書道が『神級』に昇格!?女神の失敗で異世界転移して竜皇女と商売してたら勇者!聖女!魔王!「次々と現れるので対応してたら世界を救ってました」

銀塊 メウ

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第九章 邪神降臨

第288話 主人と従者

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「ゾール!」俺は怒りのまま筆を振るう。
 ゾールはニコリと笑い、俺の攻撃を素手で受け止めた。

「にぃー!ダメだよ!冷静さに欠けていてはボクに触れることすら叶わない」

 手から黒いモヤを出し俺を弾き飛ばす。

「ぐうー……くそ!許さねぇーぞ!ゾール」
 俺の怒りは収まることはなく、ヤツを見ていると殺意が込み上げて来る。もう自分を抑えられない。

 俺は筆を握り締め飛び出そうとした時、誰かに腕を掴まれ止められた。

「お待ちください!ご主人様」
 掴んだのは結界から脱出したジャンヌだった。
 
「離せ!ジャンヌ」
 俺はお構いなく腕を振り解こうとするが、ジャンヌは決して離そうとはしない。

「離せって言ってんだろうがぁ!」
 俺は怒りのまま怒鳴る!

「このバッカモンーーー!」
 丸くて柔らかい物が顔面にぶつかり、俺の頭は大きくかち上げられ頭を揺さぶられた。

「なんと情けない姿だ!それでも我らの主か!シャキッとせんか!シャキッと!」

 ぶつかって来たのは風太、通りで柔らかいわけだ。攻撃されたわけじゃないんだから、でも今の俺を苛立たせるには十分だった。

「何しやがる風太!邪魔するんじゃねぇーよ!」

「どうやら相当頭に血がのぼっておるようだな。………それも仕方あるまいか、蒼字(そうじ)気持ちは分かるが落ち着け!このまま戦えば無駄死にだ」

「そんなの関係あるか!俺はアイツを殺す!」
 俺は風太の言葉を一蹴、今の俺には何も見えない。俺はアイツを許せない……殺す!


「ご主人さまスイマセン!バカヤローー」
 
「ゴッ」…硬く重い衝撃が俺の頬に伝わる。
 俺はジャンヌに思い切っきり顔を殴られていた。
 俺は頬に手を当て呆然とジャンヌを見る。
 ジャンヌは涙を流しながら殴った手を震わせていた。

「主人に手を出すなど騎士、いえ式として失格ですね。でも我慢なりません!私達はご主人様を守る者、ご主人様の命を奪おうとする者はご主人様であっても許すわけには参りません。しかし私は許されないことをしてしまった。主人に手を出すなど従者としてあるまじき行為、どの様な処分であってもお受け致します。ですがどうか…どうか、この戦いにはこのまま参加させて頂きたくお願い致します」

 深々と頭を下げるジャンヌ。 

 ハ~………ため息しか出ない。何をやっているんだか俺は、これは後で風太の長い説教がありそうだ。でもそれはいつものことか…………まったく反省しかない。ジャンヌにあんな顔させて殴らせさせてしまった。一体どんな想いで俺を………今までの行動のことを考えれば身を引き裂く想いで………本当なら………あ~もう!なんで俺はこんなにダメな主人なんだよ!

「ジャンヌ頭を上げろ」
 ジャンヌゆっくりと顔を上げると、涙をとめていたが今にも泣きそうな顔をしていた。そんな顔を見せられると心が締め付けられるように痛い!………でも完全に俺が悪いんだからしっかりと受け止めないと。

「ん!」俺は自分の頬に指さす。

 ジャンヌは目をパチクリさせ、最初は意味が分からなかったようだが、気づくとハッとなり急ぎ俺の頬に手を当てて回復魔法をかけた。
 
「ん!……………」
「……………………」
 お互い沈黙し、ジャンヌは心配そうな目線を俺に向ける。俺はひたすら気まずい。

「蒼字(そうじ)、ここ大事だからな!しっかり対応しろよ」
 風太がボソッと横から声をかける。
 どうやら風太は俺の頭が冷えていることに気がついているようだ。でも助けてくれる気はないみたい。

「オホン………まずはそうだな。すまなかった。不甲斐ない主人で」

「な!?何を言われるのですか!ご主人さま、貴方様はなにも悪くありません!わるいのは……」

「そこまでだジャンヌ、これ以上主人のカッコ悪いところは見たくないだろ。ジャンヌお前は俺が過ちを犯そうとしただから俺を止めようとしてくれたんだろ。ならお前は悪くない………助かったよジャンヌ、お前が居てくれて良かった」

 俺はジャンヌが今まで一緒に居てくれたことに強く感謝し、それを言葉に乗せる。ジャンヌのことだ。そう言えば、そのような勿体ないお言葉、とか堅苦しいことを言うだろう。だが俺はそんな反応は欲しくないね!嬉しいなら嬉しいとちゃんと言って欲しい。だから変なことを言う前に笑って冗談風に注意してやろうとしたのだが………ちょっと様子が違う。

 ジャンヌは両手で顔を隠し嬉し涙を流しており、想像以上に伝わっちゃった。俺はちょっと驚きながらも予想していたより遥かに良い印象でそれを見守る。

 しばらくして視線に気がついたジャンヌはハッとして例の言葉を言おうとしたので止める。

「ご主人様しかし……」
「しかしもかかしもありません。それ以上はシャラ~プ」
「シャラ~?」
 ジャンヌは不満げに首をかしげる。


「話はついたか?」
「あぁ、良かったかな分からないが、なんとか、風太も面倒かけたな。ありがとうよ」
「ふん!このくらい大したことではない。やるべきことをやったまでよ」
「そう言ってくれると助かる」
 風太は犬の姿をしているから分かりにくいがいぶし銀な顔をしていた。


「あの~ご主人さま~」
 あ!この反応いつものジャンヌだ。
 どうせお前は悪くないと言っても聞き入れられないんだろう。ま~らしいっちゃ~らしいけど、それでは困る。

「良し!分かった。ジャンヌ!あとでお仕置きだ!覚悟しておけ!」

「はい!分かりましたー!」
 満面の笑みで答えるジャンヌ、お仕置きって言っているんだから嫌がりなさい。
 ま~いいさ、もちろんお仕置きなんてするつもり、俺にはこれっぽっちもない。お仕置きと言う名ばかりの褒美を楽しみにしているがいいさ。
 
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