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3章 貴族になる

6話 黒い牛鬼、討伐する

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 俺と清音は菊に報告する
 「帝から黒い牛鬼の討伐命令を受けました。」
 「そうですか、かなわなければ逃げてください。」
 「いいのですか。」
 「死んではなりませんよ。」
 「分かりました。」
俺は答える。
 俺たちは国府を出発する。
 1日目の夕方が来る。
 俺たちは寝る場所を決め、俺は木の周りに陣を張る。
 俺と清音は木に上で眠る。
 深夜、大牙が3匹陣の周りを嗅ぎまわるが無視する。
 近くに大きな群れがいるのだろう。
 翌朝、俺たちは出発し午後には鳴尾村に着く。
 村に入ろうとするとそれを見つけた村人が言う
 「忌み人は入って来るな。」
俺たちは鉄製の札を示し
 「帝の命令で黒い牛鬼の討伐に来た。」
と言う。
 村人は驚き、村長の家に案内する。
 村長は家の外で出迎えている。
 村長は俺たちを見ると家の中に招き入れる。
 俺たちは広間に案内される。
 村長は俺たちに聞く
 「軍隊はどこですか。」
 「俺たち2人だけです。」
 「大丈夫なのですか。」
 「やってみなければわかりません。」
俺ははっきり言う
 「討伐軍の時はひどかったのです。」
 「そうですか、牛鬼はどこに現れるのですか。」
 「黒い牛鬼は、夕方、割目池のほとりにいると水面に腕を出して足を掴みに来ます。」
 「ならば、夕方まで休ませてもらいます。」
 「おとりは必要ではないのですか。」
 「必要ありません。」
それを聞いて村長はホッとする。
 村人に犠牲者を出さずに済むのだ。
 休憩するために俺たちに村長は部屋を用意してくれる。
 俺は清音の仮面を外しキスをする。
 清音は俺に言う
 「つな、無茶としないでね。」
 「分かっているよ。」
今回、清音の刀は通用しないのである。
 俺の魔力を乗せた刀がどこまで通用するかで決まる。
 夕方になる、俺と清音は割目池のほとりで黒い牛鬼が襲ってくるのを待つ。
 突然、池の水が割れ、大きな黒い腕が俺の足を掴みに来る。
 俺は飛びのいてさける。
 池の中から牛の頭をした鬼が出てくる。
 体も角も黒い。
 黒い牛鬼である。
 動きが異常に早い。
 一瞬で清音の前に立ち、右腕を振る。
 清音は姿勢を低くしてかわすと懐に入りすれ違いざま胴を切る。
 彼女はすぐに牛鬼から距離を取る。
 刀に切った手ごたえがないのである。
 牛鬼の胴には傷ができているだけで出血はない。
 俺は刀に力を乗せ、力を収束して刃の形にする。
 牛鬼は再び清音の前に立つ。
 俺は
 「伏せろ!」
と言いながら力の刃を投げる。
 清音が伏せるとその後ろから力の刃が飛んでくる。
 牛鬼は避けることが出来ず胸に力の刃を受ける。
 黒い牛鬼は胸に深手を負う。
 俺は真っ二つにできると思ったがそれ以上に固い。
 牛鬼は池の中に逃げようとするが清音が先回りしている。
 俺は刀を力で強化して、牛鬼の後ろに回る。
 清音は牛鬼の間合いに入り胸の傷口を狙って突きを入れる。
 俺は牛鬼の左足を切り落とす。
 清音は刀を離し、牛鬼の攻撃をかわす。
 そして彼女は倒れた牛鬼に刺さったままの自分の刀の柄頭を蹴り、刀を牛鬼の心臓まで届かせる。
 「うおぉぉぉ」
と黒い牛鬼が痛みに叫ぶ。
 俺は牛鬼の首を切り落とす。
 俺たちは何とか黒い牛鬼の討伐に成功する。
 討伐の証拠に黒い牛鬼の首をもって村長の家に戻る。
 村長は俺たちを迎えにでる
 俺は村長に言う
 「退治しましたよ。」
 「ありがとうございます、これで安心して暮らせます。」
村長は礼を言う。
 俺たちは、祝いを兼ねた夕食を食べ、一緒に風呂に入る。
 金髪碧眼美少女との風呂は何度入ったも俺を癒してくれる。
 清音は俺の背中を洗ってくれる。
 俺は清音の小さな背中を洗う。
 部屋に行くと布団はくっつけて敷いてある。
 俺たちはキスをしてから寝る。
 翌朝、俺たちは村を離れる。
 牛鬼を退治したことは昨日のうちに知れ渡っている。
 そのためか村総出で俺たちを送り出してくれる。
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