異世界、皇子です

晴れのち曇り

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四章、大陸戦乱

新たな風の予感

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神国のとある場所で、甲高い金属音が冬の寒空に響き渡る。

その音に法則性はないかのように思えるが、よくよく聞いてみるとそうでもない。

そこには6人の男女がおり、その中の2人が音の発生源であるようだ。
男が2人、女が4人いる中男と女が戦っているようだ。
どちらも剣を持ち、常人には見えない程の剣戟を繰り返していた。
あとの4人はその光景をじっと見守っている。

「はあっ!」

「ふっ!」

何度繰り返されたことだろう。数えるのにも飽きてしまうほどに長い時間2人は戦っている。

「しっ!」

「うっ!」

一際鋭く繰り出された一閃は僅かに男の体勢を崩させた。
女にはその僅かな隙が各千金に値する程の時となったように感じた。

「これでっ!」

冷徹な鉄面皮を崩すことなく、あくまで冷静に男を追い詰めんとする。

「ーーーっ!」

女の持つ剣によって放たれた一撃は先程より更に洗練された速い一撃であった。

それは正確に男の持つ剣を空高く弾き上げた。

「ーーーふぅ、参りました」

肩で大きく息をしながら真っ直ぐに
女ーーー神国第一皇女であるエルザーーーを見つめる。

「やっぱり、勝てないですね……」

深い溜息を吐きながら己の弱さを痛感する男ーーー未来ーーーに対し、エルザはその言葉を否定する。

「いいや未来、お前はかなり強くなった。普通では考えられないくらいにな」

その言葉に賛同の意を示す声が聞こえてきた。

「そうよ、あんた以上にエルザ様と闘うことができる人間はそういないらしいじゃない」

黒い髪をたなびかせながら近づいて来たのは未来の幼馴染の日ノ宮 悠里である。
彼女は口調こそ強いが、誰よりも心優しい女性であると未来は感じている。
だからこの言葉もきっと自分を慰めようとしてくれているのだろう。

「そうですよー、ミライ。ミライが私達勇者の中で一番強いじゃないですかー」

この語尾を伸ばして話しているのは、鏡野 ルテア 彼女もまた勇者である。
ハーフらしく五人のなかで唯一の金髪だ。

未来の個人的な印象ではあるが、何を考えているのかがわからないのでいまいち信用しきれないと感じている。

「…………そうだな」

短髪でガタイの良い男は、土屋 浩二 勇者である。寡黙であまり人と会話をしないので彼自身のことはよく知らない。

だが、普段から人に気を使っている様子が見られるので信用できるのではないか、と未来は思っている。

「はっ、はい!未来さんは強いです!」

長く綺麗な黒髪を三つ編みにしている気弱そうな少女は、佐藤 風理 例に漏れず彼女も勇者である。

他の勇者が高校生の中で唯一の中学生だ。少々暗い性格ではあるものの読書好きが高じた知識量と頭の回転の速さは随一であると未来は感じている。

未来を含めたこの五人が神国の勇者である。

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