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第198話 俺とお前じゃ相容れない
しおりを挟む◆勇者イグニスの視点
右に二人、左に三人……おっと後ろにも居るな。
迫り来るネロ、しかも六人、
水魔法で作った分身体の同時攻撃が迫る。
「…………見えた!……『レッドライン』」
凄まじい速さと力の一閃でネロ達を斬り裂き、後ろにいたネロに剣が向かう。
良く見えていやがる。
剣がいなされた。
俺は剣を振りきり胸元に隙が出来る。
ネロはその隙を狙い掌底をくり出した。
『ウォーターインパクト』
ズシンと重い衝撃が胸から心臓へと伝わる。
「ぶはぁ!………」
俺は後ろに飛ばされるもなんとか耐える。
だかダメージは大きい、口から血を流し溜まってた血を吐き出した。
「今のはなかなか効いたぜ!」
ニヤリと笑う。
「あまりその笑い方は好きではありません。止めて頂きましょう」
ネロは人差し指をイグニスに向けると指先が青く光る。
『ブルーレーザー』
ネロの指先から青い光が見えた瞬間、腹部に激痛が走る。
「そろそろ倒れたらどうです?僕としてはあなたがいつ寝ていただいても構いませんよ」
「ほざけ青二才が!そんな攻撃いたかねぇやい!」
ま~実際はかなり痛いが、こんなの慣れてるんだよ!
俺は剣を上段に構えて振り下ろす。
「何度やっても無駄だよ。あなたの技は力に頼り過ぎている」
ネロは剣の刃に水を纏い流すことで、どんな武器の攻撃も受け流す。
「うっせぇ!力技を舐めんなよ!」
イグニスの剣は右横に流され、またしても隙が出来たように見えた!が!イグニスは自ら流されていた。その勢いも利用し回転する。
「隙あり!」
イグニスの右足に炎を纏いネロの右腹部に回し蹴りを喰らわす!
「かはぁ!」
見事に回し蹴りが当たりネロの体勢が崩れる。
『ファイアブロー』
炎を両腕を纏い腹部にまず一発入れてから、連打連打連打、ネロに攻撃が次々と当たる。
「う……うがぁー!舐めんな!」
ネロは激怒、拳を振り上げ殴りかかってくる。
「お~!いい顔になったな、だがそんなへっぴり腰のパンチなんて当たらんよ!」
イグニスの拳がカウンターでネロの顔面に刺さり、鼻血を出して吹き飛び倒れる。
「どうせまだなんだろ、早く立てよ!」
ネロは顔を押さえて立ち上がる。
少しして顔から手を離すとすでに顔には怪我なく治っていた。
「おっと失礼、取り乱しました。あなたの様な野蛮人と関わると乱されますね」
ネロは髪を弄りながらスカした顔をしている。
「はいはい、野蛮人でわる~御座いました!全く面倒なもん作りやがって、どんなけボコれば終わるんだ?」
「あまり調子に乗らないで下さい偽物が!」
ネロは眉間をピクピクさせて怒りに耐える。
意外に短気なんだよコイツは。
「はぁ~偽物か……俺が知ってる勇者からすればむしろお前の方が偽物なんだけどな」
「キサマ!僕を愚弄するつもりかぁ!」
ネロは今度は一切我慢せず斬り掛かって来た。俺はそれを剣で受け止める。
「ネロ…別にお前に意見を押し付けようとは思わないが、俺の知ってる勇者とお前とでは大違いだよ!俺の知ってる勇者は民のために動いていた。それは俺がしたいからしてるだけだってな!カッコいいと思った!こんな人になりたいと思った!ネロ、お前は女神の為に動いてるんだろ。俺とお前じゃ相容れないわな!考えがこんだけ違うんだからよ!だから許せねぇんだよ!民を蔑ろにしたお前の計画がよ!」
イグニスの身体から赤い闘気が沸々とあがる。
「俺は俺の道を歩く、お前は勝手にしてろ。だかお前が立ち塞がるなら、勇者だのなんだの関係ない!ぶっ飛ばしてやる!」
『アグニ』
イグニスの赤い闘気がみるみる収まっていく。
闘気は消えたのでなくイグニスの身体に入れ墨の様に黒い模様として残った。
「良いだろう。アテナ様に祈らないお前は僕が排除してやろう」
ネロは一旦後ろに下がると、水を大量に生成し巨大な龍へと変える。
「喰らうがいい!『ウォータードラゴン』」
イグニスに向かうウォータードラゴンを一振りで斬り裂く。
「なぁ!?」
ネロは驚き僅かに声が漏れた。そして続けざまに驚くことになる。イグニスがすでに目の前まで接近していたからだ。ネロは剣で迎え撃つもそれをイグニスは素手で掴み止めた。
「バカな!そんなこと出来るはずが!?ゴワァ!?」
イグニスの拳がネロの腹に叩き込まれるが、さっきまでとはまるで別物の威力、痛みでネロは意識が飛びかける。
「ガアガアがあ……うぐっ、『ブルーセイント』解放」
ネロの身体が青く光、怪我を治っていく。
そしてそれだけではない!魔力が増大し力が増したネロは奥の手である勇者の剣に込める。
『ブルーバーストブレード』
膨大な魔力を込め青く輝く剣が迫る。
イグニスもまた勇者の剣でそれを受け止めた。
ネロは息を切らせ、イグニスと目線が交差する。
「ネロもうやめろ。分かっただろ。俺はお前より強い。お前は強いが戦士じゃないだ。いつも余裕を持って戦っていた。だから同等の相手や格上の相手になるとどうしても精神面に揺らぎが見える。お前……どんどん弱くなってるぞ」
「ふざけるなよイグニス、僕は負けない!」
「ま~その意気は良しだな!一度出直して来い」
イグニスの拳に黒い炎が灯る。
『アグニブースト』
ただの正拳が必殺の技へと進化した一撃、
ネロは殴られ遥か彼方に吹き飛び消える。
俺はアグニを解くと「バタリ」と後ろに倒れた。
この力は師匠に教えて貰った禁じ手、使えば身体に大きな負荷がかかり場合によっては死に至る。しかしイグニスの鍛えられた身体と数々の火の技を使い続けた経験からくる耐性のお陰で、かなりの高熱が出た時のダルさだけで済んでいた。
「くそ~しばらくは動けねぇ~、ルナ、アポロンちょっと寝たら行くから待ってろ……………」
俺は目を瞑りグゥスカと眠りだした。
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