書道が『神級』に昇格!?女神の失敗で異世界転移して竜皇女と商売してたら勇者!聖女!魔王!「次々と現れるので対応してたら世界を救ってました」

銀塊 メウ

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第九章 邪神降臨

第286話 絶望

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◆セレーナの視点

『荒天爆発………シャイニングバーン』

 天が光り一瞬で目の前が真っ白に光り何も見えなくなる。光が徐々に消え前が見えるようになると、モニカ(ゾール)の身体から湯気が上がり動きを止めていた。

 良し!効果はあったわ。


「へー……これは流石に結界では防げないのか~、強力な光だ。これは物理攻撃としてではなく。精神攻撃、モニカの中に居るボクへの攻撃ってことか、結構効いたよ!セレーナ」

 モニカ(ゾール)湯気を上げながら動き出す。

「結構ですか、良かったですけど、足りませんね!今度は直接叩き込む!」

 私は上空に飛び上がり、モニカ(ゾール)の真上移動すると、スキルを発動した。

『グラビティ………インパクト』

 自分の周辺を過重力空間にし、真下に急加速で落下し、何十倍に重くなった拳を振り下ろす。

『重層強化結界(じゅうそうきょうかけっかい)』

 モニカ(ゾール)は真上に複数の強固な結界を張り、セレーナの攻撃を受け止めた。

 ズシーンっと重い衝撃と音が波動となって広がり、その一撃で結界の八割を破壊する。

「まだまだよ!グラビティインパクト』」
 私は拳を結界に当てたまま更に重力を高める。

 ビキッ…バリン!
 ビキッ…バリン!
 ビキッ…バリン!
 ビキッ…バリン!…………

「どうします?あと一枚よ!」
 私は結界の上に立ち拳を振り上げる。

「セレーナは意地悪だな~!早く僕を潰してよ~……出来るならね!」
 モニカ(ゾール)はニッコリと場違いな笑顔で返す。私の神経を逆撫でしようとしているのは分かっています。だからそれには乗らない。

