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第185話 第三師団団長と大司教
しおりを挟む「あ!……タクトここに居たんのですか」
こちらに手を振りやってきたのはルナ。
「ここに居たのか!と言うか居なくなったのはルナだろ。昨日のうちに帰って来るかと思ってたのにアイリスの件がそんなに時間がかかったのか?」
「タクトの言う通りだ。遅くなりすまない」
ルナが項垂れて反省する。
「別にそんな顔しなくて良いよ。それよりアイリスはどうなったんだ?」
「あの頑固者のせいでずいぶんと手間取ったが、アイリスをなんとか自室に移動させた。今は聖女様から言われた宿題をしている」
異世界でも宿題あるんだ。アイリス……ガンバ!
「それにしてもルナ、えらくイライラしてないか?アイリスがルナを怒らせるとは思えないから他になんかあったんだよな。話を聞こうか?少しは楽になるかもしれないし」
「ううっ……そうですか、実はアイリスがほ~んの少し皆さんに粗相をしまして……」
あ~透明化してやったイタズラの件ね。
「それでラキに捕まってお仕置き部屋に軟禁、おのれ…私のカワイイアイリスになってことを!」
ルナは思い出しプルプルと拳をさせて怒る。
「ま~ま~落ち着いてルナ、そのラキって誰なの?」
「ラキはアイリスと同じく聖女候補の一人で、私が聖騎士団入った時の同期でもある。恥ずかしながらラキとは昔から良く衝突することが多くて今回も少々派手にやってしまい聖女様に仲裁され止められた。どうにもラキとは合わないあ~腹が立つ」
「なるほど、そのラキって人と喧嘩してイライラしていた訳か」
「まー……そう言うこと、それで聖女様から話は聞いたけど私も行くは」
「それは助かる。ラムラには一度入ってはいるけど知ってる人が居た方が良いからな。それじゃいつ出発する。早ければ早い方が良いんだろう?」
「それはもちろんなんだけど、ちょっと準備がいるから待ってて、一度戻ってアーチ達に話をしてくるから、また後で連絡する。それじゃ~」
ルナと別れ、それから連絡が来ると言うことだったので無闇に動くのは良くないと思い、俺は自室に戻ることにした。
ちなみにアポロンは大聖堂にお祈りに、イグニスは飯食ってから寝ると言って自室に戻って行った。
「あれ?タクトくんじゃない。元気してた?」
「レアリーさんお久しぶりです!何やってるんですか?」
「あ~……つまらない仕事よ」
なぜかレアリーさんの反応があまり良くない。
レアリーさん意外にも何人かの聖騎士団が恰幅のあるやけに偉そうなオッサンを護衛していた。
「誰です?あの人」
「ゼーラント大司教、また聖魂を取りに来たのよ」
「聖魂?何ですかそれ」
「あ~………う~ん、ごめんねタクトくん、あんまり詳しくは話せなくって、簡単に言うと大司教様達には聖女様から特別に力を賜るのよ。それって使うともちろん消費される代物でね。定期的に補充しないといけないんだけど、あのゼーラント大司教は頻繁に来るのよ!他に大司教様はだいたい半年に一回くらいなのにゼーラント大司教は月に一回、ここ最近はもっとよ!一体何に使っているのやら、あ!この話はここだけにしておいてね」
聖魂が何なのかはサッパリ分からないけど、レアリーさんの話だと部外者には話せない特別な力、それとレアリーさんの言い方からゼーラント大司教が何に使ってるのか良くわからない胡散臭いオッサンだと言うことが分かった。
「ふ~ん……確かに大司教様と言われる人にしてはあまり印象の良くない見た目だ。それにしてもここって教会が作った町ですよ。こんなに護衛をつける必要があるんですか?」
周りは信者の人達がほとんど、大司教様なら尊敬されて大人気のはず、襲われる様なことはないと思うけど。
「今月に入って3回、ゼーラント大司教が襲われたのは、その全てが一般市民からよ。その時も護衛をつけていたから難なく襲撃は防げたけど、こう何回も起これば私達騎士団としては護衛を強化せざるおえないのよ」
一般市民から襲われる?しかも3回も、なんか恨まれる様なことでもしたんじゃないのか。いや、それよりもおかしいのは大司教ともなれば何にかは護衛をつけている。そんな相手に一般市民が襲撃…無謀にも程がある。冷静でいたらそんなことはしない。それでも我慢が出来ない程の恨みってことなのか?それが立て続けに3回も……聞いていたらますます胡散臭いオッサンだな。
「何をやっているレアリーしっかりと仕事しろよ」
空から青髪のツンツン頭の男が一人降りて来た。
「分かってるはヒューム団長」
「なんか不満そうだな!まったく…ルナの野郎がしっかりと指導しないからいけないんだ!」
「ルナ団長は関係ない、ルナ団長に無理やり因縁をつけないで下さいよ!ヒューム団長、あなたこそこんなところで油を売っていたらゼーラント大司教に怒られますよ。さっさとお行きなさいな!シッシッ」
「まったく持って躾がなっていない。これはルナに言っておかないとな!」
ヒューム団長とやらはキッと睨みつけてからゼーラント大司教の下へと戻って行った。
「今のなんです?わざわざあれを言いたくて来たんですか?」
俺はやや呆れながらレアリーさんに聞いた。
「さっきのは第三師団の団長のヒューム・トリガー、あんまりルナとの関係が良くなくって大したことのないことでいちいちルナに言ってくるのよ!でも噂だとルナに交際を求めたらしいけど、それをルナがバッサリと断ったのが理由じゃないかって周りは言っているわ。ルナに聞いた人がいたらしいけどあの子そう言うの言わないから、本当のところは良く分かってない」
「ふ~ん……なんかソイツはソイツで面倒そう。あまり関わらない様にしないとな」
「まーそうね!それでワタシ~気になってることがあるんだけどな~、ルナが戻ってから少しおかしいんだよね~、いつも注意する側のルナがボーっとしている時があってさ、何よりアイリス以外にやけにタクトくんの名前が出るんだけど!……………何かあったでしょ!お姉さんに白状しなさい!」
レアリーさんがグイグイと迫ってくる。
俺としては言っても良いけど、ルナが黙っていたい可能性がある。俺は適当に誤魔化して黙っておくことにした。
レアリーさんと別れた後、自室に戻るとルナではなく別の者が居た。
まったくまたやったな!
はぁ~どうやって叱るべきか。
可愛くスヤスヤとしたアイリスの寝顔を見ていたら、たぶん叱れない自分がいることに気が付き、俺は指導者に向かない人間だとつくづく思った。
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