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3章 貴族になる

7話 黒い牛鬼、討伐の褒賞

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 俺と清音は国府に戻る。
 門兵は俺たちに気づくと門兵の1人が城に走る。
 俺たちはそのまま門を通り城へと向かう。
 城門に着くと門兵が
 「開門!」
と大声を出す。
 木製の両開き戸が開く。
 その先にある門に行くと門兵が言う
 「牛鬼の首を入れてください。」
彼は大きな首桶を差し出す。
 俺は牛鬼の首を桶に入れる。
 そして、桶をもって中に入る。
 中には案内人が待っている。
 俺と清音は案内人について行く。
 城の中庭に着くと貴族たちが大勢いる。
 俺たちが来ると両側に分かれる。
 正面には帝が立っている。
 俺と清音は中庭の中央まで歩くと膝まづく。
 俺は帝に言う
 「討伐の命、果たしてまいりました。」
 「大儀でありました。」
 「はい。」
俺と清音は頭を下げる。
 大臣の九条正親が言う
 「首をあらためます。」
俺は牛鬼の首を首桶から出して、前に置く。
 貴族たちから驚きの声が聞こえる。
 帝は、俺たちに言う
 「討伐の功をもって、つな、清音に官5位を任じます、また褒賞と黒い牛鬼の角を取らせます。」
 「はい、ありがたく頂戴します。」
貴族たちから拍手が起きる。
 俺たちは部屋に戻ると菊がいる。
 菊は俺と清音を褒める
 「良くやった。」
 「はい、ありがとうございます。」
 「褒美に牛鬼の角で刀を作ってやろう。」
 「すごい刀が出来そうですね。」
清音が目を輝かせる
 「角倉に頼むとするか。」
 「彼は商人ですよ。」
 「宗七に任せれば、良い職人を選ぶことが出来よう。」
 「そうですね。」
俺は宗七を厄介ごとに巻き込んでしまったのではと思う。
 しばらくすると褒賞と黒い牛鬼の角が届く。
 褒賞は金貨100枚である。
 当分、遊んで暮らせそうだ。
 菊がいう
 「つな様と清音様はもう貴族なのですからそのようにふるまってください。」
 「貴族ですか。」
 「そうです、官5位なのですよ。」
ふるまえと言われてもどうしたらいいのかわからなかった。
 3日後、官5位の証の鉄製の札が届く。
 札には帝の家紋の板倉巴が刻まれている。
 さらに10日後、角倉宗七が城に来る。
 彼は菊に呼ばれてきたのだ。
 菊は彼に黒い牛鬼の角を渡して言う
 「この角をつな様と清音様にふさわしい刀にしてください。」
 「はい、分かりました。」
菊は費用として金貨20枚を宗七に渡す。
 その後、宗七は俺たちの部屋に来る
 「つな様、清音様、討伐おめでとうございます。」
 「知っていたのですか。」
 「私は商人ですよ。」
 「遠いところすみません。」
 「いいえ、菊姫様と商談できました、これもお二人のおかげです。」
 「迷惑でなかったのなら良かったです。」
宗七は俺たちの刀の要望を聞くと扶桑へ戻っていく。
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