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第5話 鬼ごっこ1

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 老婆と幼い子供が縁側で話をしている
 「あれの名を呼んじゃいけないよ、健二。」
 「あれって、角のあるあれでしょ、どうして呼んじゃいけないの。」
 「あれの名を呼ぶと寄って来て食べられてしまうからさ。」
健二はあれの名を言うことはない。

 廃旅館の心霊スポットに4人組の大学生が肝試しに分け入る。
 この廃旅館は、入ったまま姿を消したものが多くいると噂になっており、中はところどころ多量の血の跡があるという。
 4人組は懐中電灯の光を頼りに中を歩き回る、ところどころにどす黒い何か液体が固まったようなのがある。
 そして、見つける、大きさは小学生1年生位の身長120センチメートル程で青い肌に頭に角がある。
 健二は
 「あれだ。」
と言うと史郎が訂正する
 「あれってなんだよ、鬼だろ、どうせ作り物だよ。」
すると小さな青鬼は動き出す
 「生きているぞ」
洋二が言い、大樹が言う
 「化け物だ」
 「でも小さいし俺たちで何とかなるんじゃね。」
史郎が言い出す。
 「鬼ごっこ、鬼ごっこしよ。」
青鬼はしゃべる。
 健二が
 「相手にするな、逃げるぞ。」
と言うが、みんな
 「遊んでやろうぜ。」
 「いざとなったらやっちまえばいいさ。」
 「暇つぶし、暇つぶし。」
口々に言う。
 史郎が答える
 「おい、お前が鬼だ、いいな。」
 「うん、俺鬼。」
青鬼は返事をすると数を数え始める。
 4人組は歩いて出口の方へ歩く。
 しばらくすると青鬼が走って来て
 「キャハハー、みーつけた。」
史郎に飛び掛かり右肩を食いちぎる
 「ぎゃあぁぁー」
彼は叫びながら倒れ込む。
 健二と大樹が史郎から青鬼を引き離そうとするが力が強く引き離せない。
 青鬼は次は右腕に食らいつき肉を引きちぎる
 「いてーよー」
史郎の弱々しい声が聞える。
 青鬼は史郎を生きながら食べていく、腹を引き裂き臓物を食べだすと、健二たちは史郎を助けるのを諦める。
 そして、車で警察署に逃げ込み、健二が廃旅館であったことを話す
 「あれが史郎を食べたのです、まだ、あれはあそこにいます。」
 「あれって何かね。」
洋二が俺が話すといい
 「鬼です、鬼が現れたんです。」
洋二が説明するが警察に相手にされない。
 車で山道をゆっくり走りながら、3人で話し合っているとバックミラーに青鬼が追って来るのが映り込む。
 3人は車のスピードを上げて逃げる、そして振り切る。
 3人は解決策も見つからず、それぞれの家に帰る。
 連絡はLineですることにする。

 健二が帰って3時間程経った時、洋二からメッセージが来る
 「鬼が来たどうしよう」
 「足が早いから逃げられない」
 「包丁で戦う」
それっきり、洋二からの応答はない。
 大樹からメッセージが来る
 「洋二から応答ない」
 「包丁で戦うて言っていた」
健二は洋二のアパートに近いため
 「俺が見てくる」
とメッセージを送る
 「気を付けろよ」
洋二のアパートに着くと警察が来ていた。
 「どうかしたのですか。」
 「分からない。」
警察官は教えてくれない
 洋二の部屋の前に行くと玄関ドアが引きちぎられている。
 健二が廊下から覗くと部屋に血が飛び散っている。
 入ろうとするが警察官に制止されアパートの外へ出される。
 警察官はアパートの周りを黄色いテープで囲い始める。
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