勇者失格宣告~魔王と静かに暮らしたい

ぽとりひょん

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第4章 7国の王集合

第2話 サタナキア魔王国の諜報部隊

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 グリゴリはアスモダイオス配下の7魔候の1人カスピエルを呼び出す。
 「グリゴリどうした。我に用とはよほどのことだろうな。」「カスピエル、おぬしの力量が頼りだ。バシュラール魔王国を探って欲しい。」
 「何を馬鹿なことを言っている。三下の仕事ではないか。」「バシュラール魔王国の魔王ロックは力をつけている。他の国も放っておかないだろう。」
 「危険なのだな。強い奴はいるか。」「バシュラール魔王国軍はわずかな手勢でヴァルハラ王国を滅ぼしている。何がいるかわからないぞ。」
 「面白い。行ってやろう。」「なるべく戦闘は避けてくれ。」
 「俺がどうするかわかっているだろ。」「分かった。カスピエルに任せよう。」
カスピエルは強い敵を求めてバシュラール魔王国へ向かう。

 サマエル魔王国では、魔王サマエル・ラハブが宰相リリスを呼び出す。リリスはだるそうに執務室から出てくる。
 「いい加減、執務室に引きこもるのはやめてくれないか。」「私は執務室に住んでいるのですから仕方ありません。」
 「まあいいでしょう。バシュラール魔王国がヴァルハラ王国を滅ぼしたようですが情報はありますか。」「バシュラール魔王国軍は圧勝したようです。魔王ロックはセベクを殺しました。」
 「バシュラール魔王国について詳しい情報が欲しいですね。」「分かりました。リリムあとはお願い。」「はい、お姉様。」
リリスは、妹で補佐官のリリムに仕事を丸投げして執務室に戻って行く。サマエルはリリムに言う。
 「姉を甘やかしすぎではないか。」「いいえ、私はお姉様が満足すればいいのです。」
サマエルは宰相と補佐官の姉妹にため息をつく。リリスは引きこもっているが頭が回る必要な人材である。普段の些事は妹のリリムが完璧にこなしている。
 リリムは諜報員を3人派遣する。3人には戦闘禁止を厳命する。

 サタナキア魔王国の諜報部隊がバシュラール魔王国の王都に一番乗りする。部隊員は王都に活気があることに気づく。部隊員は街の商人に話しかける。
 「この街はにぎやかですね。」「ロック様が治めるようになってから住みやすくなってね。みんな感謝しているよ。」
 「そうですか良い街ですね。」「その通りだよ。」
部隊員たちは街を調べて、町の通行料が無料にされており、税も4割から3割に下げられていることが判る。さらに住民の自治が認められているところがあると情報が入る。
 諜報部隊は、収集した情報を宰相イペスに送る。情報部隊は次に軍について調べ始める。ここからは城に忍び込むので命がけになる。
 情報局長のディルクは、宰相のカールと魔王ロックに報告する。
 「街の中で諜報員が動いているようです。」「そうか、ほっておいてもいいよ。知られて困ることは無いからね。」
 「しかし、街の状況で動かせる軍の規模とかが推測されると思いますが。」「この国は、この世界では異質だから理解できないと思うよ。」
 「確かにそうですね。そのうち城に潜入してくると考えられます。」「わが軍を見られるのはまずい。城に入った者は全て始末しましょう。」
 「カール、僕たちの軍は特別なのかい。」「そうです。魔物と人間の混成の軍とか魔術師隊は知られるわけにはいきません。」
 「なら、ディートハルトたちに警戒してもらおう。」「そうですね他に人材がいませんね。」
ディルクが異を唱える。
 「情報局にも諜報員がいます。彼らなら役に立ちます。」「諜報員には、街の中を調べてもらいましょう。」
 「分かりました。街の方はお任せください。」
ディルクは仕事に戻って行く。ロックはカールに言う。
 「リースや四天王にも頼んでおくよ。」「お願いします。」
諜報部隊は城に潜入する人員を5人と決める。残りは3人で1人が城に潜入した者との連絡役、もう1人が本国への連絡役である。最後の1人は情報のまとめ役をする。
 5人の部隊員はそれぞれの方法で城に潜入する。1人はパイロウスがロック、アデリナ、ツェーザル、エリーに魔法を訓練しているところを観察する。
 諜報員の存在にパイロウス、ロック、アデリナが気づく。パイロウスがバインドで諜報員を拘束する。ロックが聞く。
 「君は誰かな。」「・・・・・」
 「どこから来たんだ。」「・・・・・」
諜報員は答えない。ロックはファイヤーボールで諜報員を焼き殺す。
 諜報員が城の構造を調べていると後ろから声をかけられる。
 「君、見かけないね。どこの部署だい。」「料理人です。道に迷ってしまって。」
諜報員は気づかないうちに後ろをとられたことを驚きながら答える。振り返ると絵顔のマッチョな兵が立っている。
 諜報員は短剣を抜いて切りかかる。兵は短剣を持った手を握る。ものすごい力である。骨がきしみ、手の骨が砕ける。諜報員は訓練を受けているが、マッチョな兵ははるかに早く動き、力も人間離れしている。
 諜報員は逃げようとするがもう1人マッチョな兵が来る。
 「やあ、諜報員を2人始末したところだよ。」「そうか、君の仲間は死んだようだよ。」
兵は諜報員の右足を掴むと吊り上げる。
 「君はどこから来たのかな。」「・・・・・」
兵は床に諜報員をたたきつける。もう一度吊り上げると聞きなおす。
 「君はどこから来たの。」「無駄だよ死んでいるよ。」
 「しまった、やり過ぎた。」「人間は弱いから力加減が難しいよね。」
 「それじゃあ、俺たちが人間やめたみたいだよ。」「そうだな。」
最後の諜報員はオーガの部屋に忍び込む、ちょうどオーガとアリソンがお楽しみ中だった。オーガがベットの脇に置いてある大刃を諜報員に投げつける。諜報員は壁に貼り付けにされる。
 大刃は諜報員の心臓を貫いていた。即死である。アリソンがオーガに聞く。
 「どうかした。」「ハエが紛れ込んだだけだよ。」
城に入った諜報員は夜明けに城の外の諜報員と連絡を取る予定だった。しかし、合図は無い。代わりにマッチョ兵に囲まれる。ディルクの諜報員が連絡したのだ。
 朝になるとマッチョ兵が宿を取り囲む。宿には諜報員が2人残っていた。マッチョ兵は諜報員を拘束する。
 サタナキア魔王国では、宰相イペスが諜報部隊から連絡が途絶えたことを知る。
 ディルクはロックとカールに報告する。
 「街で活動していた諜報員は全て拘束しましたが情報は得られませんでした。」「城に潜入した諜報員も一掃したし安心できるね。」
 「ロック、まだですよ。他の国も動くはずです。ディルク、このまま警戒を続けてください。」「分かりました。」
カールは、他の国も何らかの動きを見せると考えている。

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