『グラビティインパクト』
 拳に過重力を集中し結界を殴る。

 結界はあっさりと割れ、私の手はモニカ(ゾール)に触れようと手を伸ばす。

 ガシッと手首を掴まれた。

「簡単には触れさせないよ」

「そうですか、それで防いだつもり?」

 私は腕のグラビティを強め、徐々に掴まれた腕が下がって行き、手のひらがモニカ(ゾール)に触れる。

『グラビティロック』

「うわ!?うわわわ、わぁ~」
 モニカ(ゾール)はふらつき尻もちをついて倒れる。

 モニカ(ゾール)の両腕、両足、そして腹部に黒いリングがつけられ、それらを起点に加重力を発生させていた。

「これはマズイかな~ぜんぜん身体が動かないよ~」
 悲しそうに嘆くモニカ(ゾール)。しかし私には分かった。これは演技だと。きっと私の反応を楽しんでいるのだろう。

「ん?……どうしたのセレーナ~、ぼーっとしちゃってさ~。何か言ってほしいんだけど」

「ゾール、あなたと話すことはありません。それではさようなら」

 私はモニカ(ゾール)の胸に手を置いた。
 私は心の中で「ごめんなさい」と呟き、スキルグラビティでモニカ(ゾール)の身体に加重力をかける。


「う~ん。重いよセレーナ。もう少し手加減してほしいな~」

 !?……なんで、私のスキルが効いていない。

「イヒヒ、なんだかんだ言って覚悟が足らないんだよセレーナは、ま~それが愛おしくもあるんだけどさ!」

 モニカ(ゾール)は上体を起こし私の首を掴み、ギリギリと絞め始めた。

「ねぇ~苦しい?苦しいのかな~。教えてよセレーナ~」

 その目は禍々しく淀んでおり、すべてを飲み込もうとしていた。
 
 この!イカれ野郎が!私は激昂する。

 首を絞められていることなどお構い無しに、右腕を振り上げ拳を叩き込む。

 拳が衝突し衝撃波が広がる。

「………………くっ」
 私の顔が険しいものに変わる。


「セレーナ~、冷静さに欠けてるよ~。忘れないでよ~。モニカのスキルは結界、そんな単調な攻撃じゃ~簡単に防いじゃう。同様して隙だらけだよ~」

 私の腹部に結界で作ったブロックが衝突、私は高く突き上げられた。

「ゴハッ……」………くっ………体勢を取らないと……

「セレーナ~行くよ~、ちゃんと避けてねぇ~」
 ダルそうにしながらモニカ(ゾール)は結界の形状を弓矢にして飛ばす。

 このままだと……串刺しかしら……

 飛んでくる弓矢型の結界をグラビティで落として防ぐ。
 私は落下しながら回復魔法で腹部を治療、地面に足を着き、そのままダッシュでモニカ(ゾール)に接近する。

『グラビティショット』
 放たれたのは黒い玉。当たれば数十倍の重力がかかり、自らの重さに耐えられず潰れてしまう。

 モニカ(ゾール)はそれを的確に見定め、強力な結界で包み圧縮、それを消した。


 モニカと初めてまともに戦ったけど結界スキルと私のグラビティスキルは相性が良くない。ここまで防がれるなんて……でも押し切れる。時間の問題のはず、私のスキルもそうだけどモニカのスキルも魔力の消費が大きい。いずれ魔力が尽きる。そうなれば今ひかけている教皇が倒してくれる。だから私は魔力が続く限り攻撃あるのみ。

 拳に魔力を集中、スキルを発動し、拳に直径三十センチほどの黒い玉が出来る。

『グラビティショットガン』

 拳を突き出し黒い玉を飛ばすと、それは破裂して分散、過重力玉が複数になってモニカ(ゾール)に飛んで行った。

 モニカ(ゾール)はさっきと同じように結界で包んで消すが、いくつかを取りこぼしてしまう。

 間に合わない玉を横っ飛びで躱し移動、しかしその先にはセレーナが待ち構えていた。

「わぁ!?」……小さく声が漏れる。

 セレーナは聖なる力を拳に込めてモニカ(ゾール)を殴る。殴った感触から結界では防げず、腹部側面に当たったことが分かった。

 これはチャンスだと思った。
 魔力が尽きる前に攻めきれるかもしれない。
 
 でも、その時、ほんの…ほんの少し躊躇いを感じ。
 拳の動きが緩やかになる。
 
 これから私はモニカを仲間を…大切な人を殴る。

 覚悟をしなければならない。巨悪を滅ぼすために……

 私の両腕が光り輝く。
 聖なる光でゾール、あなたを浄化する。

 私は心を鬼にしてモニカを殴った。
 殴って…殴って…殴り続けた。

 殴るたびに不快な感触が伝わってくる。
 骨が折れ、皮膚が裂け、顔が腫れていく。

 とても聖女がやることではない。
 人を癒すどころか人を破壊している。
 
 なんて…なんて…酷いことをしているの。
 私は涙を流しながら殴っていた。

 
「もういいよ。セレーナ」
 遠くから声が聞こえた。実際は直ぐ側からだったのに、私の意識はどこか遠くの彼方に飛んでいたのかもしれない。

 気がつくとモニカ(ゾール)はボロボロになって地面に倒れていた。そして腕を止めるように抱き着く教皇、あの声はあなたでしたか。

「もういいんだ。セレーナ……君は良くやった。これ以上闘わなくていい」

 教皇の必死な声、あー……やっと…やっと、拳が下ろせるのね。もう、殴らなくていいのね。


 私は………涙が止まらなくなった。
 教皇は慰めるように抱き着き、セレーナはそれに応えるように膝をついて教皇を抱き締めた。



「よくやった。セレーナは本当によくやったよ。

 君ほどボクをトキメかせた者はいない   」


 な…に…を言っているの?



「純粋で清き魂が傀儡のように踊る。

 そして知るんだ。

 君がやって来たことが、すべて間違っていた事を」


 教皇?……私は顔を上げる。その顔は……


「何度も会っているのに、こんなことを言うのはおかしいけど、初めまして……ボクの名前はゾール、君が大好きで愛おしく、そして君が憎むべき者だよ」

 その顔は醜悪に歪み、混沌としていた。
 私は理解出来なかった。
 教皇が……大司教ゾールだと。
 
 だから見えていたのに躱せなかった。
 胸に突き刺さる短剣を、私は絶望の中地面に倒れる。
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