勇者がアレなので小悪党なおじさんが女に転生されられました

第6章 逃亡の旅

第17話 街へ入る

　しおれてしまったナツキはアヒムが担いでいく。彼は村娘が泣き叫んで逃げて行ったショックから立ち直れていない。
　俺たちは街に入る時、兵に止められる。
　「アニエス様とアネット様ではありませんか。」「いいえ、ただの冒険者です。」
ここで正体がばれるのはまずい。しかし、兵は断言する。
　「あなたはアニエス様です。こんなにきれいな少女は他にいません。」「私はただの美少女です。」
俺は兵たちに囲まれる。まずい、ここで騒ぎを起こす訳にはいかない。兵たちは俺を捕える気でいる。門の周りが騒がしくなる。
　するとカロリーネが馬車を降りてくる。
　「騒がしいどうしたのですか。」「危険です。下がっていてください。」
兵がカロリーネに言う。
　「無礼ですよ。控えなさい。私はカロリーネ・ド・エマールですよ。」
カロリーネが名乗ると執事が横に現れ、王家の紋章を柄にあしらった短剣を示す。それを見て兵たちは片膝をつく。
　「何をやっているのですか。」「謀反人のアニエス嬢を捕えようとしていました。」
　「彼女は私と行動を共にする仲間です。」「しかし、アニエス嬢はカロリーネ様の結婚式を壊した張本人と聞いています。」
　「私の言葉を疑うのですか。」「いえ、そのようなことはありません。」
カロリーネのおかげで俺たちは兵たちと争わずに済み、無事街に入ることが出来る。
　街に入ると俺たちは人々に歓迎される。中には若い女性もいて、ナツキが復活する。彼は街の女の子と仲良くできるとでも思っているのだろうか。
　ナツキは突然、俺たちから離れて、人々の中江紛れ込む。もちろんカロリーネはナツキの自由行動を許さない。
　彼女がパンパンと手を叩くと執事が現れる。
　「分かっていますね。」「御心のままに」
執事が姿を消す。ナツキは美少女を口説いて逃亡を謀っていた。そこに執事が現れて美少女に耳打ちをする。
　「いやー、助けてー」
突然、美少女はナツキの手を振りほどくと泣き叫びながら逃げていく。ナツキは唖然とする。執事の指示で近衛騎士たちがナツキを運んでいく。