306 / 346
第九章 邪神降臨
第286話 絶望
しおりを挟む◆セレーナの視点
『荒天爆発………シャイニングバーン』
天が光り一瞬で目の前が真っ白に光り何も見えなくなる。光が徐々に消え前が見えるようになると、モニカ(ゾール)の身体から湯気が上がり動きを止めていた。
良し!効果はあったわ。
「へー……これは流石に結界では防げないのか~、強力な光だ。これは物理攻撃としてではなく。精神攻撃、モニカの中に居るボクへの攻撃ってことか、結構効いたよ!セレーナ」
モニカ(ゾール)湯気を上げながら動き出す。
「結構ですか、良かったですけど、足りませんね!今度は直接叩き込む!」
私は上空に飛び上がり、モニカ(ゾール)の真上移動すると、スキルを発動した。
『グラビティ………インパクト』
自分の周辺を過重力空間にし、真下に急加速で落下し、何十倍に重くなった拳を振り下ろす。
『重層強化結界(じゅうそうきょうかけっかい)』
モニカ(ゾール)は真上に複数の強固な結界を張り、セレーナの攻撃を受け止めた。
ズシーンっと重い衝撃と音が波動となって広がり、その一撃で結界の八割を破壊する。
「まだまだよ!グラビティインパクト』」
私は拳を結界に当てたまま更に重力を高める。
ビキッ…バリン!
ビキッ…バリン!
ビキッ…バリン!
ビキッ…バリン!…………
「どうします?あと一枚よ!」
私は結界の上に立ち拳を振り上げる。
「セレーナは意地悪だな~!早く僕を潰してよ~……出来るならね!」
モニカ(ゾール)はニッコリと場違いな笑顔で返す。私の神経を逆撫でしようとしているのは分かっています。だからそれには乗らない。
『グラビティインパクト』
拳に過重力を集中し結界を殴る。
結界はあっさりと割れ、私の手はモニカ(ゾール)に触れようと手を伸ばす。
ガシッと手首を掴まれた。
「簡単には触れさせないよ」
「そうですか、それで防いだつもり?」
私は腕のグラビティを強め、徐々に掴まれた腕が下がって行き、手のひらがモニカ(ゾール)に触れる。
『グラビティロック』
「うわ!?うわわわ、わぁ~」
モニカ(ゾール)はふらつき尻もちをついて倒れる。
モニカ(ゾール)の両腕、両足、そして腹部に黒いリングがつけられ、それらを起点に加重力を発生させていた。
「これはマズイかな~ぜんぜん身体が動かないよ~」
悲しそうに嘆くモニカ(ゾール)。しかし私には分かった。これは演技だと。きっと私の反応を楽しんでいるのだろう。
「ん?……どうしたのセレーナ~、ぼーっとしちゃってさ~。何か言ってほしいんだけど」
「ゾール、あなたと話すことはありません。それではさようなら」
私はモニカ(ゾール)の胸に手を置いた。
私は心の中で「ごめんなさい」と呟き、スキルグラビティでモニカ(ゾール)の身体に加重力をかける。
「う~ん。重いよセレーナ。もう少し手加減してほしいな~」
!?……なんで、私のスキルが効いていない。
「イヒヒ、なんだかんだ言って覚悟が足らないんだよセレーナは、ま~それが愛おしくもあるんだけどさ!」
モニカ(ゾール)は上体を起こし私の首を掴み、ギリギリと絞め始めた。
「ねぇ~苦しい?苦しいのかな~。教えてよセレーナ~」
その目は禍々しく淀んでおり、すべてを飲み込もうとしていた。
この!イカれ野郎が!私は激昂する。
首を絞められていることなどお構い無しに、右腕を振り上げ拳を叩き込む。
拳が衝突し衝撃波が広がる。
「………………くっ」
私の顔が険しいものに変わる。
「セレーナ~、冷静さに欠けてるよ~。忘れないでよ~。モニカのスキルは結界、そんな単調な攻撃じゃ~簡単に防いじゃう。同様して隙だらけだよ~」
私の腹部に結界で作ったブロックが衝突、私は高く突き上げられた。
「ゴハッ……」………くっ………体勢を取らないと……
「セレーナ~行くよ~、ちゃんと避けてねぇ~」
ダルそうにしながらモニカ(ゾール)は結界の形状を弓矢にして飛ばす。
このままだと……串刺しかしら……
飛んでくる弓矢型の結界をグラビティで落として防ぐ。
私は落下しながら回復魔法で腹部を治療、地面に足を着き、そのままダッシュでモニカ(ゾール)に接近する。
『グラビティショット』
放たれたのは黒い玉。当たれば数十倍の重力がかかり、自らの重さに耐えられず潰れてしまう。
モニカ(ゾール)はそれを的確に見定め、強力な結界で包み圧縮、それを消した。
モニカと初めてまともに戦ったけど結界スキルと私のグラビティスキルは相性が良くない。ここまで防がれるなんて……でも押し切れる。時間の問題のはず、私のスキルもそうだけどモニカのスキルも魔力の消費が大きい。いずれ魔力が尽きる。そうなれば今ひかけている教皇が倒してくれる。だから私は魔力が続く限り攻撃あるのみ。
拳に魔力を集中、スキルを発動し、拳に直径三十センチほどの黒い玉が出来る。
『グラビティショットガン』
拳を突き出し黒い玉を飛ばすと、それは破裂して分散、過重力玉が複数になってモニカ(ゾール)に飛んで行った。
モニカ(ゾール)はさっきと同じように結界で包んで消すが、いくつかを取りこぼしてしまう。
間に合わない玉を横っ飛びで躱し移動、しかしその先にはセレーナが待ち構えていた。
「わぁ!?」……小さく声が漏れる。
セレーナは聖なる力を拳に込めてモニカ(ゾール)を殴る。殴った感触から結界では防げず、腹部側面に当たったことが分かった。
これはチャンスだと思った。
魔力が尽きる前に攻めきれるかもしれない。
でも、その時、ほんの…ほんの少し躊躇いを感じ。
拳の動きが緩やかになる。
これから私はモニカを仲間を…大切な人を殴る。
覚悟をしなければならない。巨悪を滅ぼすために……
私の両腕が光り輝く。
聖なる光でゾール、あなたを浄化する。
私は心を鬼にしてモニカを殴った。
殴って…殴って…殴り続けた。
殴るたびに不快な感触が伝わってくる。
骨が折れ、皮膚が裂け、顔が腫れていく。
とても聖女がやることではない。
人を癒すどころか人を破壊している。
なんて…なんて…酷いことをしているの。
私は涙を流しながら殴っていた。
「もういいよ。セレーナ」
遠くから声が聞こえた。実際は直ぐ側からだったのに、私の意識はどこか遠くの彼方に飛んでいたのかもしれない。
