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第2章 建国
第15話 ゴブリン部隊出動
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バシュラール魔王国の建国に民衆は歓迎してお祭り騒ぎは1週間も続いた。これはゾフィー女王がバシュラール王家の信頼を地に落としていたこと。ロックたちが城から食料と資金を放出したことで冬を無事に越せたこと。ロックが国を動かすようになって生活が楽になったことによる。
ロックは魔王を名乗ることで民衆から反発があると予想していたが、民衆には勇者も魔王も関係ないようだった。
しかし、貴族はロックに接見した時、ほとんどの者が友好的ではなかった。さらに貴族からは困窮を訴える書状がいくつも届いている。宰相のカールはロックに言う。
「貴族のことは気にすることはありません。反乱を起こそうにも民衆が許さないでしょう。」「民衆がひどい目に遭わないかな。」
「そうなれば、軍を動かして貴族を討ち取るだけです。」「できるだけ、血は流したくないが・・・」
「これだけの変革を実行するのです。無傷では済まないでしょう。」「分かっているよ。」
コシニアのバルテル伯爵家は商業ギルドと通じて、資金的に余裕のない商会をいくつか傘下に収めて、これからの財源を確保する。
さらにアーダルベルトは民衆の利益に対する課税を法律で定められた3割5分より低い3割にする。こうしてバルテル伯爵家は民衆の支持を得ようとする。
一方、オルドビスの森に接するタリンでは領主の貴族は賄賂を要求するなど蓄財に走り、課税も以前のまま4割を要求したため、民衆の不満が溜まる。
貴族のあり方は末端の兵にまで及ぶ。兵が賄賂を要求し、恐喝まがいのことまで白昼の中でするようになる。
その頃、オルドビスの森の中では、ゴブリンたちがグラムの訓練に耐え、一人前の兵になっていた。ゴブリン部隊は大きくなったため、ヤコブ隊長は大隊長になる。
その下に、シブリン隊長、ヤブ隊長、サンタ隊長が部隊を率いることになる。
フールの使い魔の小人は、オルドビスの森の外のタリンの変化を観察している。フールはロックに言う。
「婿殿、タリンで暴動が起きる恐れがあります。」「まだ、起きていないんだね。」
「はい、領主が蓄財に走り、兵たちが腐敗して白昼堂々と賄賂を要求したりしています。それに住民から4割の課税を搾取しています。」「法律違反だね。領主を拘束しよう。」
「おそらくそれでは、民衆は治まらないと思われます。」「軍を動かすのか?カールを呼んでくれ。」「はい。」
フールは宰相のカールを呼びに行くとともにタリンの状況を説明する。カールはロックに言う。
「ちょうど、オルドビスの森にいるゴブリン部隊が部隊編成を終えて実働できる状態にあります。」「ゴブリンだけでは住民が怖がらないかな。」
「魔物と人間の共存も我がバシュラール魔王国の特徴です。ヤコブ大隊長がうまくやるでしょう。」「私が陰から見守ります。」
フールがカールの言葉にフォローを入れる。
「分かった。彼らに任せよう。住民には危害を与えないように厳命してくれ。」「はい、直ちに。」
ヤコブ大隊長に小人が命令を伝える。
「今からロック様の命令を伝える。タリンの領主を拘束するように殺してはだめだぞ。」「はっ。」
「そして住民には手を出してはいけない。手を出せば厳しい処分が下る。抵抗する兵は殺しても構わない。」「了解しました。」
ヤコブ大隊長は全員に招集をかける。シブリン隊長、ヤブ隊長、サンタ隊長の部隊が素早く揃う。ヤコブ大隊長が気合を入れる。
「集まるのに3分かかっているぞ。3分あれば何人殺せる。俺は5人は殺すぞ。お前たちは黙って殺されるのか。」「「「ノー、サー」」」
「いいか、敵より早く動け。」「「「イエス、サー」」」
「ロック様からお前たちにチャンスが送られた。任務はタリンの領主の拘束だ。住民は傷つけるな。向かってくる兵は殺せ。」「「「ヤー」」」
「シブリン隊長は正面を突破せよ。ヤブ隊長は町の壁を破って突入せよ。サンタ隊長は私と共にシブリン隊長を援護、突入する。」「ヤー」
