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第163話 死の商人をタコ殴り
しおりを挟む◆死の商人の視点
なんと面倒な少年だ。ここまで厄介な敵は過去にもおらん。
それにしても少年は突然動きを止め、何かを考えているようだ。油断ならん相手、こちらも無闇に仕掛けることはしない。
ワシのスキル『消えいる者』の力で実体をこの世界から消すことが出来る。あまり長く消すと存在自体が消えてしまう恐ろしいスキルではあるが、その力は大鎌(デスサイズ)の即死能力と合わせて使うことで絶大な戦闘力を誇ったが、この少年を相手にするには効果がない。ならばもう一つの奥の手を使おう。
「少年よ!ワシはお前さんを敵と認めた。今度こそ死へと誘おう!」
ワシは杖を構え呪文を唱える。
ワシが行うのは悪魔召喚、悪魔はこちらの世界に存在するためには肉体を求める。しかし一時的であれば魔力を糧に実体で召喚が出来る。ワシが喚ぶのは赤き紅蓮の悪魔『レッドデビル』来るがよい!
巨大な火柱が上がり、その炎から真っ赤な肌にイレズミの様な模様の呪文が描かれた3メートル程の巨人の悪魔が現れる。
ふふっこの悪魔はパワー、スピード、そして強力な魔法も扱う戦闘力の高い悪魔よ!お前にコイツを倒せるかな!
「お前の獲物はアイツだ!焼き殺せ」
ワシは杖を少年に向けて殺す様に指示を出す。
少年は武器を持ち替えた。両手にそれぞれ筒の形をした物を持っている。長さに違いがあるが、何かさっぱり分からん。
「ウォォォーー」
突然激しい光とレッドデビルの叫び声が聞こえた。
「この光……まさか!?」
その光からは特別な力を感じる。そしてその光を浴びたレッドデビルの身体から煙が上がっていた。
「いかん!レッドデビルが浄化されておる!」
このままではレッドデビルが消されてしまう。ワシはこの場に維持させる為に、杖をレッドデビルに向けて魔力を送ろうとした。
しかし何者かに邪魔をされる。
「なんじゃ!?」
杖を持っている腕を掴まれ強く引っ張られる。
何者かは知らんがワシは見た目と違い怪力なのだ。その程度の力で止めようなど、しかし引っ張る力は予想以上に強い!あり得ん!?このワシと互角の力だと!
そして腕を見てワシは衝撃を受ける。
何だこれは!?一体何人居る!?
ワシの腕には数十本の腕がワラワラと伸び纏わりついていた!?
「ひゃぁあ~~」
ワシは今まで出したことのない声を出し叫んだ!
う、腕の先にギラギラとワシを睨見つける者達が見える!?こ、こいつらはまさか、ワシが殺した者達なのか……
「呪いは連載するだったか?あ~あと死は廻るだけ、…………それはもちろんお前も対象になるよだよな!死の商人、違うとは言わせねぇ~、お前がやって来た事の責任をしっかりと取って貰う。
さ~て皆さん!恨み!つらみ!を
……しっかりと返しましょう!」
「おおおおおお!!」
「うおおおおお!!」
「うわああああ!!」
大勢の亡者が叫びそして狂うように腕を振り!足を振り!締め上げ!噛みつき!つぶした!
ワシは声を出すことも出来ず、ただただそれを受け入れることしか出来なかった。
時間にしてどのくらいのことだったのか?ワシの心は簡単に折れておった。早く死にたいと心の中で叫んでおった。そしてその時が来る。
「俺達の恨みを受けろ!クソ野郎が!」
どこからか聴こえた。
ワシは何十人も人間に一斉に殴られ死んだ。
真っ赤な血が広がり、すでに原型をとどめていない姿となったワシをニタニタと悪う亡者共、怖い!怖い!怖い!早くあの世に行かせてくれ~
ガシッ!?…腕!…足!…腹!…胸!…頭!
「おいおい、死んだら終わりとかないからさ~」
へぇ…へぇ…へぇ~たしゅけてぇ~!
死んでなお、ワシは許されないようだ………
…………▽
バロンの視点
惨い……惨過ぎる。
死の商人はボロ雑巾の様にズタボロになっていた。しかしそれも当然か、コイツのせいでどれだけの人間が苦しみそして死んで行ったことか、それを考えれば……仕方ないこと。
「タクトくん、あれは一体なんなのだ」
突然現れた大勢者達はどこから現れた?
「あれはですね。どうやら死の商人に殺された亡霊の皆さんみたいです。かなり恨んでいるみたいだったので協力して頂きました」
「私は幽霊について詳しくないので分からないが、幽霊とは見えるものなのか?それに死の商人を殴ったり蹴ったりと実体があるようだが……」
「そうですね。普通は見えないし触れられない。でも幽霊が実体化する方法があるんですよ。ボクはその条件を満たしただけです」
「条件?分からないがそんな方法があるのか?タクトくんは博識だね」
流石はタクトくん私も色々な文献を読んではいるが、そんな事は初めて知ったよ。
「いや~そうじゃないんですよ!実は教えて貰いました。あちらの亡霊の方に」
タクトの視線の先に頭に手を置き軽くお辞儀するおじさんの亡霊が居た。
「幽霊が実体化する条件は二つあります!
一つ目は強い意志とか想いを持つこと!
二つ目は一定以上の魔力、どのくらいと言うと難しいので今回は実体化するまでやってやりました」
「一つ目は分かる。彼らは死の商人に殺されたのなら、強い恨みを持っているはず、だから条件に一致該当するが、魔力はどうなのだ?タクトくんの言い方からすると魔力を彼ら亡霊に渡した様に聞こえたけど、そんな様子は一切なかったはず」
私はタクトくんの動きを見ていたが、死の商人と亡霊の皆さんには近づいていない。それでは魔力を渡すことは出来なかったはず!
「バロンさんでも分からなかったのなら、ボクは良く頑張ったみたいですね。実はやっていた事は単純なんですよ!説明します」
タクトくんは鉄の筒を取り出す。
「この配管はボクのスキルの一つなんですけど、能力は穴を通して遠方とのやり取りが出来ます!この道具を使って亡霊の皆さんに魔力を渡しました」
「それは具体的にどうやってやったんだい」
タクトくんは私の疑問に実践して答えてくれた。
まず配管の穴に手を入れ、そこに繋がる先を亡霊の皆さんのところにする。あとは手から魔力を皆さんに流し込むことで、一定の魔力を確保し条件が整う訳です!
「それで後は皆さんにお任せして死の商人はタコ殴りになったという事です」
「そ、そうなのか……」
私は死の商人を見る。
内容は分かったが…… なんと恐ろしい。
恨みを買うということはこう言うことなのか、
そして死の商人は死んでしまった。
「ちょっと皆さん!そいつ捕まえて~」
タクトが亡霊達に声をかけると、全員がガサガサと動き回り何かを捕まえていた。
「皆さんご協力ありがとう御座います!」
タクトがお礼を言うと亡霊達は一人の男を蹴り飛ばし地面に倒れる。
「な!?これは……」
私はあまりのことに驚く。
そこには半透明になっている死の商人が居た。
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