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第2章 建国
第3話 ユリアン・ライヒェンバッハ
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ロックたちが朝食をとっていると貴族の役人たちがやって来る。
「あの男は何なのですか、我々のことを無能と言いましたぞ。」「ロック様が宰相に任命したとか。」
「僕が彼を宰相にしたんだ。彼の指示に従ってくれ。」「奴は、私をクビだと抜かしたんですぞ。」
「じゃあ、クビね。」「なっ・・・」「小僧!あとで泣きついて来ても知らんぞ。」
貴族は怒って出ていく。ロックは貴族制度が無くなったら彼らはどうするのだろうと考える。
「お前様、面白くなってきましたね。」「カール、1人でどうしているんだろ。様子を見てみよう。」
「我も興味がある。一緒しますわ。」「カールもリースが顔を出せば喜ぶよ。」
ロックとリースはカールのいる部屋へ行く。するとカールは仕立ての良いスーツを着て役人や侍女たちに指示を出している。侍女たちは皆若い女性である。
カールは整った顔をして均整の取れた体つきをしているので様になって見える。侍女たちは顔を紅潮させて指示を嬉々としてこなしている。カールはロックたちに気づくとリースに言う。
「リース様、今日もお美しい、今は忙しいので残念です。ロック、この書状をもってライヒェンバッハ商会のユリアンを法務大臣にスカウトしてくれ。」「どんな奴かな。」
「一日中、法律関係の本を読んでいる変わり者さ。頼むぞ、このままだと過労死してしまう。」「分かったよ。カールを失うわけにはいかないからね。」
ロックはディルクと共にライヒェンバッハ商会に行く。商会長が挨拶をする。
「ロック様に来ていただけるとは光栄です。」「ユリアン・ライヒェンバッハに会いに来ました。」
「息子にですか。あいつに商売に身を入れるように言ってやってください。」
商会長は息子のユリアンを呼びに行く。商会長と眼鏡をかけた金髪のくせ毛の青年が出てくる。
「君がユリアンですか。」「そうです。何か用ですか。」
「ユリアンに法務大臣をして欲しいのです。」「断ります。他を当たってください。」
「カール・プロイセの推薦なんだが。」「カール・・・」
ユリアンの動きが止まる。ロックはカールに受け取った書状をユリアンに渡す。ユリアンは書状を読むと震えだす。
「カールめ、僕の考えを否定するつもりか。あんた、法務大臣になれと言ったな。」「ああ、そうだよ。」
「やるよ。僕の思い通りに法律を変えてやる。」「えっ、法律を変えるのか。」
「そうだよ。何か文句あるか。」「一応、作った法律を確認するからね。」
「僕の法律は完璧さ。」
ロックはユリアンをとんでもない人物だと感じる。だが、カールが推すからには有能に違いない。
ユリアンは簡単な荷造りをするとロックたちと王城へ行く。そして、溜まっていた今日の分の判決を手早く片付けると法律の立案に取り掛かる。
ロックはカールの所へ行く。カールは朝と変わらず働いている。それでも余裕が出てきたのか、ロックに話しかける。
「ユリアンは俺の書状を読んだら法務大臣を引き受けただろう。」「ああ、ふるえていたぞ。」
「それは見てみたかったな。あいつは国民主権を考えているんだ。」「あと人権と平和主義を考えていそうだな。」
「なんだそれは。」「こちらの話だ。気にしないでくれ。」
「あいつは王の権利をはく奪しようと考えているのさ。」「魔王国だからね。ある程度は認めてもいいかな。」
「何を言っている。魔王国の国民はみんな魔王のものだぞ。」「地方の自治などを認めてやるのさ。」
「国力が弱くなるぞ。」「国民には権利を勝ち取った分、義務が生じるのさ。例えば国に丸投げしていた問題を自分たちで解決するとかさ。」
「それはいい。細かい問題までこちらで解決する手間が省ける。」
翌日の朝食から、カールとユリアンが加わる。カールとユリアンは法律の話に熱中している。エスリムが嘆く。
「カール、いい男なのに難しい話ばかりして。私だめだわ。付き合うのは無理。」
エスリムの脱落に若い侍女たちが小さくガッツポーズをする。
ユリアンはこれまで1日かけて行っていた裁判を午前中に自ら行い、片づけてしまう。午後からは新しい法案を作りだす。裁判官からロックに苦情が来る。
「私たちの仕事が奪われてしまいました。新しい法務大臣は自らすべての裁判の判決を出しています。」「ユリアン法務大臣とは話したのかな。」
「あんな横暴な奴に話すことはありません。」「彼は僕がスカウトしてきたんだよ。」「しかし・・・」
ロックは仕方なくユリアンと裁判官の話し合いの場を作る。
「なぜ、私たちの仕事を取るのです。」「それは非効率で平等な判決を出していないからだ。」
「私たちは、過去の判例に基づいて判決をしている。同じような事例を探すため、時間がかかるのは当然だ。」「過去の判例など法を拡大解釈したものが多い。参考にはならない。」
「では、どうやって判決を出すのだ。」「法に照らして判断すればいい。できないのならばやめてしまえ。」
「分かった、法に基づいて判決を出そう。若造になめられてはいられないからな。」「期待しているよ。」
裁判官たちはユリアンの意外な言葉にびっくりする。そして、彼らは、明日の裁判の準備に取り掛かる。ロックはユリアンに言う。
「わざと裁判官に発破をかけたのかい。」「私1人が判決を出していたら法治国家とは言えないからな。」
「元王国に法治国家なんてないだろ。」「私が法務大臣になったからには法治国家になってもらう。」
「僕は王様だけどどうなるのかな。」「もちろん法に従ってもらうよ。」
これはリースや四天王たちともめそうである。作る国は魔王国なのだから除外規定を作らないと大変なことになりそうだ。
「あの男は何なのですか、我々のことを無能と言いましたぞ。」「ロック様が宰相に任命したとか。」
「僕が彼を宰相にしたんだ。彼の指示に従ってくれ。」「奴は、私をクビだと抜かしたんですぞ。」
「じゃあ、クビね。」「なっ・・・」「小僧!あとで泣きついて来ても知らんぞ。」
貴族は怒って出ていく。ロックは貴族制度が無くなったら彼らはどうするのだろうと考える。
「お前様、面白くなってきましたね。」「カール、1人でどうしているんだろ。様子を見てみよう。」
「我も興味がある。一緒しますわ。」「カールもリースが顔を出せば喜ぶよ。」
ロックとリースはカールのいる部屋へ行く。するとカールは仕立ての良いスーツを着て役人や侍女たちに指示を出している。侍女たちは皆若い女性である。
カールは整った顔をして均整の取れた体つきをしているので様になって見える。侍女たちは顔を紅潮させて指示を嬉々としてこなしている。カールはロックたちに気づくとリースに言う。
「リース様、今日もお美しい、今は忙しいので残念です。ロック、この書状をもってライヒェンバッハ商会のユリアンを法務大臣にスカウトしてくれ。」「どんな奴かな。」
「一日中、法律関係の本を読んでいる変わり者さ。頼むぞ、このままだと過労死してしまう。」「分かったよ。カールを失うわけにはいかないからね。」
ロックはディルクと共にライヒェンバッハ商会に行く。商会長が挨拶をする。
「ロック様に来ていただけるとは光栄です。」「ユリアン・ライヒェンバッハに会いに来ました。」
「息子にですか。あいつに商売に身を入れるように言ってやってください。」
商会長は息子のユリアンを呼びに行く。商会長と眼鏡をかけた金髪のくせ毛の青年が出てくる。
「君がユリアンですか。」「そうです。何か用ですか。」
「ユリアンに法務大臣をして欲しいのです。」「断ります。他を当たってください。」
「カール・プロイセの推薦なんだが。」「カール・・・」
ユリアンの動きが止まる。ロックはカールに受け取った書状をユリアンに渡す。ユリアンは書状を読むと震えだす。
「カールめ、僕の考えを否定するつもりか。あんた、法務大臣になれと言ったな。」「ああ、そうだよ。」
「やるよ。僕の思い通りに法律を変えてやる。」「えっ、法律を変えるのか。」
「そうだよ。何か文句あるか。」「一応、作った法律を確認するからね。」
「僕の法律は完璧さ。」
ロックはユリアンをとんでもない人物だと感じる。だが、カールが推すからには有能に違いない。
ユリアンは簡単な荷造りをするとロックたちと王城へ行く。そして、溜まっていた今日の分の判決を手早く片付けると法律の立案に取り掛かる。
ロックはカールの所へ行く。カールは朝と変わらず働いている。それでも余裕が出てきたのか、ロックに話しかける。
「ユリアンは俺の書状を読んだら法務大臣を引き受けただろう。」「ああ、ふるえていたぞ。」
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「なんだそれは。」「こちらの話だ。気にしないでくれ。」
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「それはいい。細かい問題までこちらで解決する手間が省ける。」
翌日の朝食から、カールとユリアンが加わる。カールとユリアンは法律の話に熱中している。エスリムが嘆く。
「カール、いい男なのに難しい話ばかりして。私だめだわ。付き合うのは無理。」
エスリムの脱落に若い侍女たちが小さくガッツポーズをする。
ユリアンはこれまで1日かけて行っていた裁判を午前中に自ら行い、片づけてしまう。午後からは新しい法案を作りだす。裁判官からロックに苦情が来る。
「私たちの仕事が奪われてしまいました。新しい法務大臣は自らすべての裁判の判決を出しています。」「ユリアン法務大臣とは話したのかな。」
「あんな横暴な奴に話すことはありません。」「彼は僕がスカウトしてきたんだよ。」「しかし・・・」
ロックは仕方なくユリアンと裁判官の話し合いの場を作る。
「なぜ、私たちの仕事を取るのです。」「それは非効率で平等な判決を出していないからだ。」
「私たちは、過去の判例に基づいて判決をしている。同じような事例を探すため、時間がかかるのは当然だ。」「過去の判例など法を拡大解釈したものが多い。参考にはならない。」
「では、どうやって判決を出すのだ。」「法に照らして判断すればいい。できないのならばやめてしまえ。」
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裁判官たちはユリアンの意外な言葉にびっくりする。そして、彼らは、明日の裁判の準備に取り掛かる。ロックはユリアンに言う。
「わざと裁判官に発破をかけたのかい。」「私1人が判決を出していたら法治国家とは言えないからな。」
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そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
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