ゴブリン部隊の動きは早い。すぐに猛然と行進を始める。オルドビスの森をドドドドドドドドドと走って行く。タリンの門兵は多量の土煙を発見する。すぐにゴブリンの大軍だとわかる。
門兵は慌てて門の扉を閉じる。そこへゴブリンたちがドンとぶつかる。1回の突進で門のかんぬきが折れる。門兵が叫ぶ。
「門が持たないぞー」
次の突進でゴブリンたちが突入してくる。今度は街の壁が揺れ始める。揺れはどんどん大きくなり、崩れてそこからゴブリンが乱入してくる。
兵も住民もパニックに陥る。兵たちは住民を放置して、我先に逃げ出す。ゴブリンたちは領主の館に向かって行く。そこでは少数の兵が守っていたが、訓練を受けたゴブリンにかなうわけがない。
ゴブリンは兵に剣を打ち込むと兵は剣を受けきれず、倒れたり、持っていた剣を弾き飛ばされたりする。ゴブリンは2撃目の打ち込みで兵を討ち取って行く。
ゴブリンたちは部屋をしらみつぶしに調べていく。領主は執務室の机の下に隠れている。そこへフールがやってきて言う。
「あなたは4割の課税をしていましたね。これは法律違反です。」「あんた、フール様ではないか。ゴブリンたちを何とかしてくれ。」
「ゴブリン部隊はロック様の命令で動いています。止められません。」「金を欲しいだけ出すから助けてくれ。」
「ゴブリンたちに言うのですね。」「そんなー」
執務室にゴブリンたちが入って来る。フールが言う。
「領主は机の下に隠れています。」「フール様、感謝します。」
ゴブリンたちは領主を机の下から引きずり出す。
「助けてくれ、金ならいくらでも出す。」「俺たちが欲しいのはお前だー」「ひええぇぇ~」
ゴブリンは領主をヤコブ大隊長に引き渡す。領主の館の周りには住民が遠巻きに見ている。ヤコブ大隊長は、領主を引きずって前に立ち大声で言う。
「我々はロック様の命で領主を拘束に来た。住民には危害を加えない安心してくれ。」
しばらくすると住民から拍手が起こり、歓声に変わる。そして誰かが大声で言う「殺せー」、歓声が変わる「殺せ、殺せ、殺せ・・・・・」
フールが前に出て言う。
「今、ここにロック様と宰相のカールが向かっています。法律に照らし合わせて裁きが下されるでしょう。」「ロック様が来て下さるぞ。町は救われるぞ。」
住民は納得したのか解散していく。翌日、ロックとカールがタリンに到着すると住民が歓迎する。
ロックとカールが領主の館の執務室に入ると領主がゴブリンに連れて来られる。
「助けてくれ。徴収した税は民衆に返す。罰金もいくらでも払う。」
領主は必死に訴える。カールは領主を睨みつけると言う。
「お金の問題ではありません。あなたが我が国の法を軽んじたことが問題です。」「謝る。出来心だったんだ。ちょっと多い税を徴収しただけだろ。」
「あなたのような者は、我が国の害です。明日、縛り首にします。」「待ってくれ。他の貴族もやっていることだろ。」
「連れて行きなさい。」
翌日、町の中の広場で領主が縛り首の台に立たされる。住民たちが集まって領主にやじを飛ばすうちにシュプレヒコールに変わる。
「しーね、しーね、しーね・・・・・」
領主は青くなり、漏らす。ロックの合図で台が外されて刑が執行される。住民たちから拍手が起こる。
フールは領主の館から食料を住民に放出する。そして、蓄財していた財産は没収にて国庫に納める。
タリンでは一部の兵が住民に襲われたが暴動には発展しなかった。ロックはカールに言う。
「他の貴族も粛清するのか。」「タリンの裁きを知っても正さなければ、粛清します。」
ロックはタリンで粛清が最後になることを願う。また、タリンでは、バシュラール魔王国初の住民による自治が始まることになる。
ロックは魔王を名乗ることで民衆から反発があると予想していたが、民衆には勇者も魔王も関係ないようだった。
しかし、貴族はロックに接見した時、ほとんどの者が友好的ではなかった。さらに貴族からは困窮を訴える書状がいくつも届いている。宰相のカールはロックに言う。
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「そうなれば、軍を動かして貴族を討ち取るだけです。」「できるだけ、血は流したくないが・・・」
「これだけの変革を実行するのです。無傷では済まないでしょう。」「分かっているよ。」
