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彼女の名前は
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「おとーさん!お客さん連れて来たよー!」
このガラス張りの建物が彼女の家兼お父さんの店のようだ。
やはりと言うか、自転車が所狭しと並べられている。
お父さんと呼ばれた男性はくるりとこちらに振り向いた。
「なんだい?ひなた、また無理矢理お友達を連れて来たのかい?」
「もーっ、違うよ。なんか自転車がパンクしてたみたいだから任意同行してもらったんだよ」
「任意同行って……はあ。えーと君は良かったの?前に自転車を買った店とかなら期間内なら無料のところが多いけど」
彼女のお父さんは娘との会話を早々に切り上げて店主の顔に切り替えた。
「はい、それは大丈夫です。もう期限切れてるので」
「そっか、じゃあ少しの間自転車預かるね」
「はい、お願いします」
「はい、お願いされました」
軽く笑いながら言葉を返す。
「うーん、パンクかー」
「直ります?」
「そりゃあ直るよ。ただ、十分ほど時間がかかるけど大丈夫?」
「はい、どうせ暇なので」
「ははは、それは良かった。じゃあ悪いけど、その間だけひなた……娘の相手をしてやってくれないかい?
どうも落ち着きの無い子でね」
「もー!お父さん!そんなことないでしょ!」
「えっ、そんなことあるだろう?ほら、入学式の時だって……」
急に彼女がわたわたと手を振りながら慌てだした。
「あーあーあー、記憶にございませーん」
その親娘の掛け合いに笑みを堪えることができずに、くすりと明は笑ってしまった。
「もー、お父さんのせいで笑われたじゃない!」
「ははは、ごめんごめん」
「ぜんっぜん申し訳ないっていう気持ちがこもってない!やり直し!」
「いやぁ、申し訳ない」
「変わってないよ!はあ……もういいから仕事して」
「おやご機嫌を損ねてしまったようだ。じゃあ、君にバトンタッチするよ」
「えっ」
ーーーそんな急に振られても……困るんだけどなぁ……
「ほら、彼困ってるじゃない。さっさと修理する!」
「はーい」
ーーー仲が良いんだなぁ。
「羨ましいな」
明はそう呟いた。幸いにもそれを聞いた人はいなかった。
このガラス張りの建物が彼女の家兼お父さんの店のようだ。
やはりと言うか、自転車が所狭しと並べられている。
お父さんと呼ばれた男性はくるりとこちらに振り向いた。
「なんだい?ひなた、また無理矢理お友達を連れて来たのかい?」
「もーっ、違うよ。なんか自転車がパンクしてたみたいだから任意同行してもらったんだよ」
「任意同行って……はあ。えーと君は良かったの?前に自転車を買った店とかなら期間内なら無料のところが多いけど」
彼女のお父さんは娘との会話を早々に切り上げて店主の顔に切り替えた。
「はい、それは大丈夫です。もう期限切れてるので」
「そっか、じゃあ少しの間自転車預かるね」
「はい、お願いします」
「はい、お願いされました」
軽く笑いながら言葉を返す。
「うーん、パンクかー」
「直ります?」
「そりゃあ直るよ。ただ、十分ほど時間がかかるけど大丈夫?」
「はい、どうせ暇なので」
「ははは、それは良かった。じゃあ悪いけど、その間だけひなた……娘の相手をしてやってくれないかい?
どうも落ち着きの無い子でね」
「もー!お父さん!そんなことないでしょ!」
「えっ、そんなことあるだろう?ほら、入学式の時だって……」
急に彼女がわたわたと手を振りながら慌てだした。
「あーあーあー、記憶にございませーん」
その親娘の掛け合いに笑みを堪えることができずに、くすりと明は笑ってしまった。
「もー、お父さんのせいで笑われたじゃない!」
「ははは、ごめんごめん」
「ぜんっぜん申し訳ないっていう気持ちがこもってない!やり直し!」
「いやぁ、申し訳ない」
「変わってないよ!はあ……もういいから仕事して」
「おやご機嫌を損ねてしまったようだ。じゃあ、君にバトンタッチするよ」
「えっ」
ーーーそんな急に振られても……困るんだけどなぁ……
「ほら、彼困ってるじゃない。さっさと修理する!」
「はーい」
ーーー仲が良いんだなぁ。
「羨ましいな」
明はそう呟いた。幸いにもそれを聞いた人はいなかった。
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