上 下
95 / 244
7章 四條家の行く末

1話 四條家の娘

しおりを挟む
 日野信当たちは話し合いをする
 「つなと清音は領地を返上しましたぞ。」
 「欲がないのう。」
 「いや、自分たちの分をわきまえているのでしょう。」
 「そんなことはありませんぞ。」
 「領地を返上したことで、帝の心証を良くしています。」
 「領地より菊姫をとるつもりか、狡猾な。」
 「やはり、つなには退場していただきたいですな。」
 「何か良い手はないものか。」
つなを始末する考えは出てこない。
 九条正親たちは話し合う
 「つな殿が領地を返上するといったときは驚きましたぞ。」
 「あれが正解だ。帝の覚えがよくなった。」
 「そうですな。」
 「後、官位を1つ上げれば、菊姫と結婚できますからな。」
 「いやいや、官1位になってもらわなくては。」
 「そうすれば、後継者は菊姫に決まりでしょう。」
 「そうですな。」
 「つな殿には、ますます活躍してもらわねばなりません。」
彼らは、つなに期待をかける。
 四條兼隆しじょうかねたかの娘、日奈ひなが町中を歩いている。
 以前は町中を歩くことはなかった。
 いつも付き人がいて牛車で移動していた。
 そんな生活も大叔父の四條道隆が乱を起こすまでのことだ。
 貴族との付き合いはなくなり、使用人もやめていく。
 こうして今は1人で母のおつかいを行くところである。
 「こいつ、四條ではないか。」
突然、声がかかる。
 5人組の若い貴族が、日奈を見ている。
 日奈は立ち止まり身構える。
 周りにいた町の人々が嫌なものを見たように立ち去る。
 5人組は街では有名である。
 店にいちゃもんを付けたり、娘をかどわかしたりするのだ。
 「四條が町を歩いていていいのかなー」
 「また、反乱を企てているんかもしれないなー」
 「これはよく調べないとなー」
5人組は日奈に近づく。
 日奈は逃げ出すが、すぐに捕まる
 「何逃げているんだよ。」
 「こっちへ来い。」
 「体中を調べてやる。」
5人組は裏道に日奈を引きずって行く
 「いやー、助けてー」
町の人々は関わろうとはしない。
 裏道は狭く薄暗い。
 5人組は、日奈を見下ろし下卑た笑いをしながら
 「本物のお嬢様だぜ。」
 「元だろ、元。」
 「こんないい女はなかなかいないぞ。」
 「楽しませてもらわなくてわな。」
5人は着物をはぎ始める。
 日奈は、恐怖で声が出ない。
 そして、自分の運命を呪う。
 どうせ嫁ぎ先はないのだ。
 「おい、何をしている。」
声がかけられる。
 五人組は振り向き
 「邪魔するなー」
と威嚇する。
 見ると町人風の男と忌み人の女である。
 「俺たちにたてつくつもりか。」
 「平民と忌み人が貴族に近づくな。」
俺が、見ると娘は着物が乱れ半裸の状態である
 「くされ貴族か。」
俺は5人組をさげすんで言う
 「誰にものを言っている。」
一番背の高い男が殴りかかってくる。
 俺はよけ足を引っかける。
 男は顔から地面に突っ込む。
 4人は刀を抜く。
 俺と清音も刀を抜く。
 4人組の1人が、俺たちの刀の柄にある板倉巴の家紋に気づく
 「おい、帝の家紋だ。」
 「嘘だろ。」
 「間違いない。」
 「じゃぁ、こいつら。」
 「つなと清音だ。」
4人は刀を納めると気を失っている仲間を担いで逃げていく。
 日奈は何とか気を保ち、礼を言おうとする
 「四條兼隆の娘、日奈と申します。」
 「その前に着物を直した方が・・・」
 「つなは見てはだめ。」
清音が着物の乱れを直すのを手伝う。
しおりを挟む
1 / 4

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

俺たちの誓い

BL / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:37

新作マフラー展示中

現代文学 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

異世界転生した僕と、異世界召喚された勇者の君

BL / 完結 24h.ポイント:120pt お気に入り:255

The Raptor 〜競技麻雀が嫌いな不良少年と、賭け麻雀が嫌いな優等生〜

MIX
青春 / 連載中 24h.ポイント:28pt お気に入り:8

モラトリアムの猫

BL / 連載中 24h.ポイント:71pt お気に入り:45

君の瞳から流れる涙の色は

BL / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:11

織田信長を救うためになら-私欲の歴史改変-

歴史・時代 / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:0

処理中です...