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105話 玉枝の提案

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 4人は重い雰囲気の中、1日を過ごす。つよしと美琴は部活に寄ってから帰るという。少しでも長い時間、一緒にいたいのであろう。
 九郎とあやめは歩いて帰宅する。あやめが九郎に言う。
 「私たちは恵まれているわね。」「そうだね。どちらの両親からも歓迎されているからね。」
 「みこのお母さんはどうなんだろう。」「そうか母親が味方なら説得できるかもしれないね。」
 「木村君の両親はどうなのかな。」「つよしがあの様子じゃまだ紹介していないと思うよ。」
 「前途多難ね。」「何とかしたいけど。」
2人はスーパーまで来ると別れる。九郎はスーパーで食事の材料を玉枝に言われるままかごに入れていく。
 彼は会計を済ませるとアパートの帰る。玉枝が夕食を作り始める。九郎はつよしに何かアドバイスできないか考える。
 夕食が出来ると玉枝は食事をテーブルに並べる。エビフライに刻んだキャベツの付け合わせになすのみそ汁である。
 九郎は玉枝に怒られないように食べることに集中する。つよしのことを考えながら夕食を食べたりしたら勘の良い玉枝は機嫌を損ねるだろう。
 玉枝が九郎に料理の出来栄えを聞く。
 「エビがプリッとしておいしいよ。」「エビはちゃんと下ごしらえしてあるから尻尾も食べてね。」
 「分かった。尻尾も食べられるんだね。」「そうよ。」
九郎は夕食が終わると風呂に入る。玉枝も当然のように裸で入って来る。彼女は彼の体を丁寧に洗う。九郎は玉枝に聞く。
 「つよしとみこのことだけど良い解決方法はないかな。」「自分で解決すべきだと思うけど。」
 「そこを何とかしたいんだ。」「飲んで話をするのが一番じゃないの。」
 「みこのお父さん付き合ってくれるかな。」「誕生日とかきっかけが欲しいわね。」
 「明日、確認してみるよ。」「深入りしたらだめよ。」
九郎は風呂から出ると早めにベットに入る。今日は気づかれが貯まっているため早めに寝ることにしたのである。
 玉枝が添い寝をしながら九郎に言う。
 「たまには、九郎ちゃんと2人で飲むのもいいわね。」「玉枝さんと飲むと悪酔いしそうだから遠慮します。」
 「私たちの仲が進展するかもしれないわよ。」「それはだめです。」
九郎にとって、玉枝との仲が進展することは越えてはいけない一線を越えることになる。
 今夜も、彼は色欲と戦いながら夜を過ごす。
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