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第50話 ポルターガイスト1

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 山村隆之やまむらたかゆきは、念願の別荘を手に入れる。
 これまではキャンプなどで休日を山で過ごしていたが、腰を落ち着ける場所として別荘を探していたのだ。
 別荘の近くには村営の温泉があり、山を下りると国道が通る町があり、スーパーでの買い物ができる。
 また、国道沿いには料理店が点在している。
 彼にとっては理想の立地である。
 彼は中古の別荘に手を入れて、自分の好みに変えてゆく。
 彼は老後は妻と別荘で過ごすつもりでいる。
 休日、別荘に行くと、室内が散乱している。
 彼は泥棒に入られたのかと思うが、盗まれたものはなく鍵もかかったままである。
 その後も休日に行く度、室内は散乱している。
 彼と妻はまだ別荘に泊まったことはなかつたが、泊まって確認することにする。
 夜になり夕食を済ませると村営の温泉に入る。
 別荘に戻っても異常はない。
 彼らは眠ることにする。
 深夜、ガタッ、バタンを言うような音で目が覚める。
 見るとドアが勝手に開いたり閉まったりして、物が宙を浮くを思えば床に落ちる。
 しかし、誰も見えないのである。
 隆之は不動産業者に連絡する。
 しかし、不動産業者はその別荘は事故物件ではないし、前のオーナーからは何も聞いていないという。
 次の休日も別荘に泊まってみるが同じような状態である。
 彼は解決方法がないまま悩む日が続く。
 たまたま、テレビを見ているとオカルト番組が始まる。
 テレビには制服に仮面をつけた少女2人が出てきて除霊をするようだ。
 彼は際物きわものだなと思う。
 しかし、少女は水で刀を作ると何かと戦っている。
 映像にははっきりしないが何か影のようなものが映っている。
 彼女は影を切り伏せ、霧散させる。
 本人たちは
 「悪霊を除霊しました。」
と言っている。
 隆之はテレビ局に電話する。
 オカルトの相談に担当者がかわる
 「どんなことが起きていますか。」
 「ドアが勝手に開いたり閉まったりして、物が宙に浮きます。」
 「ポルターガイストですか。」
 「そのように言うそうですね。」
 「分かりました、番組で検討してから電話をします。」
 「よろしくお願いします。」
隆之は番組に希望を託す。
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