勇者失格宣告~魔王と静かに暮らしたい

ぽとりひょん

文字の大きさ
108 / 118
第6章 反撃

第5話 キーシリングの選択

しおりを挟む
 バシュラール魔王国では、ヴァルハラ王国を加えた2か国の会議が始まる。ロックが状況を話す。
 「サタナキア様は今回、国を動かさないことに決めた。コール神教国にはバシュラール魔王国とヴァルハラ王国で対応することになった。」
ロックが見回すがみんなサタナキア魔王国の不参加は予想していたようだ。
 「これまでの会議で賠償請求を行い。応じなければ侵攻すると案が出ていた。他に案はあるか。」
誰も発言する者はいない。
 「賠償請求は、バシュラール魔王国とヴァルハラ王国の連名で行いたいと思う。タダツグ様よろしいですか。」「連名でよいが賠償金額はどうしますか。」
 「まず、キーシリングと交渉の席に着けてから金額を決めるつもりです。」「吹っ掛けるつもりですか。」
 「2度とやらないように搾り取ろうと考えています。」「キーシリングが嫌がる顔を見られるなら良いでしょう。」
カールが発言する。
 「賠償請求の交渉と書面作成は私にお任せください。」
ロックが次の話に移る。
 「コール神教国への侵攻は宣戦布告の後に行うことで間違いありませんね。」「はい。」
カールが答える。タダツグが言う。
 「我が軍に魔術師隊をお貸しいただけるとのことですがバシュラール魔王国軍は困らないのですか。」「我が国には四天王がいますので大丈夫です。魔術師隊は強力ですので使いどころを間違えないでください。」
 「はい。バシュラール魔王国にとって魔術師隊は極秘部隊でしょうに助かります。」
タダツグは魔術師隊の隊員1人1人が軍を一撃で殲滅できると聞いて、バシュラール魔王国の虎の子部隊だと確信している。
 作戦ではヴァルハラ王国はコール神教国の国境を突破して、そこで陣を張り、守りに徹することになる。これだけでコール神教国は兵をヴァルハラ王国軍にさかなけらばならない。
 後はバシュラール魔王国軍がコール神教国を倒すのである。コール神教国にはイクブス魔王国に援軍は来ない。カールがイクブス魔王国に手を打っているのだ。
 ロックが次の議題を言う。
 「戦いの後、コール神教国をどうするかですが、民衆は皆、コール神教徒です。」「ヴァルハラ王国の時の手は使えないのか。」
グラムの問いにカールが答える。
 「今回は、コール神教国の情報が少ない。それにあの手はコール神教国にも知れている。2度は使えない。」「教皇と交渉してはどうかな。」
 「教皇しだいだな。コール神教をつぶすか。」「民衆が暴動を起こすぞ。」
カールがみんなに言う。
 「コール神教国を支配するにも立て直すにも、私たちには全く利益がありません。放置してはどうですか。」「放置したらどうなる?」
 「う~ん、キーシリングを倒せば、今回の件は終わりだな。」「だが、どこかの魔王がコール神教国を乗っ取るぞ。」
 「苦労を背負ってくれるんだ。いいじゃないか。」「そうね。」
 「四天王か誰か魔王をやりたい者はいるか。」
ロックが問うが名乗り出る者はいない。
 「では、戦後、コール神教国は放置することにする。」
ロックが宣言して会議は終わる。

 ロックは賠償請求の会議の招待状をカールの調査報告書と一緒に使者がコール神であるキーシリングに届ける。キーシリングは招待状を読んで機嫌を悪くする。
 キーシリングは教皇コンチヌスを呼び出す。
 「バシュラール魔王国の使者を鞭打ちしてから放り出せ。聖騎士団と兵を集めよ。戦争になるぞ。」「コール神よ。使者に鞭打ちはいかがなものかと思います。」
 「使者は殺すなよ。自分の足で帰ってもらわなければならないからな。」「お待ちください。」
 「意見は聞かんぞ。すぐに言う通りにしろ。」「は、はい。」
コンチヌスは、コール神の言う通りバシュラール魔王国の使者を鞭打ちにする。そして、国境まで馬車で搬送して放り出す。使者は気を失っていたがバシュラール魔王国の兵に発見される。
 兵は使者を兵舎に運んで領主に連絡する。ダニエル男爵が兵舎に駆け付けると使者が目を覚ます。ダニエルは兵に命令する。
 「早くヒールのできる魔術師を連れて来てくれ。」「はっ。」
兵が魔術師を呼びに行く。使者が訴えるようにダニエルに言う。
 「ロック様とカール様にお伝えください。魔王キーシリングは戦いを選びました。」「すぐに連絡の者をやる。誰にやられた。」
 「教会の者に鞭打ちされました。」「なんてことだ。もうすぐ治してやるから我慢しろ。」
使者からの返事はない。ダニエルと兵たちは悔しがる。しかし、事態は最悪の方向に向かっている。ダニエルは国境の警戒を厳重にして兵を集める。
 ダニエル男爵領から男爵の使者が来る。ロックに使者が謁見する。
 「ダニエル男爵領で何かあったのか。」「使者が瀕死の状態で倒れているところを保護しました。魔王キーシリングは戦いを選んだとのことです。」
 「ご苦労、ダニエル男爵には軍を動かすが国内で戦闘は行わないと伝えてくれ。」「はっ。」
使者はすぐに帰って行く。ロックたちはコール神教国に侵攻するため、軍の準備を始める。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております

紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。 二年後にはリリスと交代しなければならない。 そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。 普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...