コシニアのバルテル伯爵家は商業ギルドと通じて、資金的に余裕のない商会をいくつか傘下に収めて、これからの財源を確保する。
さらにアーダルベルトは民衆の利益に対する課税を法律で定められた3割5分より低い3割にする。こうしてバルテル伯爵家は民衆の支持を得ようとする。
一方、オルドビスの森に接するタリンでは領主の貴族は賄賂を要求するなど蓄財に走り、課税も以前のまま4割を要求したため、民衆の不満が溜まる。
貴族のあり方は末端の兵にまで及ぶ。兵が賄賂を要求し、恐喝まがいのことまで白昼の中でするようになる。
その頃、オルドビスの森の中では、ゴブリンたちがグラムの訓練に耐え、一人前の兵になっていた。ゴブリン部隊は大きくなったため、ヤコブ隊長は大隊長になる。
その下に、シブリン隊長、ヤブ隊長、サンタ隊長が部隊を率いることになる。
フールの使い魔の小人は、オルドビスの森の外のタリンの変化を観察している。フールはロックに言う。
「婿殿、タリンで暴動が起きる恐れがあります。」「まだ、起きていないんだね。」
「はい、領主が蓄財に走り、兵たちが腐敗して白昼堂々と賄賂を要求したりしています。それに住民から4割の課税を搾取しています。」「法律違反だね。領主を拘束しよう。」
「おそらくそれでは、民衆は治まらないと思われます。」「軍を動かすのか?カールを呼んでくれ。」「はい。」
フールは宰相のカールを呼びに行くとともにタリンの状況を説明する。カールはロックに言う。
「ちょうど、オルドビスの森にいるゴブリン部隊が部隊編成を終えて実働できる状態にあります。」「ゴブリンだけでは住民が怖がらないかな。」
「魔物と人間の共存も我がバシュラール魔王国の特徴です。ヤコブ大隊長がうまくやるでしょう。」「私が陰から見守ります。」
フールがカールの言葉にフォローを入れる。
「分かった。彼らに任せよう。住民には危害を与えないように厳命してくれ。」「はい、直ちに。」
ヤコブ大隊長に小人が命令を伝える。
「今からロック様の命令を伝える。タリンの領主を拘束するように殺してはだめだぞ。」「はっ。」
「そして住民には手を出してはいけない。手を出せば厳しい処分が下る。抵抗する兵は殺しても構わない。」「了解しました。」
ヤコブ大隊長は全員に招集をかける。シブリン隊長、ヤブ隊長、サンタ隊長の部隊が素早く揃う。ヤコブ大隊長が気合を入れる。
「集まるのに3分かかっているぞ。3分あれば何人殺せる。俺は5人は殺すぞ。お前たちは黙って殺されるのか。」「「「ノー、サー」」」
「いいか、敵より早く動け。」「「「イエス、サー」」」
「ロック様からお前たちにチャンスが送られた。任務はタリンの領主の拘束だ。住民は傷つけるな。向かってくる兵は殺せ。」「「「ヤー」」」
「シブリン隊長は正面を突破せよ。ヤブ隊長は町の壁を破って突入せよ。サンタ隊長は私と共にシブリン隊長を援護、突入する。」「ヤー」
ゴブリン部隊の動きは早い。すぐに猛然と行進を始める。オルドビスの森をドドドドドドドドドと走って行く。タリンの門兵は多量の土煙を発見する。すぐにゴブリンの大軍だとわかる。
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「門が持たないぞー」
次の突進でゴブリンたちが突入してくる。今度は街の壁が揺れ始める。揺れはどんどん大きくなり、崩れてそこからゴブリンが乱入してくる。
兵も住民もパニックに陥る。兵たちは住民を放置して、我先に逃げ出す。ゴブリンたちは領主の館に向かって行く。そこでは少数の兵が守っていたが、訓練を受けたゴブリンにかなうわけがない。
ゴブリンは兵に剣を打ち込むと兵は剣を受けきれず、倒れたり、持っていた剣を弾き飛ばされたりする。ゴブリンは2撃目の打ち込みで兵を討ち取って行く。
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【作者より、感謝を込めて】
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そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
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