気がつくとモニカ(ゾール)はボロボロになって地面に倒れていた。そして腕を止めるように抱き着く教皇、あの声はあなたでしたか。
「もういいんだ。セレーナ……君は良くやった。これ以上闘わなくていい」
教皇の必死な声、あー……やっと…やっと、拳が下ろせるのね。もう、殴らなくていいのね。
私は………涙が止まらなくなった。
教皇は慰めるように抱き着き、セレーナはそれに応えるように膝をついて教皇を抱き締めた。
「よくやった。セレーナは本当によくやったよ。
君ほどボクをトキメかせた者はいない 」
な…に…を言っているの?
「純粋で清き魂が傀儡のように踊る。
そして知るんだ。
君がやって来たことが、すべて間違っていた事を」
教皇?……私は顔を上げる。その顔は……
「何度も会っているのに、こんなことを言うのはおかしいけど、初めまして……ボクの名前はゾール、君が大好きで愛おしく、そして君が憎むべき者だよ」
その顔は醜悪に歪み、混沌としていた。
私は理解出来なかった。
教皇が……大司教ゾールだと。
だから見えていたのに躱せなかった。
胸に突き刺さる短剣を、私は絶望の中地面に倒れる。
1
あなたにおすすめの小説
異世界に降り立った刀匠の孫─真打─
リゥル
ファンタジー
異世界に降り立った刀匠の孫─影打─が読みやすく修正され戻ってきました。ストーリーの続きも連載されます、是非お楽しみに!
主人公、帯刀奏。彼は刀鍛冶の人間国宝である、帯刀響の孫である。
亡くなった祖父の刀を握り泣いていると、突然異世界へと召喚されてしまう。
召喚されたものの、周囲の人々の期待とは裏腹に、彼の能力が期待していたものと違い、かけ離れて脆弱だったことを知る。
そして失敗と罵られ、彼の祖父が打った形見の刀まで侮辱された。
それに怒りを覚えたカナデは、形見の刀を抜刀。
過去に、勇者が使っていたと言われる聖剣に切りかかる。
――この物語は、冒険や物作り、によって成長していく少年たちを描く物語。
カナデは、人々と触れ合い、世界を知り、祖父を超える一振りを打つことが出来るのだろうか……。
キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~
サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。
ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。
木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。
そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。
もう一度言う。
手違いだったのだ。もしくは事故。
出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた!
そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて――
※本作は他サイトでも掲載しています
ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?
よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ!
こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ!
これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・
どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。
周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ?
俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ?
それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ!
よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・
え?俺様チート持ちだって?チートって何だ?
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。
レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。
玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!?
成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに!
故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。
この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。
持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。
主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。
期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。
その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。
仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!?
美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。
この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる