勇者失格宣告~魔王と静かに暮らしたい

ぽとりひょん

文字の大きさ
27 / 118
第1章 バシュラール王国

第27話 ゾフィー女王の処刑とセリアの悲劇

しおりを挟む
 翌朝、オーガは上機嫌で朝食に来る。ディートハルトはアリソンの姿がないためオーガに聞く。
 「オーガ、アリソンはどうした。」「寝ているぞ。寝させてくれないから徹夜をしてしまったぞ。」
 「お前が寝させなかったのじゃないのか。」「いいや、何度も求められて楽しかったぞ。」
 「アリソンは嫌がっていただろ。」「俺様は女に優しいからな。すぐに俺様の虜だ。」
 「そ、そうなのか。」「リース様、俺様のテクニックを見ていましたよね。どうでしたか。」
 「気づいておったか。勉強になったぞ。」「リース、いないと思ったら、のぞきに行っていたの。」
 「お前様、のぞいてはおらん。気配を消して部屋に入って堂々と観察しただけじゃ。」「そうか、のぞいてないのならいいよね。」
ディートハルトは頭痛を感じる。昨夜はあんなに心配したのに何だったんだ。
 みんなが揃うとロックが言う。
 「この後、ゾフィー女王の処刑を行う。民衆が先走らないように気を付けてくれ。」「石を投げるくらいは大目に見てやってください。」
ディルクが言う。フールが補足する。
 「ゾフィー女王を街中を引き回す時、ゾフィー女王に民衆を近づけてはいけません。中には自分の手で復讐しようとする者がいるかもしれません。」
みんな、フールの言葉にうなづく。
 ゾフィー女王がホブゴブリンに牢から連れ出される、彼女はボロの服を着せられ、裸足になる。さらに両手を荒縄で縛られてつながれ、鎧を着たオーガに引きずられるように歩く。
 オーガの前には馬に乗った四天王が先導して次に馬車に乗ったロックとリースが続き、その後ろを馬に乗った中西とヤコブ隊長がいる。
 その後ろを徒歩のオーガに縄で連れられるゾフィー女王が裸足で歩く。その後抑えを徒歩のゴブリン隊がする。
 ゾフィー女王は屈辱で口元が震えている。しかし王城を出ると大勢の人々がゾフィー女王に罵声を浴びせる。彼女は民衆に恨まれていることを知る。
 途中で刃物を持った女性が彼女に向かってくる。すぐにゴブリン隊が取り押さえるが女性は憎しみの目を向けて叫ぶ。
 「私の夫を返してー」
ゾフィー女王は「そんなことは知らない」と言い返したかったが、恐怖で体がすくんで声が出ない。民衆がゾフィー女王に向けて物を投げ始める。石が頭に当たって血が出る。
 人々はそれを見て笑う。今度は卵が当たって服を汚す。泣き出したいが耐える。ナイフが飛んでくるがゴブリン隊が素早く動いて剣で叩き落とす。
 とうとうゾフィー女王は腰が抜けて地面に座り込み、泣き出す。
 「私がみんな悪いのか。何もしていないぞ、やったのは兵たちであろ。」
ゾフィー女王の言葉に怒りの罵声が飛ぶ。さらに石が投げつけられる。オーガは構わず引きずって行く。両足が傷つき血が流れる。行列は街の大きな通りを一周して王城前の広場に着く。
 広場には火刑の用意がすでにされている。ゾフィー女王は柱に縛る付けられる。そして、泣き叫ぶ、すでに心は折れていた。
 「いやじゃ。助けて。何でもする。謝罪もする。もう痛いのはいやじゃ。」
民衆は歓声を上げ始める。
 「殺せー。」「早く火をつけろ。」「悪女を殺せー」
ゾフィー女王泣き叫ぶにつれて、歓声は大きくなる。ロックが合図すると柱の根元に配置された乾燥した草が混ざった木に火がつけられる。乾燥した草が混ざっているため一気に燃え始める。
 民衆が喜びの声を上げる。ゾフィー女王は悶え苦しんだが、しばらくして動かなくなる。ロックが民衆に宣言する。
 「バシュラール王国はこの炎から生まれ変わる。僕がこの国を変えよう。君たちが笑って暮らせる国にして見せよう。」
 「いいぞ、勇者様ー」「ロック、ロック、ロック、ロック、ロック、ロック・・・」
ロックコールの中、ロックたちは城に戻る。城に戻るとフールがロックに言う。
 「見事なタイミングでの演説でした。」「なんか、何か言わないといけないと思ったんだ。」
 「これで女王の死は無駄にならないでしょう。」「でも、作るのはバシュラール魔王国なんだよね。」
 「大丈夫です。豊かな国になれば文句は出ません。」「僕が魔王か。」
ロックは魔王になることには納得していないが、みんなに担ぎ上げられている以上、責任は果たさなければならないと考えている。

 午後になり、セリアが、ホブゴブリンによって牢から引き出される。セリアが連れられて行ったのは姉のアリソンの部屋だった所だ。部屋には侍女たちが待っていた。
 そして、部屋の中に豪華なピンクのドレスと数多くの装飾品が置かれている。装飾品はどれも宝石が散りばめられ高価な物ばかりだ。
 侍女たちは黙って、セリアにドレスを着せる。彼女は侍女に質問する。
 「これから、何が起きるのですか。」「答えられません。」
 「私の言うことが聞けないの。」「もうあなたはあるじではないのですよ。」
侍女たちは辛そうな顔をする。セリアは不安になって来る。次に装飾品をつけられる。数多くの装飾品がセリアに付けられる。
 「こんなに付けたら、かえって下品ですわ。」
セリアは抗議する。侍女たちが口を押えて泣き出す。いったい何が起きるの。だんだん不安が大きくなる。着付けが終わるとセリアはホブゴブリンに城門に連れられて行く。
 城門には、ロックやディートハルト、ヨーゼフ、アデリナ、ティアナたち知った顔がいる。セリアはディートハルトたちに言う。
 「今から何をするの?」
ディートハルトたちは顔を背けて何も言わない。ロックが前に出て大きな声で言う。
 「セリア・ド・バシュラールを王城から追放する。」
セリアは驚いて叫ぶ。
 「どこへ行けというの。城から出たことなんかないのよ。」「好きにするがいい。」
城門は開かれる、外には民衆が集まっている。セリアは大勢の人に震えあがる。セリアは勘で民衆に悪意を感じたのだ。
 「いやよー、やめてー」
ボブゴブリンが槍を突き付ける。セリアは仕方なく、歩き出す。民衆な中から声が聞こえる。
 「高価な物を身に付けているぞ。」「売ればしばらく遊んで暮らせるな。」「よく見れば、いい女だぜ。」「おまえ、ロリコンだからな。」
セリアは突然、城壁に沿って走り出す。民衆が追いかけて、セリアは捕まる。
 「この王冠は俺のものだ。」「私に渡しなさいよ。」
セリアに人々が群がる。すると男たちが群がっていた人々を暴力でセリアから引きはがす。男たちは10人いた。
 「この女は俺たちのものだ。宝石も返しな。」
男たちは転がっている人々にけりを入れて、装飾品を回収する。男たちは言う。
 「お前たちはそこで見て楽しむんだな。」
男たちはセリアのドレスを力づくで引き裂き脱がせ始める。セリアは泣き叫ぶ。
 「許してー、お願いよー」
セリアは全裸同然になると男たちはいやらしい目で嘗めなめ回すように見るとそのうちの1人が覆いかぶさって来る。セリアは恐怖で声が出ない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております

紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。 二年後にはリリスと交代しなければならない。 そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。 普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...