勇者失格宣告~魔王と静かに暮らしたい

ぽとりひょん

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第6章 反撃

第15話 友好国

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 バシュラール魔王国では、メルヘムの処遇について話し合われている。
 「僕はメルヘムは処分するべきだと思っている。」「婿殿にしては、厳しい処罰を望んでいますね。」
 「メルヘムのせいでどれだけの人が死んだのだ。僕は許せないよ。」「私は利用価値があると思います。」
 「フール、あんな奴がバシュラール魔王国の利になるのか。」「使い方では有能です。ヴァルハラ王国で貴族に蜂起させ、オルドビスの森だはスタンピードを起こしたのです。」
カールがロックに代わってフールに質問する。
 「あれを意のままに操れるのか。」「私にお任せください。反逆の意思を示したら、すぐに処分します。」
 「メルヘムはフールにませるということでよいですね。」「僕はやつが嫌いだが役に立つのなら使い倒してやる。」
メルヘムはフールが預かることになる。メルヘムが牢から玉座の間に引っ立てられて来る。
 「私の処遇が決まったかな。」「お前の主、キーシリングは僕が殺した。」
 「次は私の番かな。」「僕に忠誠を誓えば命を助けてやろう。どうする。」
 「誓うかな。何でもするかな。」「ならば、助けてやろう。以後は風神フールに従え。」
 「分かったかな。役に立つかな。」
ロックはメルヘムの言葉遣いにいら立つがこらえる。

 イクブス魔王国に魔王サマエルが訪れる。イクブスは夕食の席でサマエルに話し始める。
 「今回のコール神教国の分割統治の会議に応じてくれたのはサマエル様だけでしたわ。」「どういうことですか。バシュラール魔王国とヴァルハラ王国はなぜ来ない。当事国であろう。」
 「バシュラール魔王国の魔王ロックは分割統治に反対で住民の自治の邪魔をすれば敵対するそうです。」「ばかな、人間に統治する力などなかろう魔王の保護があればこそだ。」
 「ヴァルハラ王国のタダツグ王も分割統治に反対だそうです。」「そうか、サタナキア魔王国からはなぜ来ない。」
 「サタナキア王は保護を求めてきた町や村を受け入れています。当然、分割統治には興味ないようです。」「我々は最悪、サタナキア魔王国とバシュラール魔王国と戦うことになるのか。」
 「魔王ロックだけなら私たちで倒せないでしょうか。」「忘れているぞ。魔王ロックの妻はアンネリースだ。我は手を引く。」
 「手を引いてどうするのですか。」「ここまで来たのだ。バシュラール魔王国に寄って行こうと思っている。」
 「友好国になるつもりですか。」「敵には回したくないからな。」
 「私もご一緒します。」「コール神教国は諦めるのか。」
 「手を出したら、国が危機に陥ります。」
魔王サマエルと魔王イクブスはバシュラール魔王国と友好国になることにする。ロックの所にサマエルとイクブスが訪れる。
 「イクブス様、コール神教国の分割統治の話は断ったはずです。」「分かっています。分割統治の話は無くなりました。」
 「それは良かった。」「今日は私たちイクブス魔王国とサマエル魔王国と友好関係を結びたく来たのです。」
 「歓迎します。僕も貴国らと友好国になりたかったのです。」「では、良い話になりそうですね。」
バシュラール魔王国はサマエル魔王国、イクブス魔王国と友好国になる。

 コール神教国は一部の町や村がサタナキア魔王国の傘下に入った。しかし、コンチヌスは民衆をまとめ上げて貴族を廃して、コール神教国を民主国家にする。
 そして、初めての選挙でコンチヌスは大統領に選出される。コンチヌスは、身分制度を廃して信仰の自由を明らかにして国内の風通しを良くしていく。
 さらに国名をコール民主国に変える。一部の者はコンチヌスのやり方に反発したが民衆は動き出していて動きを止めることはできない。
 ロックはディルクにコール民主国の動きについて調査を命じる。ロックはコール民主国が王を必要としない国なったと期待している。
 ロックはバシュラール魔王国をいづれ民主国家にしようと考えている。そのためコール民主国の成功は重要なのである。
 民主国家になってしまえば、誰かに国の代表を押し付けて、自分はリースとどこか田舎で静かに暮らすことが出来る。願いが叶うのだ。
 カールがロックに話しかける。
 「民衆はロックを英雄視している。」「英雄だって!」
これは僕の生き方とは違う。まずい、まずいぞー
 「それで、英雄様には、側室をめとってもらおうと考えている。」「僕にはリースがいるんだ。側室は必要ないよ。」
 「そうはいかない。私はティアナの相談をこれまで聞いていたんだ。ロックには責任をとってもらうよ。」「せ、責任て、なんだ。」
 「君はアンネリースに会う前にティアナのプロポーズを受けているだろ。」「確かにそうだけど、アンネリースを好きになって断ったよ。」
 「責めているわけではないよ。ただ、ティアナもそばに置いてやってくれ。」「リースが承知しないよ。」
 「リースには話してある。何も問題はないよ。四天王も快く認めてくれたよ。」「・・・・・」
カールはロックの逃げ道を完全にふさいでいた。このままだはリースとの静かな生活が遠のいていく。カールはとどめを刺しにかかる。
 「ティアナ、入ってきてもいいよ。」
ティアナがうつむいて入って来る。ロックの額から汗が流れる。
 「私、ロックのこと諦めることが出来ません。」「僕はリースが好きなんだよ。」
 「それでも好きなんです。せめてそばにおいてください。」「僕はティアナに答えられないよ。」
ティアナがロックに抱き着く。ロックはかわすことが出来たのに動けなかった。そこへリースが部屋へ入って来る。
 「お前様。」「リース、これは誤解だよ。」
 「最初から見ているから大丈夫ですよ。」「怒らないの。」
 「私がお前様を独占していたからティアナにつらい思いをさせてしまったわ。今日はティアナと一緒にいてください。」
リースは部屋から出ていく、カールも姿を消している。ティアナが赤くなってロックに言う。
 「今日はみんなの公認だよ。悪いのは私だから。」
ティアナの吐息が熱い。ロックの女性への耐性は弱かった。ロックはティアナと抱き合いながら自分の夢が遠ざかっていくことを感じる。
 翌朝、ロックとティアナはみんなから祝福される。ロックはリースと2人きりになると質問する。
 「僕が他の女と寝ても気にならないの。」「気になるわよ。でも許した子は別よ。」
 「ティアナのこと?」「ええ、それにエスリムもそうよ。」
 「えっ?」「お前様、エスリムのこと放っているでしょ。相手をしてあげなさい。」
 「僕はリースだけでいいんだよ。」「うれしいけど、だめよ。側室にしてあげて。」
ロックは引導を突き付けられる。これでリースとの2人での静かな生活は完全になくなったのだ。
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