勇者失格宣告~魔王と静かに暮らしたい

ぽとりひょん

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第6章 反撃

第8話 キーシリングの配下襲来

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 タダツグは町の近くの森を出たところに陣を張る。近くには川が流れており水場もある。食料は十分にあるが森から新鮮な食料を調達することもできる。
 町は、到着した時から門を閉ざして籠城している。町は息を殺しているように静かにしている。その町から歓声が聞こえてくる。
 タダツグは応戦が来たと判断して、2000の兵に戦闘準備を命じる。待つが町から出てくる軍はいない。夕闇が迫ってくる頃、町の門が開いて1人灰色ローブの者が出てくる。
 町からは歓声が聞こえる。歓声の内容から灰色ローブはコール神の使いだとわかる。タダツグが気を引き締めながら言う。
 「キーシリングの配下の魔族か。」「私がやるわ。」
アデリナがタダツグに言う。
 「相手は魔族だ。油断しないでくれ。」「ええ、全力で行くわ。」
灰色ローブはゆっくり歩いて近づいて来る。よほど自信があるのだろう。タダツグは剣を抜く。アデリナは右手を上げると3メートルほどの火球を作りだす。
 火球はどんどん熱量を上げていく。火球が戦場の夕闇を追い払う。アデリナは右手を灰色ローブに向けてかざすと火球はバレーボール位の大きさになる。そして、撃ち出す。
 火球は灰色ローブの近くで爆発する。灰色ローブは驚異的早さで爆発の衝撃から逃れようと走る。灰色ローブは襲い来る炎から逃れる。だが衝撃波からは逃れられなかった。
 吹き飛ばされ地面に体を擦り潰されながら転がり森の木に衝突して倒れる。タダツグは地面に伏せて衝撃波をかわすが目は灰色ローブを追っている。
 タダツグは走って緋色ローブを追うと、倒れているところを剣を突き立てるように切りつける。灰色ローブは地面を転がり剣をかわす。
 「まだ、動けるのか。」
タダツグはさらに転がっている灰色ローブに上段から剣を振るおろして切ろうとする。剣は魔力障壁に防がれる。アデリアはタダツグに叫ぶ。
 「タダツグ様、避けてください。」
声と同時にタダツグは後ろに飛ぶ。空気の渦が灰色ローブを巻き込む。アデリアはウインドウカッターを使った。ローブは切り裂かれ、空気の渦は赤く染まる。
 さかれたローブから顔が見える。殺気に満ちた歪んだ顔が出てくる。タダツグは、あまりの醜さに後ずさる。ウインドウカッターで切り刻まれているが切られたところが再生していく。
 アデリアはウインドウカッターで動きを封じたまま、右手を上に上げて火球を作りだす。タダツグたちは驚く。同時に2種類の魔法を発現させたのだ。
 そんな話は聞いたことがない。信じられないことが目の前で起こっている。アデリアは右手を灰色ローブに向けると、火球を撃ち出す。
 火球は炎の渦となって、切り裂きながら全てを燃やし尽くそうとする。炎の渦はコントロールされて灰色ローブを逃さない。灰色ローブはついに倒れる。
 炎の渦は灰色ローブを灰に変える。アデリアも魔力を使い過ぎたのか片膝をつく。タダツグがアデリアに言う。
 「すごいですね。2種類の魔法を同時に使えるのですか。」「まあね、本当は集中しないといけないから1種類しか使えないんだけど。パイロウス様には内緒にしてくださいね。」
トウヤたちは町の近くの丘に陣を張る。トウヤたちが8人だけのためか、町から200の兵が出てくる。兵たちは多勢に無勢と言わんばかりに隊列も作らずに向かってくる。
 丘に近づいたところで、サチが炎熱魔法を打ち込む。
 「魔術師がいるぞ弓矢だ。」
兵たちは足を止めて弓を使い始める。サチが魔力障壁を張ったので矢ははじかれて届かない。トウヤにツェーザルが言う。
 「ここは私に任せてくださいませんか。」「そうだな。長期戦はサチが持たない。頼むよ。」
兵たちの周りの空気が回り始める。兵たちが気づいた頃には、兵たちは空気の渦に巻かれている。兵たちにウインドウカッターが襲い掛かる。
 ツェーザルのウインドウカッターは鎧や剣も関係なく切り裂く。空気の渦は兵の血で赤く染まる。200の兵が全滅するまでに数分であった。
 丘の下には血の池の中に沈む兵たちの肉塊が漂っていた。それを見た町の兵は門を閉ざして籠城する。町の領主は兵から報告を聞く。
 「敵に向かった200の兵が全滅しました。」「相手は、たったの8人ではなかったか。」
 「それが強力な魔術師がいて、数分で肉塊に変えられてしまいました。」「なんだと。教会に救援要請を頼むのだ。」「はっ。」
町に兵たちは8人の敵がいつ進撃を開始するのかと怯えている。兵たちが暗い顔をしているので住民たちも不安になる。
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