6 / 226
第一章 異世界帰還編
凛 絶体絶命、八雲 英雄となれ
しおりを挟む凛は学校の廊下を走って逃げていた。
後ろから、「カシャン、カシャン」と
追ってくる足音がする。
何とか剣をかわすことはできたが、
階段を転げ落ち全身が痛く足を完全に
挫いてしまった。
あれは一体なんなんだろう常軌を
逸している。目も全く定まっておらず、
何を考えているかわからない。
「怖い」一言凛は呟いた。
「なんでいないの」廊下では誰とも
すれ違いにならず教室にも誰もいない。
助けを呼んでもまるで反応がない。
凛はどうして良いかわからなく
なっていた。
「足が」痛みが限界にきており、
仕方なく近くの教室に逃げ込んだ。
しかしそこには2人の影があった。
「バリ、バリ」と音を出し、鎧騎士が
もうひとりの鎧騎士をバリバリと
食べていた。さっきと違って顔の
ほとんどに黒いもやがかかっており、
口だけがパクパクと動いていた。
鎧騎士は凛を見て「ニヤ」と口を
動かした。
「くっ、」もう動くのは無理、なんとか
して向かい打つしかない。鎧騎士は
ゆっくりと立ち上がり、凛に襲いかかる。
相手の腕を取りひねりながら受け流し
地面に倒す。
「痛っ」凛は足の痛みに耐え相手を
倒したが痛みで転倒する。そこに
先ほどの鎧騎士まで現れ絶体絶命の
状態に、鎧騎士は「勝負だ~」と
叫びながら剣を振り上げた。凛は八雲
助けてーと心の中で叫んだ。その時、
鎧騎士の隣に人が立っていることに
気づく。
「凛に何してくれてるんだ‼️」
八雲は鎧騎士に蹴りを入れる。鎧騎士は
大きくはね飛ばされ、壁に激突する。
「大丈夫か 凛」
「八雲?」
「八雲ですけど!」
「八雲~怖かったよ~」
「良くがんばったな~よしよし」
凛は放心状態でうまく現状が理解できず
八雲見つめ、泣きながら抱きつく、
八雲は優しく凛の頭を撫でる。
凛が落ち着くのを待ち
「八雲、もう大丈夫」
「そっか、良かった。」
凛は照れながら八雲から離れる。
「八雲、ここ変なの人が誰もいなくって」
「あーここはいつもの学校じゃない
俺たちは今学校に良く似た異空間の中に
いるから、元の場所とは違うんだ。
だからここには人はいないよ」
「えーどう言うこと?」
「どうしてかは、わからないけど
凛は異空間に迷い込んだみたいだね」
「どうするの出口はわからないの?」
「わからないけど、何とかなるよ」
凛と八雲が喋っていると、大男の鎧騎士と
空の鎧騎士がこちらに歩いてきた。
「八雲逃げないと!!」
「大丈夫」
八雲は片手を上げ、鎧騎士達に向かって、
指を弾く。指先から小さな光の玉が飛び
鎧騎士の胸にある核に命中、鎧が砕け
散った。
「良かったなこいつ」
「取り付くタイプの妖魔だったようじゃな。
心が食われかかっておったのじゃ」
「先生のお陰ですね。先生のギフト
『アナライズ』がなければ、助けることは
できなかったですよ」
『ふ、ふ~ん、我のアナライズにかかれば、
こやつの弱点など簡単に見抜けるのじゃ」
「さすが先生」
「あの~八雲、そちらの妖精さんは
なんなのかな~」
「あ、ゴホンとにかく今は脱出することが
優先じゃない」
「う~ん、絶対に後で教えてよ」
凛は気になって仕方がなかったが、
この常軌を逸した状態を回避する方が
重要と思い今は聞くのを諦めた。
「無理やり脱出はできるけど、リスクが
高いから、できればこの空間を維持して
いる核を探して破壊したいな」
異空間を力業で破壊すると、元の世界の
どこに飛ばされるかわからないから
後々面倒だし場合によっては、空や海に
飛ばされ危険である。
「痛っ」凛は立ち上がろうとして、
痛みでうまく立ち上がれないでいた。
「大丈夫か凛」と声をかけ、八雲は凛の
足首に手を当てギフトの第2の能力
『ライフキュア』を唱える。足首に
魔方陣が発生しケガを治した。
「えっ、痛みがなくなった」
凛は立ち上がり、足の確認をした。
「ん、良く見るとケガだらけじゃないか
仕方無いか」
「きゃ」
八雲は優しく凛を抱きしめ、
『ライフキュア』を唱え、
凛の全身のケガを治した。
「良し治ったな!」
「……………………………」
凛は真っ赤な顔で、緊張して喋る
