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第25話 鬼の血

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 逢神たけるは鈴鹿の膝の上で目を覚ます。
 上から涙の雨が降って来る、鈴鹿が泣いているのだ
 「よかった、よかった。」
鈴鹿は泣きながら笑う。
 たけるはその笑顔にドギッとするが相手は鬼である、気のせいだ
 「俺はどうしたんだ。」
 「両腕と左足を切り落とされたのよ、出血がひどかったわ。」
 「鈴鹿が助けたのか。」
 「ええ、立てる?」
たけるは起き上がる、そして両腕と左足が元通りついているのに気づく
 「鈴鹿、治療してくれたのか。」
 「はい。」
 「どうやって?」
鈴鹿は顔をそむける
 「何をした。」
 「私の血を飲ませました。」
 「それって猛毒じゃないのか。」
 「それなら死んでいます。」
 「ありがとう。」
たけるは礼を言う。
 彼は刀を拾おうとする、刀の柄を掴むと電気のようなしびれが走る。
 そして、再び心が鬼への憎しみで満たされる。
 たけるは憎しみの心に抗いながら刀を鞘に収める。
 刀は虚空に沈んでゆく。
 彼には心に憎しみが残るが心を静めコントロールする
 「赤頭圭子はどうした。」
 「逃げました、彼女は普通の鬼ではありません。」
 「そうだな、逆に殺されそうになった。」
 「私と同等の速さで動けます。」
 「今度会ったらどうする。」
 「私が切ります。」
 「俺の出番はないか。」
 「きっとスピードでかないません。」
 「そうだな。」
たけるは自分が圭子に及ばないことを自覚する。
 しかし、たけるの血は圭子を切れと騒ぐだろう。

 2人は自分たちのワンルームマンションへ帰る。
 たけるはシャワーを浴びてすぐ寝てしまう。
 鈴鹿はいつもならたけるのベットに忍び込むのだが、今日は大人しく床に布団を敷いて眠りにつく。
 たけるは刀鍛冶の夢を見る、彼はたけるを叱る、鬼と交わったなと、裏切り者と責め続ける。
 彼は目を覚まし自分の体を見るがどこにも変わったところは無い。
 まだ、自分に起きた変化に気づけずにいる。
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