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第152話 セドリック邸 入城
しおりを挟む俺はバロンさんに頼まれマルクトへ向う。
今回一緒に連れて行くのはバロンさん一家のみ、神父さま達はイリスに言われて未だに教会の改築中、イグニスはラブラブ、先生は芸術の創作、ジェーさんは修行、ニキは珍しくやることがあるとのことで来なかった。それと父さんと母さんに関しては俺が止めた!最初は行くと言って聞かなかったけど、それを無理矢理俺は止めた。二人はしばらく休むべきだ。あとで話を聞いて俺は驚いた!二人はこの数日ほぼ不眠不休で動き続けて情報を集めてくれていた。この二人から言わせれば大したことはないと言うが息子の俺としては心配でしかない。そんなのは俺が許さん!俺が珍しく強めに言ったことに効果があったようで、今回はしぶしぶ言うことを聞いてくれた。
「タクトくんは二人に本当に愛されているね」
「本当に有り難いことですよ。こっちが心配になります」
バロンさんは父さんと母さんがどれほど俺のことを気にかけているのかを教えてくれた。だだそれと同じくらい苦労もすると思うけど一緒に頑張ろうとも言われた。詳しくは聞かなかったけど俺の件で母さんが暴走することが結構合ったらしくバロンさんも………大変だったようだ。
マルクトに到着すると屋敷にそのまま向うのかと思ったらそうではなかった。
「お!?お前!タクトじゃないかよ!」
「あ!タンクさん久しぶり~」
そこには幼馴染のタンクさんが居た。
バロンさんはマルクトに移住した町の人達に会いに来たのだ。
「お~あれからお前達がどうなったか心配だったけどよ~、その様子だと大丈夫そうだな」
「うん、ありがとう。ボクもノルンも元気にしていたよ。タクトさんも前より一回り大きくなって冒険者ぽくなったね」
あれからそれ程経っていないけど、かなり鍛えたのか筋肉がついて大きく見える。それに防具を付けて今からギルドで依頼を受けて魔物を狩りに行くようだ。
「もちろんだぜ!ししょ~直伝の修行法を実践してるからよ!筋肉がついてしかたねぇ~ぜ!」
「そっか、それは良かった」
タンクさんもそうだけど、声をかけた住民達はどの人達も悲壮感を持っているようには見えない。てっきり町がなくなって気持ちを落としている人達がいると思っていたけど、もしかしたらローラン閣下が色々と裏で手を回してくれているのかもしれない。
これはお礼も兼ねて挨拶に行かないと行けないとセドリックの屋敷へと向かった。
「さっきから何を考えているの?」
タブレットを見ながら思案しているとノルンが覗き込んで来た。
「う~ん、色々と町の人がお世話になっているみたいだったからさ、おみあげに何か良いものはないかと思って」
「あぁ、そう言うこと!そうね確かにそれは重要よ!私も一緒に考えるから見してよ!」
「あ~ちょっとノルン取らないでよ!今考えているんだから~」
タブレットをノルンに取られ追いかける。
「二人共そのくらいにしなさい!焼きますよ!」
笑顔は素敵なのに恐ろしく感じるのは何故だろう。俺とノルンは直ぐさま停止、スカーレットさんに頭を下げに行く。
「ま~そうそのくらいで許してあげよう。二人は二人なりに考えてくれている。あまり強く言うのは可哀想だよ」
「あら?あなたも焼かれたいのかしら」
「え!?それはちょっと~」
流石のバロンさんもスカーレットさんの前ではたじたじだ。ま~それは昔からなんだけど!その姿を見た俺とノルンは笑ってしまい。さらにスカーレットさんから鋭い視線を向けられた。
「ヤバいぞ!ノルン……逃げるか!」
「バカ言うんじゃないわよ!逃げたらもっと酷い目にあうわよ!」
「流石だな~経験者は語るだな!じゃ~合わせるぞ!」
「了解!」
「「すいませんでした」」
俺とノルンは頭を下げ、許しを請う。
「うーんどうしょうかしら~」
固唾を呑む俺達………
「うん!やっぱりダメね!」
美しい笑顔で突き落とされた。
「キャーー」
ノルンは叫ぶ……マジヤバなのだろう。
「そうね~例のワインで手打ちにしてあげる」
例の………あれか!?
「はは~お納め下さい」
ちょっと前にスカーレットさんだけに特別に渡した高級ワイン……どうやら相当気に入ったようだ。それを見たスカーレットさんの笑顔がさっきとは全然違う。
上手くスカーレットさんのご機嫌は取れたし改めてお見上げの品を考えないと。
「さてどうするか?異世界としては変わり種のまんじゅうでも出してみようか」
「それはダメよ!ケーキ一択、それもチーズケーキね!」
後ろから声が聞こえて振り返ると白銀の騎士がこっちに歩いて来た。この人って……
「ルナさん?どうしてここに」
「久しぶりだねタクトくん、ここは私の家よ。私が居てもおかしくないわ」
それはま~そうなんだけど、ルナさんは聖女の護衛を務めていたはずだけど。
「聖女様とアイリスは無事に送り届けている。心配しなくて良い。私は少々不穏な情報を聞いたので急ぎ戻ったところだよ」
そうか、ルナさんにも、恐らく俺達と内容は一緒だろう。ある意味良いタイミングではあるんだけど。何故かノルンからの視線が痛い。
「ルナお姉様、お久しぶりで御座います」
「ノルンか見違えたぞ!スカーレット様の様に美しく、バロン様の様に強い剣士になっている様だな」
「いえまだまだで御座います。私もルナお姉様のような剣士に慣れるよう精進して参ります」
「うむ!それで良い!励めよノルン」
あれー?ノルンとルナさんは知り合いだったのか、そう言えば貴族同士だからパーティーかなんかで会ったことくらいあるわな!それにしてもノルンの態度、あれはもしかしてルナさんをリスペクトしているのかも、いつもより大分丁寧な対応だ。
ノルンとの話を終えたルナはスススっと傍にやって来る。
「それでケーキは頂けるのかしら」
ルナさんは最初に会った時に比べて俺に対して柔らかい対応をしてくれる様になったものだ。これもケーキの魅力のおかげか。
「もちろん、ご要望とあればホールでケーキ、用意しますよ!」
「やった!また食べられる」
鎧姿で胸の前にちょこんと持って来て軽く跳ねるルナさんは前より大分幼く見え、それでとても可愛くも見えた。
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