66 / 359
第65話 ジャクソン村の石化事件
しおりを挟む「何でこんなところに居られるのですか?
神父さま、アポロン……」
雑木林から飛び出て来たのは神父さまとアポロン親子だった。
「おや?奇遇ですね、こんなところで会えるとは、これも運命でしょうか、もしかしたらイリス様のお導きかもしれませんね」
「何言ってるんだよ親父、そんな冗談を言ってる場合か!急ぐんだろ」
「ま~待ちなさい。そろそろ休憩を入れても良いでしょう。それに何やら嗅いだことのない美味しそうな匂いがしました」
クンクンっと周りの匂いを嗅ぐ神父さま、鍋はすでに空なのに良くわかったな。
「神父さまも食べますか、さっき食べたばかりなんですけど、先生達が食べ足りないと言うのでまた作ろうと思っていたのです」
「それは助かります。それでは遠慮なく頂きましょう」
「親父…それで良いのかよ!」
すでに腰を落ろし食事をする体勢に入った神父さまに対してアポロンはイマイチ納得出来ていないが、渋々腰を下ろした。
「これは美味い!」
「何だこりゃ?こんなの初めてだ……うまい」
神父さま達の口にもあったみたいだな。良かった。
そしてその後ろで一心不乱に食べる二人の食いしん坊
もいたことをお伝えしよう……
「あの~神父さま達はどこかに行かれるのですか?」
さっきまで随分と慌てていたようだけど何かあったのかな?
神父さまは口いっぱいにカレーを頬張って喋れない。仕方なくアポロンが話をする。
「ま~な、この先のジャクソン村で病人が結構出たみたいで、結構ヤバそうだから親父が呼ばれて来たわけよ」
「そうなんだ、それは大変だ……」
イリスが言ってた件か……神父さまが来てくれたのは心強い。もしかしたら薬は要らなかったか?でも患者がどれだけいるか分からないし俺も一応このまま村には行った方が良いか。
神父さまはカレーを食べ終わり水を飲んで一息つく。
「タクトくん、このカレーと言う物、とても美味しかったよ。ご馳走になってなんだが私達は先を急ぎます。またの機会に礼をさせて下さい」
「良いですよ神父さま、いつもお世話になっていますから、それよりも患者さんが待っているなら早く行って上げてください」
「あ~ありがとうタクトくん、それでは行くかアポロン」
「やっと行くか親父」
「よく言うな~アポロン、カレー三杯食べておいて」
「親父は五杯だけどな!」
二人は言い合いをしながら走って行った。
神父さま達ってまさかずっとあんな感じで走ってきたのか?
そう言えば思い出したけど、神父さまって体育会系の人だったわ。アポロンも大変だな。
「さてと、俺達も明日起きたら早めにジャクソン村に向かうか」
俺は飯の片付けをして早々に就寝した。
……………▽
俺はいつもより早く起き、朝が弱い先生を地面から引き抜くとポッケに入れてジャクソン村へ向かう。
ジャクソン村に向かう道は魔物が少なかったのでスムーズに進むことが出来たが、途中で先生とニキがお腹を空かしワーワー言い始めた。朝食を作る時間が惜しい俺としては簡単に済ませたい。どうしようと考えたすえタブレットでクッキーを購入し二人に渡すのだが、普通に渡しても面白くないな~とふと思い。ポイッと前に投げると見事にニキが口でキャッチする。面白いかも!
「クッキーだ~取ってこ~い!」
クッキーがビューっと勢いよく飛んでいく。さっきと違いかなり遠い、それを二人の食いしん坊が競り合いながら飛びつきクッキーを狙う。
本当はここまでするつもりはなかったのだが、最初はほのぼのとフリスピーで遊ぶ犬のつもりでやったのに、そこに先生が乱入しニキのクッキーを食べてしまった。ニッシシと笑う先生、それに腹を立てたニキが勝負を申し込み、今に至る。
「平和的にやってほしんだけどな~」
俺は軽くぼやきながら投げる。
そして、そうこうしている間にジャクソン村に到着~。
「なんじゃ?もう着いたのか?」
「もっと遊びたかったのだ!」
えー君たちいつの間にか楽しんでたの~
全然そんなふうに見えないんだけど!
