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第九章 邪神降臨
第311話 遅れてやってくるのが…………
しおりを挟む「はぁ~ぁ!ね~む」
パサッパサッ、ゆっくりと面倒くさそうにダルそうに翼を動かし飛んでいる絶世の美女が居た。眠くってあくびをすること1246回、めちゃくちゃやる気が見えない姿はいつものことだが、今日は下界で流行りだしているオセロと言うゲームを部下の天使と徹夜でやっていた為、いつもより何倍も疲れてダラけモードなのだ。ちなみにオセロなど普通徹夜でやるものではないが、彼女はメッチャ弱かった。頭が、勝つまでやめないと言い出した結果、寝ることが出来なかった。アホです。
寝そべりながら飛行、器用なことをしながらゆっくりと下界の聖域へと向かう。
…………………▽
◆リルの視点
私は地面に倒れまともに動けない状況まで力を奪われてしまった。今も私を悲しそうな目で見下ろす聖女の亡霊達は自分の意思ではないのに私の力を奪っていく。
バアル・ゼブルは空中に豪華な椅子を浮かせ弱っていくリルを観察していた。
「そろそろかの。そなたの命が尽きるのは、どうだ?怖いであろう。悲しいであろう。私が憎いであろう」
弱っているリルは頭を動かす。辛かったが、それでもどうしても言いたかった。
「この人達を解放して!なんでこんな酷いことが出来るの!」
リルは涙を流し訴える。
リル自身もこんなことを言っても説得出来るとは思ってはいない。だけど彼女達の悲しみがヒシヒシと伝わって来る。リルは言わずにはいられなかった。
それを聞いたバアル・ゼブルは酷くつまらなさそうに不満そうに口を開く。
「そなたは死が怖くはないのか?」
「そんなの怖いに決まってるよ!」
「ならばなぜ恐れぬ。なぜ命乞いをせぬ!」
「あなたには分からないかも、どんなに強い相手でも、どんなに怖い相手でも、大切な人達を守るためになら立ち向かえるの、それが勇気、奇跡を起こす魔法の言葉よ」
「くだらぬ!そのような戯言などかつて幾度も聞いたわ。まったくもってつまらぬことか、そなたならもう少しマシなことが聞けると思うたが、残念だ」
バアル・ゼブルは扇をリルに向けて振り上げる。
「今からそなたの頭をかち割る」
その言葉を聞いたリルは動くことが出来なかったが、決して絶望をしていない。それを不快に思ったバアル・ゼブルはそのまま扇を振り下ろす。
『筆払い』
ザシュ……扇の強烈な斬撃を筆で払い除ける。
そこには一人の男が佇み。リルは笑みをこぼす。
「リル、悪い待たせたな」
「待ってました!蒼字(そうじ)さん」
筆を構え邪神バアル・ゼブルに向かい合う。
「選手交代だ!もう一度俺が相手になる」
バアル・ゼブルは扇で顔を隠すように傾ける。その顔は伺えないが苛ついていることが分かった。
「そんな苛つくなよ。たぶんこれが最後になる。お前はやっぱり想像を超える存在だった。怒りの力を使っても遥かに届かなかった。俺に出来ることはもうほとんど残されてはいないだろう」
「ならば諦めればよかろう。その目、そなたもその女と同じ目をしておる。意思のある目だ。なぜ投げたぬ」
「俺には大切な人達が居る。命を賭して守りたい人達が、だからお前がその人達に危害を及ぼすなら戦い続ける」
蒼字(そうじ)の筆が白銀に光、筆をリルに向かって一振り、すると、リルに纏わりついていた亡霊がスーッと離れていった。
「リル、悪いけど出来るだけ離れてくれ」
「え!?蒼字(そうじ)さん……わ、私も戦います!」
蒼字(そうじ)はリルにかかっていた呪いを解くと同時に『治癒の朱墨(しゅずみ)』をかけ傷を癒やしていた。だからリルは一緒に戦うことを進言したのだが。
「いや、下がっていてほしい。傷は治したけど精神的なダメージは癒やせてはいない。リルは戦える状態じゃないんだよ」
「それは蒼字(そうじ)さんも同じです。私だけが逃げるわけにはいきません!」
リルは蒼字(そうじ)が自信を心配して言ってくれているのは分かっている。だけど、私は蒼字(そうじ)が心配なのです。その想いで断る。でも返って来た反応は少し違和感を感じるものだった。
「リルありがとうな。でもたぶんなんとかなると思うから。俺って結構運が良いんだな。ま~悪運かもしれないけど、リル!俺を信じてくれ俺がコイツを倒せるよ」
蒼字(そうじ)には悲壮感はなく。気負い過ぎでもなかった。むしろ穏やかな表情にも見えた。
リルは不思議と落ち着き、ホッと安堵していた。
理由は分からない。だけど私は蒼字(そうじ)さんを信じている。
「蒼字(そうじ)さん分かりました。絶対に帰って来てください」
「おう、任せておけ!アイツをぶっ飛ばして!ハッピーエンドと行こうぜ!」
蒼字(そうじ)はリルからバアル・ゼブルに視線を向き直しグッと腕を上げて勝利を宣言した。
その姿を見てリルはすぐにその場から離れる。
「その自信どこから湧いてくるのかは知らぬが、不愉快である」
バアル・ゼブルから恐ろしいほどの魔力と威圧が発せられる。蒼字(そうじ)はその暴風を受けながら呟いた。
「早く来いよ!駄女神。腹パンの件は帳消しにしてやるからよ」
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