勇者失格宣告~魔王と静かに暮らしたい

ぽとりひょん

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第2章 建国

第19話 キングスライム

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 リースは王都の中のレストランとパン屋を買収する。リースは本業のゼーテ商会の収益に加えて、コシニアに出店しているゼーテ商会コシニア支店、レストラン「リースの食卓」、パン屋「リースのパン」が予定以上に利益を出しているので資金は十分にある。レストランは従業員をそのまま雇い、コシニアからシェフを呼んでハンバーグとカレーのレシピを完全に引き継がせる。
 ハンバーグとカレーを完全に作れるようになると「リースの食卓」をオープンする。すぐにハンバーグとカレーは人気が出て、すぐに王都で有数の人気店になる。
 パン屋の方は、職人がパンの作り方にこだわっていたため、彼らに菓子パンを作らせるのに難航する。職人たちは自分たちが納得するものが出来るまで試行錯誤を繰り返す。
 「リースのパン」は、レストラン「リースの食卓」に1カ月遅れて開店する。菓子パンはすぐに住民に流行して、大繁盛する。
 リースは魔王ロックの妻と言うほか、実業家として有名になる。

 ヴァルハラ王国メジナのダンジョンでは、トウヤたち勇者がホーンラビットと戦っている。トウヤたちは腕を上げてホーンラビットの動きに対応できるようになっている。
 戦士のヒナタが前に出てホーンラビットの突撃を斧ではじくとユキコがホーンラビットの着地の瞬間を狙って剣で首をはねる。ユキコがホーンラビットに言う。
 「ごめんなさい。」「ユキコ、謝るくらいなら最初から戦うな。」
アンドレアスがユキコに注意する。
 「かわいいからつい。」「姿はウサギに似ていても凶暴な魔獣だ。かわいそうなんて考えをしていると大けがをするぞ。」「はい。」
ダンジョンを進むとホーンラビットが5匹出てくる。サチが炎熱魔法でけん制しているうちに斥候のケンゴがホーンラビットの後ろに回り込み、短剣で切りつける。
 ホーンラビットは2匹を狩られるが、他のホーンラビットは気づいていない。トウヤとユキコ、ヒナタが切り込む。ホーンラビットは炎熱魔法で足止めされていたが素早く対応してくる。
 トウヤは飛び掛かってくるホーンラビットはを突きを繰り出して剣に串刺しにする。ユキコは横へ回り込むホーンラビットに対応して動き、着地したところを剣を振り下ろして仕留める。
 ヒナタはホーンラビットの攻撃を斧ではじき、宙を舞うホーンラビットを斧で切り裂く。この日のダンジョン探索はここで終わり、トウヤたちは冒険者ギルドへ行く。
 アンドレアスは受付嬢にトウヤたち6人がホーンラビット5匹の群れを討伐したことを伝える。受付嬢は驚いて言う。
 「3日前にスライムの群れを倒していましたね。」「その通りだが。」
 「あの子たちが今日はホーンラビットを討伐したのですよね。」「ああ、手際も良かったぞ。」
 「そうですか、このランクアップの早さは異常ですよ。」「分かっているが、これが彼らの実力なんだ。」
 「冒険者ランクをEからDにします。」「1層目の主を倒したらCランクになるかな。」
 「なりません。Cランクからは一流の冒険者の仲間入りです。そのくらいではランクアップできませんよ。」
受付嬢の言葉にアンドレアスはまだ先は長いことを知る。トウヤたちは冒険者ランクがDになって喜び合う。
 翌日、トウヤたちは、1層の主キングスライムに挑む。キングスライムは30匹のスライムを従えていた。サチが炎熱魔法でスライムたちを駆逐していく。
 サチの魔法はかなり強力になってきてスライムを易々と倒していく。さらにケンゴが気配を消して、残ったスライムを倒していく。これで6人はキングスライムに集中できる。
 キングスライムは、アンドレアスの説明のとおり、体が金属でできているようだ。トウヤがまず、剣で一撃を入れる。すると金属の体が切れる。しかし、すぐに元の姿に戻る。
 トウヤはユキコとヒナタに言う。
 「あいつを細かく切り刻もう。」「どうやって、核を見つけるの。」
 「切り刻んだ破片をサチに炎熱魔法で溶かしてもらう。それで核をつぶせないかな。」「その話、乗った。」
ケンゴがトウヤに賛成する。ユキコがサチに言う。
 「そう言うことだから、頑張ってね。」「私だけ大変じゃないのよ。」「頭数に入っているだけましだよ。」
ケンゴがすねて言う。トウヤ、ユキコ、ヒナタが行動を起こす。キングスライムは金属のような体からとげを出して抵抗する。
 トウヤたちに刺されば致命傷になりかねない。トウヤたちはホーンラビットとの戦いで高い敏捷性を手に入れている。キングスライムのとげをかわすことは簡単だった。
 3人はキングスライムの体をそぎ落とすように切り刻んでいく。サチは破片を炎熱魔法で溶かしていく。ケンゴは黙って戦いを見ている。
 そして、ケンゴは突然飛び出すと短剣をキングスライムの体の中央に突き入れる。キングスライムは形を保てなくなり、崩れて動かなくなる。
 ケンゴは核を切ったのだ。トウヤがケンゴに聞く。
 「どうやって、核の位置が分かったんだ。」「キングスライムは体の外側を削られているから、核は安全な中央に移動していると考えたのさ。」
アンドレアスは、簡単にキングスライムを倒す6人を見て、彼らなら魔王を倒す勇者になると期待する。
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