勇者がアレなので小悪党なおじさんが女に転生されられました

第6章 逃亡の旅

第9話 カロリーネ、村人に受け入れられる

　カロリーネは、すでにボドリヤール伯爵領に入っていた。彼女のナツキへの思いが不可能とも思える強行軍を成功させたのだ。付き合わされた護衛の冒険者たちは顔色が悪い。
　彼女らは村に通りかかる。冒険者がカロリーネに言う。
　「王女様、ここで休みましょう。」「私は一刻も早くナツキ様に会いたいのです。」
　「ナツキ殿に会うには準備が必要です。この村で情報を収集しましょう。」「そうですわね。少し休みましょう。」
冒険者たちは久しぶりの休憩時間を勝ち取る。冒険者が村人に声をかける。
　「長旅で疲れている。村長の所に案内してくれないか。」「あんたら、王都から来たのか。」
　「そうだ。勇者様を追っている。」「アニエス様を捕まえに来たのか。」
　「我々に用がるのは勇者ナツキ様だ。アニエス様は関係ない。」「分かった。村長の所に案内しよう。」
冒険者は村人に警戒されていると感じる。村長の家に行くと冒険者は自分たちが囲まれていることに気づく。村長が言う。
　「アニエス様はわしらの天使だ。手を出すやつは許さねえ。」
冒険者たちはそこら中から殺気を感じる。
　「俺たちはアニエス様に用はない。勇者を探しているだけだ。」
冒険者は慌てて言う。そこへカロリーネが出てくる。
　「騒がしいですよ。」「カロリーネ王女、馬車に戻ってください。」
　「私が村長と話します。私は勇者ナツキ様を夫にします。ナツキ様は街にいるのですか。」「アニエス様はどうなるのですか。」
　「私はアニエス様に興味はありません。すべてはナツキ様のためです。」
カロリーネは堂々と言い切る。村人が村長に耳打ちする。
　「勇者は女にだらしないそうですよ。アニエス様の身の安全のためにも王女様にいてくれた方が良いと思います。」「そうだな、アニエス様が襲われたら一大事じゃ。」
村人たちはカロリーネたちを受け入れることにする。ようやく冒険者たちは休息とまともな食事を手にする。