勇者がアレなので小悪党なおじさんが女に転生されられました

第5章 勇者一行

第30話 王宮廊下の戦い

　アニタが執事を睨みつける。俺はアニタに聞く。
　「行けそう。」「はい、負けません。」
　「お願い、ナツキは使い物にならないわ。」「カスの助力は必要ありません。」
後方では、アヒム、ベルン、クリストフ、ディート、ベントが近衛騎士を迎え撃つ。
　アニタが白い影となると執事は姿を消す。強烈な打突音が聞こえてくる。２人は高速で動きながら殴り合っている。
　アヒム、ベルン、クリストフ、ディート、ベントは素手で剣を抜いた近衛騎士に立ち向かう。
　アヒムは上段で切りつけてきた騎士を素早く体を騎士の前に回りながら入り、腕を取り投げ飛ばす。さらに床に転がった騎士の頭を蹴り飛ばして失神させる。
　ベルンは通路の壁を蹴って後方に飛び、追ってきた騎士の後ろを取り、首に腕を回して絞めて、失神させる。
　クリストフ、ディートは連携して騎士を翻弄する。ベントは騎士の剣を持った両腕を握り力を込めていく、騎士の両腕の骨が砕ける。
　剣を手にしたアヒムとベルンが切り込む、２人の剣の腕は近衛騎士たちを凌駕して圧倒する。
　俺とアネットはナツキに語り掛ける。
　「逃げるわよ。」「あの女はしつこいから逃げられないよ。」
　「外に出れば、たくさんの女の子がいるのよ。」「いいなそれ、でも・・・」
ナツキの心が折れている。これまでにどれだけひどい目にあっても女のためには立ち上がってきたクズの心が折れているのだ。カロリーネ王女は恐ろしい女だ。
　「あんた、ここで結婚したらアニエスと結婚できないのよ。」
アネットとんでもないことを言う。俺を餌にしないで欲しい。
　「アニエスちゃんと結婚・・・アニエスちゃんと初夜・・・」
誰も初夜なんて言っていない。
　「アニエスちゃんと・・・アニエスちゃんが俺のものに・・・」
うつろだったナツキの瞳に光が差す。
　「アニエスちゃん、エッチしよう。」「寝ぼけるな、このクズ。」
俺はナツキを殴るが、抱き着いてくる。気持ち悪い。サンダーボルトをくらわせるが離れない。
　「ネティー助けてー犯されるー」
アネットがナツキを引きはがす。俺は涙目になる。勇者ナツキが復活した。