楽しかったらもう少し和やかにやってほしいものだ、ま~ケンカするよりいっか。
俺達は村に入るとあまり人の気配がしない。シーンッと静まりかえっている。村自体はそれ程広くはないのに、歩いている人をまだ一人も見ていない。これはどう考えても異常だ。これは想像より被害が出ている可能性がある。
「急ごう、なんか嫌な予感がする。少し先に他の建物に比べて大きな建物がある。まずはそこに行こう」
俺は小走りでその建物に向かう。
近くまで行くと建物から人の声が聴こえた。
「それ以上近づくな!アポロン離れるんだ!」
鬼気迫る神父さまの声、中で何か大変なことが起きている。俺は慌てて扉を開き中に入ると、中にはたくさんの人が倒れ、石化によって動けなくなっている。イリスの言う通りだ!この村の人達は石化していた。
「タクトくん君も逃げなさい!ここは危ない」
大声をあげる神父さまの足はすでに石化し動けなくなっていた。
「神父さま、アポロン、何があったんだ!」
俺は警戒して近づかずに質問をする。
神父さまは一度呼吸を整え冷静になり状況を説明してくれた。
「良いか落ち着いて聞いて欲しい。この村の住民は全員石化の呪いを受けている。しかも並の呪いではない。私の神聖魔法では解くことが出来ません。それどころか触れるとたちどころに呪いを受けてしまう。決して私や村人に触れてはいけません」
「でもよ!親父どうするんだよ!このままじゃ親父達は石になっちまうぞ!」
アポロンはいつになく焦っていた。たぶん神父さまがあんなことになったのは初めてなんだろう。まずは落ち着かせないと。
「アポロン落ち着いて、まずは冷静になろう。助ける方法は必ずある」
続いて神父さまも声をかける。
「そうだアポロン落ち着け、すぐにどうこうなることはない。かかった当初こそ石化の進行は速かったが、それ以降は石化が進んでいるようには見えない。村人も全身石化した者がいないことから、まだ時間の猶予はある」
「分かったよ!それでこの後どうするんだ!」
アポロンは少しは冷静になれたのか、さっきまでの自分の行動を思い出し照れて横を向く。
「そうだな……この呪いには覚えがあります。もしもあいつなら私より呪い専門家か司教様より上の方を呼ぶしかあるまい。………アポロン…頼めるか」
「当たり前だ親父、そんなこと聞くんじゃね~。すぐに呼んでくるから、それまで石像になるんじゃねいぞ!」
神父さまとアポロンが感動的な親子愛を感じさせるシーンを行っている。どうしよう。薬を出すタイミングを見逃した。
「待ってろー行ってくるぜ!」
「わーちょっと待って!アポロンストップストーップ」
俺は慌てて飛びつきアポロンを止める。
「おい!タクト、邪魔すんな!」
「う~痛い、何も殴らなくても……」
アポロンはまた自分を見失っていた。
無理やり止めたら拳骨をされた。
「ま~あと数分待ってよ~効くか試すから」
俺は懐からイリスに渡された薬を取り出すと神父さまの足に薬をかける。
「タクトくん、その薬は……」
神父さまはそれを見て目を見開く。
キラキラと光るその薬は神父さまの足にかかり一瞬にして元に戻した。
「親父!?足が足が治ったのか!?」
「あ~アポロン、完全に治った!それどころか身体に力が漲るぞ!」
神父さまは力こぶを作り元気一杯になっていることをアピールする。流石は肉体は神父!
「あ!?マジで効いたぞこの薬、イリススゲ~な~、こんな薬持ってるなんて……」
俺は薬と神父さまの足を交互に見て驚いた。
24
あなたにおすすめの小説
無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~
ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。
玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。
「きゅう、痩せたか?それに元気もない」
ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。
だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。
「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」
この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件
さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ!
食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。
侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。
「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」
気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。
いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。
料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる