いた轍もいずれは雪に埋もれて消える。
ここにいる私は無色透明。そこらで寝転がっても、逆立ちしても、叫んでも誰も来ない。誰もいない。孤独。
でも、寂しくはない。寧ろ、寂しさに慣れてしまったと言った方がいい。もう人の数倍も生きているものだから、ありとあらゆる感情に慣れてしまった。
この雪の冷たさも、身体が吹き飛んでしまいそうな豪風も、何も映らない景色でさえも、私はどこかで経験している。何を見ても、何かに似た景色やイメージがぼんやりと頭に浮かぶ。
別に雪景色が私の日常だった訳ではない。様々な記憶の複合が、脳にデジャヴを感じさせているだけなのだろう。
退屈で孤独。常人には耐え難い苦痛だ。同じ生活を繰り返し、同じ日々を誰とも関わらずに過ごすのは、たとえ心に傷を負って独りになりたい時があったとしても、永遠には続かない。
自ら己の行動を拒否するだろう。
今はとても便利になったもので、人と会話をせず寂しさだけなら紛らわす事ができる。側から見れば空虚なものかもしれない。それでも、人は誰だって報われくて、愛されていたくて、栄光を片手に自らの永遠の繁栄を願いたい。
永遠の命を授かった私ですら全ての願望は叶っていない。寧ろ、歳を重ねて我が儘になってしまった。その上、叶えたいものもスケールが大き過ぎるという点もある。そもそも生理的な欲望が備わった人間にはどうであれ全てを叶える事など出来ないものなのだが。
今日はそんな我が儘な私の願いの一つが叶う日。真っ白な景色と別れを告げ、月の光が満ちる頃合いに、その時がやってくるだろう。
だから、今日こそ赦してもらおう。私は今一度、無垢な悪食の華になる。
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