勇者失格宣告~魔王と静かに暮らしたい

ぽとりひょん

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第3章 ヴァルハラ王国侵攻

第2話 勇者タダツグと勇者トウヤたちの出会い

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 タダツグとセリアは、オルドビスの森の中を進んで行く。木の上からブラックスネークがセリアを狙って音もたてずに頭上に降りてくる。
 セリアは、上を見ることもなく剣を抜くと剣を一振りして鞘に納める。上から頭を切り落とされたブラックスネークが落ちて来る。セリアは微笑みながらタダツグに言う。
 「今日の夕食が落ちてきましたわ。」「セリアはブラックスネークに気づいていたんだね。」
 「はい、気配の察知が出来るようになりました。」「どんどん強くなっている。頼もしいよ。」
セリアは、ブラックスネークの肉を切り出して袋に入れる。魔物のさばき方も覚えてしまっている。
 最初は、食べることにも抵抗があったが、2回目のオルドビスの森とあって魔物を食べることにも抵抗がない。
 さらに進むと、泉に出る。2人は休憩することにして、給水と交代に水浴びをする。セリアが水浴びをしているとなにかが近づいて来る気配がする。
 セリアは泉から上がると素早く装備を整える。タダツグも気づいてセリアの横に来る。やってくるのは気配を殺していて複数である。
 タダツグとセリアは剣を抜く。気配を殺せる相手である手強い可能性もあるし、友好的ではない。
 茂みからリザードマンが3匹出てくる。彼らは防具を装着して槍を持っている。リザードマンの1匹が言う。
 「私は族長の息子ピエール、泉で何をしている。」「私は勇者タダツグ、ここで休憩をしていました。泉を荒らすつもりはありません。」
 「勇者タダツグですとそちらの女性は誰ですか。」「私はセリアです。」
 「もしや、セリア・ド・バシュラールですか。」「はいそうです。」
 「バシュラール王家は絶えたと聞いていますが。」「私はただのセリアです。タダツグ様と旅をしています。」
 「ここはオルドビスの森ですよ。」「ここへ来るのは2度目です。」
 「セリア嬢、あなたも勇敢なようだ。あなた方には族長に会っていただきたい。」「分かりました。ピエールさんに従います。」
ピエールは前回のロックと対峙した時、失敗したことで、慎重に対処している。タダツグは特に行くところがないのでピエール従うことにしたのだ。
 タダツグとピエールは話をしながら歩く。
 「タダツグ様たちは、オルドビスの森にいて良く無事でしたね。」「修行には適したところですよ。強い魔物はいますか。」
 「私たちにとってはストーンスネークは脅威です。」「私も苦労しましたが倒せるようになりました。」
 「1人で倒したのですか。」「はい。」
 「それはすごい。あれはリザードマンが何人も集まって追い返すことがやっとの化け物です。」「私は炎の刃でストーンスネークを切れるようになりました。」
 「他には、オグルが強いですよ。戦闘好きの大鬼です。」「一度、戦ってみたいですね。」
 「タダツグ様なら勝てるかもしれませんな。」「魔王ロックなら余裕なのでしょうね。」
 「ロック様は四天王から訓練を受けていますから特別ですよ。」「四天王とは何ですか。」
 「前魔王アンネリース様の部下です。雲の上の人ですよ。」「そうか、魔族と戦えばよいのだ。」
 「タダツグ様、魔族は強いですよ。やめた方が良いと思います。」「いいえ、私は強くなりたいのです。」
ピエールは大きな沼地に案内する。そして、岸辺にリザードマンの集落があった。族長のドラクが挨拶をする。
 「勇者タダツグ殿、セリア嬢、歓迎します。くつろいでいってください。」「ありがとうございます。」
タダツグとセリアはしばらく集落に滞在することにする。2人はリザードマンたちと漁をして魚を捕まえたりして過ごす。
 ストーンスネークが集落に現れた時はタダツグが戦って退治する。これによってタダツグはリザードマンたちに尊敬されるようになる。

 トウヤたちは、オルドビスの森に入る。初日から近衛騎士が1人ブラックスネークに襲われて命を落とす。トウヤはブラックスネークに気づいていたが放置していた。
 近衛騎士と神の使徒モロクには早く退場願いたいと考えている。2日目の朝、ソードボアが茂みから飛ぶ出してくる。ヒナタは斧でソードボアを叩き、近衛騎士団の方へ誘導する。
 近衛騎士団は混乱して2人が足を牙で刺され、1人は腹を貫通するけがを負う。ソードボアは近衛騎士たちが何とか退治する。この間、トウヤたちは動かなかった。
 モロクが傍観しているトウヤたちに対して憤りを感じ、セネカに指示する。
 「セネカ、負傷した騎士のヒールをしてください。」「分かりましたヒールですね。」
セネカは一番ケガの軽い騎士の足をヒールする。その間に腹にケガをした騎士が死ぬ。残りの1人はセネカがヒールに取り掛かるが出血多量で死ぬ。モロクがトウヤたちに言う。
 「どうして騎士たちを助けないんだ。あなたたちは勇者でしょ。」「これから魔王と戦うんだ。森で死ぬような奴はいらない。」
モロクが顔を真っ赤にする。しかし、トウヤたちに文句は言わなかった。トウヤの言葉は正論だったからだ。2日目にして近衛騎士団は4人死んで46人になる。

 リザードマンの集落の物見が接近する武装した兵たちの集団を発見する。ピエールは戦士のリザードマンを招集して集落を出発する。タダツグとセリアが一緒に行く。
 ピエール、タダツグ、セリアが兵たちの前に出る。
 「私は、族長の息子ピエール。森に入った用件を聞きたい。」「僕は勇者トウヤ、森には用はない。通り過ぎるだけだ。なぜ、人間がリザードマンといる。」
 「僕は勇者タダツグ、旅の途中だ。なぜ、勇者のいる集団に魔族がいる。」
タダツグはモロクを指さして言う。するとトウヤたちは剣や魔法の杖を出してモロクに言う。
 「神の使徒と称してだましたな。死ね。」「モロク様を助けろ。勇者の反逆だー」
近衛騎士たちが剣を抜く。ピエールは驚いて言う。
 「どうなっているんだ。同士討ちだぞ。」「ピエール、みんなで包囲して逃がしてはだめだよ。セリア、勇者に加勢するよ。君は騎士たちをお願いするよ。」「任せて。」
タダツグは、トウヤたちとモロクと対峙し、セリアはアンドレアスと共に近衛騎士をけん制する。リザードマンたちは遠巻きに包囲する。
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