勇者がアレなので小悪党なおじさんが女に転生されられました

第6章 逃亡の旅

第7話 近衛騎士街に入る

　カロリーネは翌朝、モンレルラン伯爵邸を出発して、ボドリヤール伯爵領へ向かう。彼女は心に誓う、ナツキに会ったならもう離さない。
　ナツキに自分がどれだけ愛しているか、彼の骨の髄まで教え込むのだ。婚約解消王女は学習しなかった。

　近衛騎士たちは次の村の近くまで来ている。すでに２度襲われているので、この村でも襲われる恐れが大きい。
　騎士が２人村に潜入して状況を調べる。すると村人たちの話が聞こえてくる。
　「アニエス様を捕えに騎士が来ているそうだ。」「連中は逃げ足が速いらしい。」「何でも食事に困っているそうだか毒でももるか。」
騎士は村人の服を人数分盗んで村から離れる。騎士２人は戻ると報告する。
　「すでに村には俺たちのことが伝わっている。」「そうか。迂回するか。」
　「それより服を変えよう。このままでは町にも入れないぞ。」「服って盗んできたのか。それでも近衛騎士か！」
　「この格好で動くのは無理だ。背に腹は代えられない。」「確かにそうだが。」
　「よし、着替えて街に行くぞ。」「おい待て。」
　「街に入れば食事ができるだろ。」「ああ、そうだな。」
近衛騎士たちは近くの森の中に装備を隠し、村人の服を着る。彼らは街の門へ行く。そこで門兵に呼び止められる。
　「お前たち手ぶらでどこへ行く。」「俺たちは村から来ました。」
　「何が売りに来たんじゃないのか。」「アニエス様が帰ってきていると聞きまして、ひと目見たいと考えてきたのです。」
　「そうか、その気持ちわかるぞ。通ってよし。」「ありがとうございます。」
騎士たちは冷や汗を流しながら街に入る。