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7章 四條家の行く末

7話 牛車の中で日奈と

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 菊は四宮へ帰ることにする。
 石川影平からは500人の軍を動かしたことの戦費の相談などを催促されている。
 本来ならば武芸大会が終わったら、四宮に戻っていたはずなのである。
 今回、俺と清音は牛車に乗らなければならないらしい。
 これまでは官5位ということで無理やり護衛として歩いていたのだ。
 俺たちは、官4位になってしまい、護衛というわけにいかなくなったのである。
 菊の旅の行列は人用牛車5台に護衛が弥次郎と千代音入れて26人である。
 先頭と最後尾の牛車には付き人が乗り、2番目が千代、3番目が菊、4番目が俺と清音、日奈が乗っている。
 弥次郎と千代音は、菊の牛車の両側に着いている。
 城から都市の門までのまっすぐの広い道を通り都市の門から外へ出る。
 前回、牛鬼に襲われているので、護衛は警戒している。
 1日目の夕方が来る。
 俺たちは、寝る場所を決めて陣を張る。
 俺と清音は警戒のため、牛車の外で寝る。
 深夜になると一つ目が3匹近づいてくる。
 護衛たちは、すでに慣れているので、静かにしている。
 一つ目は、しばらく付近を嗅ぎまわっていたが立ち去って行く。
 2日目も無事に過ぎていく。
 3日目、川に出る。
 清音は水浴びをしたそうであるが、護衛は牛鬼を警戒している。
 菊は、何も指示を出さない。
 そして川を無事に渡り終える。
 6日目まで何事もなく旅を無事に続ける。
 7日目、菊は暇になったのか、清音を自分の牛車に呼ぶ。
 「つな様と仲良くしているようね。」
 「つなとはいつも一緒よ。」
 「夜のことよ。」
清音は赤くなる
 「千代も日奈も平等にしているよ。」
 「つな様は上手なようね。」
菊はうらやましく感じる。
 俺は日奈と牛車の中で2人きりになる。
 いつも清音がいるので新鮮に感じる
 「隣、行っていいですか。」
 「いいよ。つらくはないの。」
 「どうしてですか。」
 「四條のために来たのでしょ。」
 「私はつな様と一緒で幸せですよ。」
 「日奈は俺に体を預けてくる。
俺が日奈を見つめると目をつむる。
 俺はキスをして押し倒す。
 牛車の中という、いつもと違う環境で俺は興奮したのか我を忘れる。
 日奈が声を上げようとするのを押しと止めて
 「外に聞こえるよ。」
と囁く。
 俺と日奈は我を忘れる。
 気が付くと牛車は止まっており、清音が中を見ている。
 後ろには、菊がいる。
 清音は冷たい目で見降ろしながら言う
 「楽しそうね。」
 「・・・」
 「姫様、そちらに乗せてください。」
と言いながら去って行く。
 俺は清音を追おうとしたが、裸である。
 牛車は動き出す。
 俺は身なりを整えると日奈に謝り、牛車の外に出る。
 菊の牛車に行くと弥次郎が
 「つなさん、がんばれ。」
と気楽に言う。
 反対側では千代音が冷たい視線を向けてくる。
 俺は歩きながら
 「清音、話を聞いてくれ。」
 「いや、ごめんなさい。」
 「お願いだから。」
牛車の中から反応はない。
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