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3章 不老不死

3話 祐二の頑張り

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 沙衣は、祐二の部屋に来た翔太に言う
 「祐二が、お方様に攫われました。」
 「中井君がですか。」
 「全ての水道水を流してください。」
 「水浸しになりますよ。」
 「構いません。」
翔馬は、沙衣の勢いに押される形で従う。
 朝霧家に霧が立ち込め始める。
 霧は、沙衣にコントロールされあらゆるところに入って行く。
 そして、屋敷の北側にある倉に祐二を見つける。
 沙衣は、翔馬に言う
 「祐二は、屋敷の北側の倉にいます。」
 「あそこは開かずの倉です。」
 「生贄を食べる所ですね。」
 「中井君は、食べられてしまったのですか。」
 「いいえ、生きています。」
 「急ぎましょう。」
沙衣と翔馬は、カギをもって倉へ行く。
 倉に入ると若い男がいる。
 沙衣は、男に言う
 「あなたが、お方様ね。祐二は返してもらうわよ。」
 「翔馬さん、女を取り押さえてください。」
お方様は、翔馬に言う。
 しかし、翔馬は動かない。
 お方様の顔つきが変わる
 「おまえ、裏切ったな。約定を破ればどうなるかわかっているな。」
 「お方様の加護を受けるのは、父の代で終わりだ。」
お方様は翔馬を睨みつける。
 すると、翔馬は意に反して体が動き始め、沙衣の両腕を掴む。
 沙衣は、翔馬に言う
 「朝霧さんどうしたのですか。」
 「か、体が勝手に動くのです。」
お方様は、笑いながら言う
 「最初からそうしておけばよいのだ。」
沙衣は逃れようと暴れる。
 お方様は、沙衣に手をかざす。
 沙衣は、金縛りにあったように体が動かなくなる。
 お方様は、すべて自分の思い通りに事が運んででいると思う。
 彼は勝ち誇った様に祐二に言う
 「どうだ、女はもう動けないぞ。どう料理してやろう。」
祐二は横たわったまま見ている。
 「どうした、反抗してみろよ。」
 「手足を一本づつもぎ取って行こうか。」
お方様は祐二を見ながら言う。
 「そうだ、まずは犯してやろう。」
祐二が力を振り絞って言う
 「やめろ。」
 「やめてくださいだろうが。」
お方様は祐二を蹴る。
 そして嗜虐的な顔をして言う
 「決まりだな。犯してから、手足を1本づつもいでやろう。」
翔馬が叫ぶ
 「やめろー」
 「おまえたちも残忍な殺し方をしてやる。」
お方様は沙衣のスカートを引き裂いて取る。
 沙衣のすらっとした白い足がむき出しになる。
 お方様は言う
 「いいぞ・・・」
次の瞬間、お方様は、顔面を膝で蹴り上げられる。
 沙衣が右足で蹴ったのだ。
 沙衣は、金縛りにかかった時、体内の気を丹田に集めて体内で爆発させて金縛りを解いたのである。
 お方様はしゃべりすぎたのだ。
お方様はダメージを負ったが、翔馬の体は元に戻らない。
 彼は沙衣の両太ももを掴む。
 沙衣は叫ぶ
 「離してー」
お方様は沙衣に言う
 「助けは来ない。お前の運命は決まったのだ。」
沙衣は、霧のコントロールをかろうじて保っているが、それ以上のことは出来ない。
 羞恥心が邪魔しているのだ。
 お方様は沙衣の足を開かせようとする。
 すると後頭部に衝撃が走る。
 祐二が気力を出して立ち上がり、木の棒でお方様を力いっぱい殴ったのだ。
 祐二はお方様に言う
 「沙衣は、僕のものだ。」
お方様は強い衝撃を受けたことで、翔馬が自由になる。
 沙衣は、翔馬に言う
 「倉から逃げて。」
翔馬は沙衣に従って倉から出る。
 沙衣は、怒りお方様を睨みつけ言う
 「よくもやってくれたわね。」
お方様は、沙衣に言う
 「怒っても怖くありませんよ。」
お方様の周りに水の槍が出現して、彼を貫く。
 お方様は、刺さった槍を抜きながら
 「これくらいでは死にませんよ。」
と言う。
 沙衣は、水の刀と盾を作り出しお方様に盾をぶつけると盾からとげが飛び出し彼を貫く。
 彼女は、動けなくなった彼の首を水の刀ではねる。
 お方様は倒れ、首は転がっている。
 しかし、首から流れている血が胴体と繋がると首が元に戻る。
 お方様は沙衣に言う
 「あなたに殺すことはできませんよ。」
 「不死身なのかしら。」
 「不老不死です。1000年以上も前に人魚の肉を食べました。」
 「なら生き埋めにしようかしら。」
 「閉じ込めるのですか。」
 「なぜ、人を食べるの。」
 「半年ごとに人を食べたくなるのです。」
沙衣は、お方様をどう殺すか考える。
 その時、お方様は昏倒する。
 力を取り戻した祐二が木の棒で思いっきり殴ったのだ。
 「沙衣は、渡さないぞ。」
祐二はまだ言っている。
 沙衣は、お方様をとりあえず縛りあげることにする。
 そして、沙衣は人間大の水の球を作り上げる。
 水の球は、お方様を包み込む。
 水の球の中では無数の水の刃が高速で回っている。
 お方様は、切り刻まれていく、骨も残らない。
 水の球は赤い血の球になる。
 沙衣は、それを下水に流す。
 彼女は、翔馬に説明しようとするが翔馬に
 「まずはスカートをはいてください。」
と言われる。
 沙衣は戦闘で完全に忘れていたのである。
 彼女は替えのスカートをはくと囲炉裏のある部屋に行く。
 祐二はひどくやられていたが大丈夫のようである。
 沙衣は説明を始める
 「お方様は、1000年以上前に人魚の肉を食べた人間です。」
 「でも、人間とは思えません。おかしな力を使っていました。」
 「私にもわかりませんが、生きているうちに身に着けたと思います。」
 「お方様は、殺したのですね。」
 「はい、これでよみがえるようならば閉じ込めるしかありません。」
 「安心できないのですが。」
沙衣はペットボトルを出す。
 そこには何か赤いものがうねっている。
 「これはお方様の体に一部です。」
 「気持ち悪いですね。」
 「これは別の所に捨てますから復活はできません。」
 「ありがとうございます。これで安心できます。」
 「倉の床下の骨はどうしますか。」
 「警察に届けます。」
 「そうですか。」
沙衣は、仕事を終え帰ることにする。
 車の中で祐二は意を決したように言う
 「頑張ったからキスしてください。」
 「残念。恋人の時間は終わりました。」
 「そんなー」
 「でも見直したわよ。」
 「僕の沙衣を守るのは当然です。」
 「いつ、私が祐二のものになったの。」
 「僕は沙衣を命を懸けるくらい好きなんですよ。」
 「私、そんな重い好きはいらないわ。」
でも、祐二は諦めない。
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