戦場で死ぬはずだった俺が、女騎士に拾われて王に祭り上げられる（改訂版）

第332話 ヴェルフの計画書

　ヴェルフは、浮島に戻ると、エトナ山と富士山の戦闘行動のレポートを作成する。さらに、フレイムランドの全軍を巻き込んだ計画を作成する。
　ヴェルフは幹部会に計画書を提出する。幹部会の議題にヴェルフの計画書が取り上げられる。ヴェルフは発言する。
　「ムーラーを餌で引き寄せて集めて火山の爆発で一網打尽にするのです。」「この作戦行動は飛行艇1隻に護衛の艦船１隻で実行できます。」
　「６提督の艦隊が参加すれば、地上からムーラーを駆逐できます。」
アサドが質問する。
　「これだけの規模の作戦をどのくらい続けるのかね。」「ムーラーを集めるのに時間がかかりますから１か月をかんがえています。」
　「それでムーラを駆逐できるのか。」「はい。」
サイーシャが危惧する
　「１隻の艦船だけでは複数のムーラーの本拠地に対応できません。」「SPA砲なら最大射程で撃てば、次の本拠地に冷却が間に合います。」
ティグラトが代案を出す。
　「護衛を２隻にしてはどうか。」「それでは時間がかからます。」
ヴェルフは自分の作戦は時間が勝負だと考えている。時間がかかれば、新たなムーラーが生まれてくる数が違ってくる。できるだけ短く作戦を遂行しなればならない。
　「成功させるため、１隻でなくてはなりません。いざという時は軌道上から狙撃してもらいます。」「それなら対応できると思うぞ。」
アピルがヴェルフの案に賛同するしかし、ヴェルフの作戦には盲点がある。ドニィーシャが言う。
　「海の中のムーラーはどうするのですか。」「戦闘行動の結果では海を泳いできています。」
　「そのムーラーではありません。海底や深海にいるはずのムーラーです。」「確認できいないはずです。」
　「オーストラリア大陸防衛線では地中を進んできました。」「しかし、海からは本拠地が出てきていません。」
　「その本拠地は地中で作られています。地中のムーラーにまで効果がありますか。」「言われる通りです。しかし、効果的なのは確かです。」
俺は話が本題からそれるのを嫌い話を終わりにさせる
　「この件は各自考えて次の幹部会で決定する。」
ヴェルフが粘る
　「陛下、すぐに始めないと効果がありません。」「君の艦隊と近衛艦隊を使って結果を出してくれ、結果次第で計画の是非を決めよう。」
　「陛下、満足のいく結果を出して見せます。」
俺はヴェルフに執念のようなのもを感じる。
　地球には１５００ほどの活火山がある。ヴェルフは、それを利用してムーラーを駆逐するつもりである。
　ヴェルフ提督の艦隊と近衛艦隊で１３隻の艦船がある。それを４つの班に分かれて作戦を始める。
　各班には、３、４隻の輸送艇が割り当てられ、艦船が１隻づつ護衛に着く。各班はそれぞれ火山が割り当てられ、生ごみを満載した輸送艇がムーラーをひきつける。
　グローサのマリア艦長は、愚痴を言う。
　「これは、我々向きの戦いではないな。」「これも作戦です。」
エルザ副長がたしなめる
　「本拠地でも現れてくれないかな。」
マリアは、ゆっくり低空を飛行する輸送艇の護衛に飽きてきている。地面はムーラーで覆われ地表を見ることが出来ない。
　グローサの向かっている火山には、スクルドとスコーネが他方向から向かってきている。３隻は火山に着くと飛行艇がムーラーを山頂に引き寄せるのを待つ。
　ムーラーが山頂に群がり始めると飛行艇は退避する。スクルドがSPA砲を火山の中腹に撃ち込むと爆発が起こり、火砕流がムーラーを包み込んでいく。さらに溶岩が流れ出す。
　この光景にマリアは言う。
　「まるで地獄のようね。」「かなりの数のムーラーを始末できましたね。」
　「そうね。こんなことしたら人間は戻ることが出来ないわ。」
マリアは、この戦いはムーラーから地球を取り戻す戦いでないと考える。ほかの班も同じように火山を噴火させてムーラーを焼き殺している。