祓い屋の俺は異世界で魔法剣士となって金髪碧眼美少女と旅をしながら無双する

17章 大治防衛戦

3話 忠正、討ち死にする

　翌日、翔馬は、夜明け前に門を出る。
　大治の兵たちも配置に着き始める。
　明るくなってくると佐山の軍が動かず、北の丘の上に布陣している。
　佐山の軍が太鼓を打ち鳴らすと昨日と同じように１０００人の兵が横陣形で前進してくる。
　翔馬の軍が前に出る。
　佐山の陣では、孟鬼が雑鬼に言う
　「出てきたぞ。」
　「蹴散らしてまいります。」
雑鬼は出撃をする。
　再び佐山の陣から太鼓を打ち鳴らす音がする。
　丘の陣から雑鬼の軍１０００が縦陣形で駆け下りてくる。
　翔馬の軍は前進を再開して、雑鬼の軍に向かう。
　雑鬼の軍は魚鱗の陣を取る。
　雑鬼は軍の先頭に立つ。
　翔馬は鶴翼の陣を取る。
　翔馬の軍と雑鬼の軍がぶつかる。
　先頭の雑鬼を四條忠正が止める。
　翔馬の軍が雑鬼の軍を取り囲む形になる。
　一方、前進していた佐山の軍は１０匹の赤鬼に追われながら、がむしゃらに前進する。
　柵の１０メートル前に積まれた仲間の死体を踏み越えて柵に到達する。
　佐山の兵は、柵の内側から大治の兵に刺殺される。
　しかし、佐山の兵は止まらない。
　柵の前には佐山の兵の死体が折り重なって行く。
　ついには赤鬼が柵に迫る。
　赤鬼は折り重なった佐山の兵を足場にして柵の中に入る。
　大治の兵は下がることなく赤鬼と戦う。
　赤鬼は兵の数に押されて倒れていく。
　翔馬の軍と雑鬼の軍は混戦状態になる。
　雑鬼は忠正と切り結んでいる。
　忠正は倭では剣の達人と知られており、昨日も赤鬼を６匹１人で倒している。
　忠正が上段から刀を振りおろすと雑鬼は左手で持った刀で受け、右こぶしを忠正の腹に撃ち込む。
　忠正は防具をつけているので怪我には至らなかったが大きな衝撃を受ける。
　雑鬼はこの隙を見逃さない。
　雑鬼は、忠正に左の胴を切り込む。
　忠正は刀と打ち下ろすと突きを繰り出す。
　雑鬼は頭をかしげて突きをかわし、右手で忠正の頭を掴むと抑え込み、膝蹴りを忠正の腹に入れる。
　忠正は鉄の味がこみあげてくる。
　内臓が傷ついたらしい。
　忠正は痛みをこらえながら刀を振るう。
　だんだん忠正は押されていく。
　忠正は雑鬼に袈裟切りにされる。
　だが防具があり傷は浅い。
　忠正は雑鬼の斬撃に防戦一方になる。
　周りの兵も乱戦に巻き込まれており、助けに行ける兵はいない。
　雑鬼は忠正をこの部隊の隊長だと思っている。
　翔馬は剣技も平凡であり目立たないのだ。
　雑鬼は忠正の刀を力任せにはね上げると胴に突きを入れる。
　忠正は吐血する。
　しかし忠正の目は死んでいない。
　雑鬼が上段に振りかぶると忠正は雑鬼の首を狙って突きを放つ。
　突きは雑鬼の首をかする。
　首から出血する。
　雑鬼は自分の血を見ると怒り、忠正への斬撃は激しくなる。
　忠正は意識を何とか持たせているが剣撃を受け流しているのは、体に染みついた技のおかげである。
　雑鬼は、とうとう忠正の刀を跳ね飛ばし、首をはねる。
　彼は忠正の首を掲げ
　「大将の首を取ったぞー」
と叫ぶ。
　翔馬は引き時と考え
　「我に続けー」
と叫び、大治の守備軍に向かって走り始める。
　兵たちが後に続く。
　雑鬼の兵もつられて後を追いかける。
　雑鬼は
　「待てー」
と叫び留めるが半数の兵が行ってしまう。
　翔馬は柵に着くと
　「弓隊用意、撃てー」
と号令をかける。
　追ってきた雑鬼の兵に矢が降り注ぐ。
　雑鬼の兵は逃げ出す。
　雑鬼は討ち取ったのは部隊の大将ではないと気づく。
　彼は失態を犯したのだ。
　雑鬼はミスを取り返そうと翔馬の軍の隙を伺うがこのまま夕暮れを迎える。
　２日目の戦が終わると翔馬の軍と大治の守備軍は、見張りの兵を残して門の中に入る。
　勝成が翔馬を迎える
　「よくやってくれました。」
　「こちらは四條殿を討ち取られました。」
　「そうですか、剣の達人と聞いていましたが。」
　「佐山の軍の将たちは腕が立ちそうです。」
　「出来るだけ時間を稼いでください。援軍がまいります。」
　「九条殿ならあと３日ほどで到着します。」
　「いえ、四宮の軍です。」
　「どのくらい待つのです。」
　「３，４日です。」
　「四宮には、つな殿がいましたね。」
　「はい、彼らだけでも来てくれれば戦況は変わります。」
　「これは戦ですよ。個の力は知れています。」
　「日野殿も彼らを知れば考えが変わりますよ。」
　「分かりました。何とか持たせて見せましょう。」
翔馬は、疲れが出始めている軍にもうしばらく頑張ってもらうことにする。