ことすらできなくなっていた。
「ばかもん、また無駄使いしおって
からに~」
「先生そんなに怒らないで下さいよ!」
「足だけ治せば十分じゃ、他の傷は
自然治癒で良いのじゃ‼️」
「ま、良いじゃない。数分くらいしか減って
ないんだから」
「ばかもん」先生からの飛び蹴りを
食らった。
「さて核を探すか、学校にあんな感じの鎧が
あったかな~」
あの妖魔の姿から発生原因が同じ形を
していると八雲は予想していた。
「そんなの我のアナラ…………
「そういえば校長室に騎士の鎧があったわ」
先生より早く凛が答え、先生がぷるぷる
しながら睨んできた。 こわー
「あ~あったあった全然知らなかった」
「ちょっと前校長先生と話す機会があって」
校長室に入り、鎧に近づくと鎧から
鎧騎士が分裂し増えていた。
「間違いなくこいつが本体だ」
「どうするの」
「殴って終わりだ‼️」
八雲は大きく振りかぶって鎧を殴ぐり
消滅させた。その瞬間空間も瞬間し
元の世界の校長室に戻った。
「君たちいつここに入ったのかね」
俺たちは校長から事情聴取を受けていた。
知らない内に校長室に入ったうえに、
騎士の鎧が壊れていれば、簡単には
帰してくれない。
「八雲、どうしよう、言い訳のしようが
ないよ」
「仕方無いな、先生」
「わかった」リーム先生はアナライズを唱え
校長の頭にある急所を発見し、ふわふわと
校長の頭に近づき「アチャー」といって
チョップを頭に一撃入れた。
「な、な、な、なにしてるの~」
凛は驚きの声を上げた。
「君たちなにか用かい」
校長は今あったばかりの反応で声を
かけてきた。
「いえ、大丈夫です。ありがとう
ございました。失礼しました」
八雲達は校長室をあとにした。
「八雲くんさっき妖精さんは何をしたの」
「先生は相手の記憶を飛ばす技を
持っていて大体1時間くらい前なら
ごまかしが聞くんだよ」
「そうなんだね すごい………」
凛はやや引きつった顔をしている。
多分怖いのだろう。
「八雲、その小娘はどうする。」
先生はチョップの素振りをしながら
聞いてきた。凛はさらに顔引きつらせて
八雲を見る。
「先生いいよ」
「凛、話しは明日にしよう。
今日は疲れたろ」
「……………うん」
凛は八雲の穏やかな顔見て何も聞けない
気持ちになった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
薬漬けレーサーの異世界学園生活〜無能被験体として捨てられたが、神族に拾われたことで、ダークヒーローとしてナンバーワン走者に君臨します〜
仁徳
ファンタジー
少年はとある研究室で実験動物にされていた。毎日薬漬けの日々を送っていたある日、薬を投与し続けても、魔法もユニークスキルも発動できない落ちこぼれの烙印を押され、魔の森に捨てられる。
森の中で魔物が現れ、少年は死を覚悟したその時、1人の女性に助けられた。
その後、女性により隠された力を引き出された少年は、シャカールと名付けられ、魔走学園の唯一の人間魔競走者として生活をすることになる。
これは、薬漬けだった主人公が、走者として成り上がり、ざまぁやスローライフをしながら有名になって、世界最強になって行く物語
今ここに、新しい異世界レースものが開幕する!スピード感のあるレースに刮目せよ!
競馬やレース、ウマ娘などが好きな方は、絶対に楽しめる内容になっているかと思います。レース系に興味がない方でも、異世界なので、ファンタジー要素のあるレースになっていますので、楽しめる内容になっています。
まずは1話だけでも良いので試し読みをしていただけると幸いです。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました
久遠 れんり
ファンタジー
別の世界からの侵略を機に地球にばらまかれた魔素、元々なかった魔素の影響を受け徐々に人間は進化をする。
魔法が使えるようになった人類。
侵略者の想像を超え人類は魔改造されていく。
カクヨム公開中。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる