ウロボロスの影~再生の星のアウレール外伝

ぽとりひょん

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 フレイムランドは、恒星フレイム2の第4惑星ランド2と第3惑星のランド3に居住惑星を持つ、異世界の人類国家である。
 地球で傭兵団ハンティング・ウルブズのパイロットをしていたアウレール・へリングとクリスタ・ランセルはアンドロイド スクルドを助けるため浮島の異世界の門を通ってフレイムランドを訪れる。
 彼らは、ドニィーシャ・メルルに剣術を習い、サイーシヤ・プラトノーフに魔術を習い騎士並みの力を付ける。そして、仮入隊として近衛騎士団の宇宙戦闘艦カゲツのパイロットとして配属される。
 アウレールとクリスタはマリア・メルル司令官に呼び出される。
 「ウロボロスと言う犯罪組織を聞いたことはあるか。」「いいえ、知りません。」
 「正体不明だが多くの事件で関与が疑われている。」「何か情報が入ったのですか。」
 「軍と騎士団の捜査で闇オークションに魔眼が出品されることが判っている。」「オークションごと摘発するのですか。」
 「いや、魔眼はカスパルで持ち主の左目を強奪したのものだ。この事件にウロボロスが関与していると考えられている。」「ではウロボロスが動いているのですね。」
 「オークション会場に潜入してウロボロス関係者を捕まえて欲しい。」「分かりました。」
黙って聞いていたクリスタが言う。
 「なぜ、私たちなのです。」「騎士団のメンバーは顔を知られている恐れがある。お前たちなら情報は無いだろう。」
 「どんな魔眼ですか。」「未来視の魔眼だ。希少で高値がつくだろう。」
 「オークション会場はどこですか。」「港湾都市カルピから出る豪華客船の中だ。手筈は整っている。」
 「ドレスとか必要ですね。」「経費で落とせるから好きなものを用意するといい。」
 「やったわよ。アウレール、買い物に行きましょ。」「ほどほどにしろよ。」
アウレールはこの後、街中を引き回されると思い、うんざりする。

 アウレールとクリスタはカルビの港から豪華客船パール・クイーン号に乗り込む。2人は部屋に入ると行動を確認する。
 すでに乗客と乗員の名簿は手に入れている。そして、ウロボロスに関連していると思われる人物はピックアップされている。
 2人はこの中で可能性の高い人物を見極め、人知れず誘拐することになる。
 アウレールとクリスタはスーツとドレスに着替えて夕食へ行く。レストランでは若い美男美女のカップルは目立っていた。特にドレス姿のクリスタは、男たちの目を引く。
 2人は夕食後、別れて別々にオークション会場へ入る。
 アウレールが歩いていると妙齢の美女が声をかけてくる。
 「坊や、こちらの席に座りなさい。」「俺は、アウレール。坊やではない。」
 「あら、ごめんなさい。かわいいのでつい・・・」
アウレールは彼女の顔に覚えがあった。エレオノーレ・アンデ、ウロボロスの関係者リストにあった人物だ。
 「お姉さん美人だから、俺、緊張します。」「あら、上手ね。オークションに来たの。」
 「はい、今日は社会勉強です。」「私は、エレオノーレ、ノールと呼んでいいわよ。」
 「ノールさんは何か欲しいものがあるのですか。」「いいえ、私は出品しているのよ。」
 「何を出品したのでしか。興味あるなー」「未来視の魔眼よ。」
 「魔眼ですか。俺は見たことないな。」「特別に見せてあげるわ。見に行きましょ。」
アウレールは当たりを引き当てたと考える。エレオノーレはアウレールをオークション品をおいてある部屋へ案内する。そこには10人の警備員が警戒していた。
 クリスタがオークション会場に入るとすぐに声をかけてくる男が現れる。男はリストになかったので外れである。クリスタは男を無視するが男はしつこかった。
 「あなた、しつこいわよ。」「お嬢さん、いい体験をさせてやると言っているんだ。嫌がることはないだろ。」
 「君、そこまでにしなさい。お嬢さんが嫌がっている。」「指図するな!」
男は声をかけてきた相手に振り返る。すると急に態度が変わる。
 「あなたは・・・」「私と君はここで会っていない。そうですね。」
 「はい、その通りです。」
男はその場を慌てて去っていく。
 「お嬢さん、大丈夫ですか。」「はい、ぜひお礼をさせてください。」
クリスタの目が光る。あたりを引き当てたのだ。ブルクハルト・ベッカー、ウロボロスの関係者リストにあった人物だ。
 「お嬢さん。私のことはサムと呼んでください。」「私はクリスタです。」
 「ここはお嬢さんにふさわしくないエスコートさせてください。」「オークションは良いのですか。」
 「手の者が競り落とすことになっています。気にしないでください。」
2人はオークション会場を出ていく。

 アウレールとエレオノーレはラウンジでカクテルを飲みながら談笑する。そこへ自称サムとクリスタがやって来る。アウレールはクリスタがブルクハルトと一緒にいることに気づく。
 クリスタもアウレールに気づき、互いに得物を見つけたことを確認する。
 「クリスタ、あなたのように魅力的な女性は初めてです。」「うれしいです。そのようなこと言われたことはありませんわ。」
 「そうですか。あなたの周りの男たちは見る目がないのか。よほどシャイなんでしょう。」
2人の元にカクテルが運ばれてくる。クリスタはカクテルを飲むふりをしてハンカチにしみこませる。
 アウレールはエレオノーレに部屋に誘われて出ていく。エレオノーレは部屋に入るとアウレールに抱き着く。
 「アウレール、あなたのこと気に入ったの。お姉さんといいことしましょう。」「いいですよ。」
アウレールは、ポケットから麻痺麻酔を取り出すとエレオノーレの首に注射する。エレオノーレは崩れるように倒れる。アウレールは部屋にあるスーツケースの中身を取り出して空にする。
 スーツケースにエレオノーレをいれると部屋を出ていく。
 自称サムはクリスタをほめちぎる。うんざりしてきたクリスタは酔ったふりをして言う。
 「酔ってしまったようです。」「大丈夫ですか。」
自称サムはクリスタに肩を貸して支えると自分の部屋に連れ込む。そして急に態度を変える。クリスタをベットに投げ出して言う。
 「薬が効かないのかと思ったぜ。もうしびれて声も出ないだろ。」「・・・・・」
クリスタは警戒してカクテルを飲まなくて正解だったと思う。
 「俺の女にしてやる。」
自称サムはクリスタに覆いかぶさる。クリスタは麻痺麻酔を自称サムの首に注射する。自称サムことブルクハルトは崩れ落ちる。
 「私の方が上手だったみたいね。」
クリスタは部屋にあったスーツケースにブルクハルトを入れると部屋を出て自分たちの部屋に戻る。

 アウレールとクリスタは互いの任務の成功を喜びあう。アウレールがクリスタに言う。
 「魔眼のありかを確認したよ。」「魔眼の奪還は任務に入っていないわよ。」
 「でも、盗られた人に返さないといけないよ。」「警備の人員は?」
 「10人。」「余裕ね。」
 「そうだろ。」「分かったわ。奪還したらエマージェンシーで回収してもらいましょ。」
アウレールとクリスタは着替える。ジャケットを羽織っているが中には防弾ベストを着こんでいる。
 2人は真直ぐオークション品をおいてある部屋へ行く。ドアにはカギがかかっているがアウレールは魔弾を撃ちこんでカギを壊して部屋に入る。
 警備員は全員銃を抜いていたが、2人の動きが早くて狙いをつけられない。アウレールが入り口に近い警備員の顎に掠るようにパンチを撃つ。警備員は脳震盪を起こして倒れる。
 クリスタは警備員の顔を掴むと魔力を流し込んで眠らせる。2人はそれぞれ魔弾を4発同時に警備員に撃ち込む、魔弾を撃ちこまれた警備員は倒れる。眠っているのだ。
 アウレールは魔眼が入った箱を手にする。クリスタが言う。
 「エマージェンシーを入れたわ3分でワルカが甲板に来るわよ。」「分かった。急ごう。」
2人は部屋に戻るとエレオノーレとブルクハルトが入ったスーツケースをもって甲板に出る。照明で照らされた夜の甲板に、人型兵器ワルカが降りる。
 パール・クイーン号はワルカが着艦した衝撃で大きく揺れる。ワルカはかがんで両手を甲板に付ける。アウレールとクリスタはワルカの手に乗る。
 するとワルカは立ち上がり飛び立って宇宙戦闘艦カゲツに戻る。アウレールとクリスタは、報告のため艦橋へ上がる。マリア指令は2人に聞く。
 「予定と異なるが何が起こった。」「魔眼を取り戻しました。」
 「それは、カルビの騎士団の仕事だ。何をやっている。」「エレオノーレとブルクハルトを確保して余裕があったので魔眼を取り戻したのです。」
 「余裕があったなら2人でデートでもしていればよかったんだ。せっかくの豪華客船だぞ。」「では戻ります。」
 「今頃、船では大騒ぎだ。仕方ないカルビの騎士団には私から話しておく。」
マリア指令は、2人に命令違反の処罰は言い渡さなかった。結果的には大成功だったのだ。
 エレオノーレとブルクハルトは軍に引き渡される。これでウロボロスに対する捜査が進展すると考えられた。エレオノーレとブルクハルトに対して軍の取り調べが始まる。
 しかし、2人とも精神に異常をきたし痙攣を引き起こして死んでしまう。
 2人の死体の調査から2人には一定のきっかけで発動する呪いがかけられていたことが判る。
 軍は犯罪組織ウロボロスを壊滅目標に指定する。
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