勇者がアレなので小悪党なおじさんが女に転生されられました

第7章 王都への帰還

第3話 男の嫉妬

　俺は、アルベルトとベルントの所へ行く。２人が俺に言う。
　「アニエス様、挨拶が遅れて申し訳ありません。」「お二人とも悩みでもあるのですか。」
　「ジルベール様には、お話したのですが今の調子ですので、ご理解いただけませんでした。」「私にお話しください。」
　「ボドリヤール伯爵がカロリーネ様に力添えをすることを反対するわけではないのですが、軍隊を出すことをお控えいただきたいのです。」「留守に街が襲われることを恐れているのですか。」
　「そのようなものです。ボドリヤール伯爵に敵愾心を持つ貴族がいるのです。」「父が軍を出して留守にすると何かしらの不利益を被る恐れがあるのですね。」
　「はい、直接攻めてくることはなくても交易の邪魔などをされる恐れがあります。」「それは問題ですね。どこの貴族ですか。」
　「アルテンブルク伯爵です。領主のツェザール・フォン・アルテンブルクは今でもボドリヤール伯爵領の商人の関税だけ多く徴収しているのです。」「理由は分かりますか。」
　「ツェザール様はジルベール様が恋敵だったのです。ジルベル様はツェザール様のほれ込んだリュシー様を妻にしたのです。」「男の嫉妬ですか。」
　「はい、困っております。」「これはカロリーネ様にご相談した方がよろしいようですね。」
　「カロリーネ様は動いていただけるのでしょうか。」「カロリーネ様は、ここを足掛かりにと考えております。万難を排するため動かれると考えます。」
　「おねがいします。」「私からもお願いがあるのですが聞いていただけますか。」
　「はい、何なりとお申し付けください。」「嘆きのグリフと言う７大魔族のことと人身売買組織チョチョリクンの情報を集めてください。」
　「分かりました。人身売買組織の方は何とかなるかもしれません。」「嘆きのグリフのことは難しいですか。」
　「はい、商人たちの情報網ですので。」「チョチョリクンのことだけでもお願いします。」
俺はカロリーネにアルテンブルク伯爵のことを話す。
　「カロリーネ様はここを足掛かりに軍を立ち上げるおつもりですか。」「はい、ジルベール様は全面的に力をお貸しくださりますから。」
　「ボドリヤール伯爵に敵対する貴族がいるそうです。」「詳しく教えてください。」
　「アルテンブルク伯爵は父ジルベールのせいで恋に破れたことからボドリヤール伯爵に嫉妬して、これまでにも商人に嫌がらせをしているそうです。」「恋敵ですか。」
　「商人たちは、領地が留守になれば、アルテンブルク伯爵が何かを仕掛けてくると恐れています。」「これはいけませんわね。」
カロリーネはパンパンと手を叩く、すると執事が彼女の横に現れる。
　「分かっていますね。」「お任せください。」
執事は姿を消す。俺は彼女の執事が怖い。これからツェザール・フォン・アルテンブルクの身に降りかかることを考えると敵ながら哀れに思えてくる。