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第21話 悪路王3

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 揺れていた髪洗岩は真っ二つに割れる、今度は地鳴りがし出す。
 たけるの血は先ほどから騒ぎ続けている、早く刀を出せ、刀に鬼の血を吸わせろと・・・
 彼は心の中で呪われた刀の名を呼ぶ
 「来い、羽左衛門ノ贄ノ夜叉」
虚空から護符に包まれた鞘に収まった刀が虚空から浮かびあがる。
 彼が刀を手に取り、抜き祓うと、心の中が鬼への憎しみで満たされる。
 たけるは地中から何か出てくると感じ、刀を構える。
 そして、地中から飛び出してきたものを一閃する、しかし硬く表面を傷つけただけである。
 それは大きな塊であり、鬼の胴体である。
 鬼の胴体は、空中で両腕、両足と頭がつながり鬼となる。
 鬼は河原に着地する、鬼の体は封印されていたためかやせこけ骨が浮き出ている。
 「気を付けて、悪路王よ。」
鈴鹿がたけるに呼びかける。
 その時、射撃音がする、警察官の1人が鬼に向けて、拳銃を撃ったのだ。
 鬼はその警察官を睨みつける、すると警察官は吐血し倒れる。
 「睨むだけで人を殺すのかよ。」
たけるが鬼への憎しみの形相でつぶやく。
 鬼の胴体には、かけるが切りつけた傷があり、傷口から体液を吸われるように干からび、激痛を鬼に与えている。
 「この痛みは逢神か、小僧お前だな。」
鬼はたけるを睨みつける、彼は鬼が浴びせる鬼気をものともせず、鬼に近づいて行く。
 近づくたけるに対して、鬼は右腕を振り彼を跳ね飛ばそうとする。
 彼は刀で腕の軌道を変え、その場に踏みとどまる。
 鈴鹿が鬼の死角から飛び首を狙う、刀は首の途中で止まる、彼女は鬼の背中を蹴って、刀を抜き距離を取る。
 鬼の首からは血が噴き出すが傷口が塞がってゆく。
 並の鬼なら大通連で切られると傷口は塞がらないが、悪路王は普通ではない。
 たけるはこの隙を見逃さない、自分が付けた傷を狙って、同じところを切りつける。
 刀は肉を切り裂き内蔵に達する、傷口から干からび、さらに激痛を与える。
 鬼は左腕を振り、たけるを弾き飛ばす、彼は背中から地面に叩きつけられ、動かなくなる。
 鈴鹿は鬼の足を狙って切りつけるが、傷口は塞がってしまい動きは止められない。
 鬼はたけるに近づいて行く、そして彼を掴み口元へ運ぶ。
 鈴鹿が、たけるを掴む右腕を切り落とそうとするが、鬼の左手の爪に貫かれてしまう。
 鈴鹿は血を吐きながら立ち上がろうとするが間に合わない。
 その時、たけるは目を開き刀を鬼の目に突き入れる、刀は脳まで達する。
 鬼は思わずたけるを放してしまう、彼は刀を抜くと鬼を袈裟切りにする。
 「逢神め、殺す、殺してやる。」
鬼は怨嗟の声を上げる。
 たけるは鈴鹿に聞く
 「足を切り落とせるか。」
 「無理ね、硬すぎるわ。」
 「なら、俺が奴の懐に入る隙を作ってくれ。」
 「承知。」
鈴鹿は神速で鬼に近づくと鬼の死角へと回り込み切りつけていく。
 たけるは鬼の隙を見て、懐に飛び込み、刀を心臓へ突き入れる
 「鬼の血が欲しいんだろ、たっぷり吸え。」
彼は刀に言い、刀から手を放し、鬼から離れる。
 鬼は刀を抜こうとするが、刀は抜けない。
 刀は、鬼の血を浴びたように赤くなる。
 鈴鹿がたけるの傍に来て聞く
 「あの刀、生きているの。」
 「あれは、怨念の塊だ、鬼よりたちが悪いかもな。」
たけるは鬼への憎しみに飲まれないように気を保ちながら話す。



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